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第二百五十七話 まあそうなる

 一周30分で回れるくらいの小ぶりの湖を作ってもらおうとお願いしたら、徒歩30分ではなく自転車30分のそこそこご立派な湖が爆誕してしまいました。主語大事、これね。


 お水を注いで見れば、かなり立派な感じで、ぐるりと周回する道を作って湖沿いに発展させるのも面白いかもなって思ったので、まあいいかな感もあります。


 そんでもって、小川とつなげましたので現状でもそれなりに水生生物といいますか、魔物は入り込んでくれるわけですが、もっと多様性をもたせようと湿地からも色々と拐かしてくることにしたわけで。


 生態系保護の観点から考えれば、小川の生態系が汚染される事も危惧されるのですが、そこは木にしない方向で……ダメカナ?


 て!な!わ!け!で!


 湿地での捕獲作戦の様子はスキップです。


 イベント終了シナリオをスキップして石だけもらうノリで軽くスキップです。


 一体何が遭ったのか?


 現在湖畔で頭を抱える男、ユウです……。


「ほーん……ええとこやん……。こんなとこ作ってからに内緒はあかんよ、君ィ……」


 女神に頼んで妖怪以外のお魚さんやエビさんや貝さん等をごっそり運んでもらうつもりが……なんでタルットのおっさんが居るのでしょう。


 どうしておっさんたちがゾロゾロついてきているのでしょう?


 答えは簡単、計画が漏れてしまったからです。


 各地からダンジョンへスカウトして連れて行ったとは言え、全部が全部ダンジョンに入ったわけではありません。


 一応出会った魔獣に関しては、取り敢えず契約をして好きなタイミングでダンジョンに入って稼げるようにはしてるのですが、それでも元の住処に残って生活をしている魔獣はきちんと存在します。


 タルットもその例に漏れず、完全にダンジョンに入ったのは1/3くらいで、残りは適当に通いの魔獣をやったり、『気が向いたら行くわ』と言ったっきり顔を出してなかったりと、まあまあいい加減なもんです。


 我々がせっせと移住させるお魚さん達を集めていると、その手の『気が向いたら行くわ』系のタルット共に遭遇してしまいました。


『おうおう、兄ちゃんウチのシマで随分派手な真似してくれとるのう』


 なんかそんな感じで絡まれましたので、うるせえ!滅するぞ!と追い払ったのですが、無邪気な子どもたちが


『だめだよ。お魚さん達を湖にお引越しさせるんだから』

『そうだよー。タルット達も手伝えー』


 と、可愛らしい笑顔で機密漏洩をしてしまったわけでして……。


 怒れねえ……怒れねえよ……。これがパンならブーちゃん案件だったのに、子どもたちには悪気はねえよ……。


『ほーん……さよけ……。なあ、ユウくんさあ……楽しそうな事、してるよねえ……?』


 言ってもタルットです。その気になれば「じゃかましいんじゃどあほ!」と追い払うことも出来ましたけれども、子どもたちがですねえ……子どもたちがですねえ……!


『生まれたばかりの綺麗な湖だよ』

『おっさん達も住むー?』


 と、お誘い遊ばせてしまいやがりましたからもう大変です。


『おっ?そうなん?じゃあ……お言葉に甘えさせてもらおうかなあ……』


 なんて言いやがりまして、気づけば『ワイも』『拙者も』『おいどんも』と総勢20名、ずらりと並ぶ精鋭部隊!っていらんわ!


 そんなわけで押し切られる形で湖に連れてきてしまったのでありました……。


「はー、来てしまったもんはしゃあねえ。せいぜい働いてもらうぞ?」


「は?いやなんですけど?」


「うるせえ!どこぞの女神みてえなリアクションすんな!働かねえやつは容赦なく変なとこに召喚してやるからな!そうさな、冬の大地の雪部会ところなんてどうだ?」


「わあい、お仕事、タルットお仕事だあいすき」


「そういうの何処で覚えてくんだよ……まあいいや……。仕事つってもお前ら向けのを考えてやるから」



 湿地から連れてきたお魚さん達(水棲魔獣)を湖に放した場合、どの程度巨大化するかわかっていません。


 湿地でもそれなりにのびのび育てるため、環境は近いような気がする……のですが、この湖の水は加護がかかっています。


 どういう影響を受けるかわかったもんじゃあないので、それの監視役としておっさんどもを雇うのはありかもしれないですな。


「うしわかった。お前ら湖の監視員やれ。魔獣が人を襲わないように見張ったり、溺れてる人間見かけたら助けたり、とにかく周辺住民のためになることをやれ」


「ん」


 指で輪を作る下品なジェスチャーをしています。所謂「ギャラは?」と言うアレです。


「ああ、ティーラちゃんの加護でキウリ畑を作ってやる。派手に食わん限り毎日食い放題出来るくらいの立派な畑を作ってやる。それでいいだろ?」


「ユウ様、おくつの泥をなめたりますわ」


「やめろ気持ちわりい!」


 そんなわけで、不本意ながらも湖のライフセイバーとしてタルット達を雇うことになってしまった……。


 後できちんと顔合わせをして、住民達と仲良くこの地をもり立てていって欲しい。


 湖の生物が安定するのはちょっと時間がかかります。とはいえ、加護の力で一月ちょいアレば数年分の変化が起こっちゃうわけなんですが、それでもその間は肉を何とかする必要がありますね。


 取り敢えず、今のところはこのレイクサイドな村を終点として、始まりの村からここまでの街道を整備し、生物を安定して運搬できる環境をカッチリ整えることにしましょう。


 てことは一回帰らなきゃ無いのか……めんどくせえ。


 

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