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第二十三話 謝肉祭その2

 ぱんちゃんとあーだこーだ揉めてるうちに集落についた、ついてしまった。


 あーあ、どうすんだよ。なんて説明すりゃいいんだ?俺知らねーぞ!森で拾ってきたとかいうか?無いわ!森に人を落とすのは神様だけ!そうホイホイ落とされてたまるかってんだ!


「まあ、なんとかなるわよ。まかせなさい」


 やけに自身がある顔で任せろというが、不安しかない。まあ、任せろと言ってるんだ。お手並み拝見と行くか。


 案の定、広場につくなり囲まれ、予想通り誰だ誰だと騒ぎになる。ほーらきたぞ!さあ、どう切り抜けるんだ!女神の英知見せてみろ!


「どうもはじめして。ユウがお世話になってます!」


 期待なんていっこもしてなかったが、最悪の方向に舵を切りよった。これは……良くない、良くないぞ!


 そして、キラキラと目を輝かせ走ってきたリットに言われてしまう。


「こんにちは!おねーちゃんはだあれ?もしかしてユウさんのお嫁さん?」


 お嫁さん、って単語が飛び出すと周りも黙っちゃいない。見ろ見ろ!どんどん面倒な感じになっていくぞ!


「おっ?ユウの奥さんか?ひゃー!綺麗だな!」


「まあ!ユウさん結婚してたんですね!いやねえ!言ってくれればいいのに!」


 なんてあたりが勝手に盛り上がり始める。知らねえぞ……どうすんだ……? 何か考えての行動なんだよな?任せろって言ったんだ、ちゃんとフォローしてくれるんだよな?


 笑顔のままフリーズし、こちらをみるパンちゃん……どう切り抜けるのかお手並み拝見と行こう(本日2回目)


 まもなく手に振動、ああメール送ったな。念話みたいに手を使わず送ってるのか……便利だな……。


 何か女神の英知的作戦でも書いてるのかな、とメールを見ると……


『適当にノリだけで押し切ろうとしたが無理だった。反省している。うまくまとめて、ていうか助けて』


 ほらーー!やっぱこうなるー!あの自信満々の顔から知性が感じられなかったもの!絶対なんも考えてないと思ってたもの!ばかーーー!!ちくしょう!テンプレ設定だすしかねえじゃねえか!


「あ、あー、その…こいつはパンちゃんといって……」


『こいつって!それにパンちゃんって!リパンニェルよ!』


 ややこしくなるからメールは無視する。


「ええと、パンちゃんは故郷で俺とよく遊んでた姉みたいな奴なんですよ。うん、故郷から離れ一人暮らしを始めた俺の様子を見に来たようなんですが、来てみれば家に居ない。そう言えばこの辺に集落があったわねと、ここまで探しに来たようです」


『よくもそんなウソがスラスラ出るわね』


「お前には肉をやらん」


『すいません』


 なるほどねえ、と頷く一同を見てなんとか誤魔化しきった……と思ったが


「へえ!姉みたいな、か!よくある奴だな!まあがんばれ!ガハハ!」


「すみにおけないねえ」


「ほら、はるばるユウさんを追って来たのよ?あらー いいわねえ」


 結果として火に油を注ぐ形となった……


『どうすんのよこれ!』


 しらねえよおおおおおお前が言うなあああああああああああああ!!もう知らん!後はノリと勢いで有耶無耶にしてしまえ!肉食わせとけばそのうち忘れるだろ!どうせ!


「ええと!さあ!ほらほら!肉ですよ肉!焼けたんでしょ!肉!会場の準備しますよー!ほら!肉だぞー!肉!肉!」


 場の空気を切り替えるため肉で釣ればいいかと思ったが、奥様方はまだニヤニヤしている。くそが!


 ならばみてろ!びっくりして甘ったるい空気なんてぶっ壊してやる!


「今からテーブルや椅子を用意するので見ててください」


 へっ?と言う顔で見る男たち。だよね、俺の周りにそんなものないもの。そして、そんな話は気にせずニヤニヤしながら俺の話に花を咲かせる奥様方。ふふふ……見てろよ……!



 仰々しくスマホを取り出し製作ツールを立ち上げる。

 手早く屋外向けのテーブルを選択し、確定ボタンを押す。


 おらあ!驚け!民衆!!!


 ぽっ ぽっ ぽっと、次々と現れるテーブル。


 10個指定したからポコポコポコポコ生えてくる。


 どうだ!びっくりして俺の話などできまい!はっはっは!

 流石に奥様方も何が起きたのかわからないという顔で唖然としている。


「あ、あああ……あんた……はなんだい?テーブルが…どこから出したんだい?」


「驚かせてすいません、これはですねまほ…」


 言いかけたところで素早くキンタが被せてくる


「これは魔法?らしいぞ!ほら、昔は魔力を上手く使える人が居たって聞いたことあるだろ?ユウはそれができるんだ!」


「ユウさんすげえよな!」

 

「矢が通らねえリブッカも魔法で一撃だったし!」


 狩人達が俺の見せ場を奪っていった。


「ほほう……魔法?ですか……私の祖父が魔石を光らせる術を使っとりましたが、使い方は聞けずじまいでした。良かったら後で…」


 知っているのかマモ爺。いや知らないようだな。


 魔力があるってことは魔法もどうにかすれば使えるんだろう。このままここで研究したい気持ちもなくはないが、とりあえずそろそろ一度家に帰りたいしうまく流さねば。


「はい、それはまあ追々ってことで!今は肉を楽しみましょう!冷めちまいますよ!」


 もう見せてしまったので、気にせず椅子もクラフトして並べていく。


 そういうものかと納得したのか、既に肉だ肉だと盛り上がりだした人たちを見てほっこりした。


 いやあ、単純な人たちで助かるなあ……これで下手に貴族とか国とかあったら面倒なことになるやつだよな。権力争いの道具とかに使われるーとかさ。


 あ、そうだ。


「キンター!狩人達に頼みたいことあるんだがいいかー?」


 キンタに声をかけ狩人を集めてもらった。


 そして予め掘っておいて貰った穴にとって来た丸太を刺して埋め、杭のようにしてもらう。


「できたぞ!これなんに使うんだ?」


「まあ、その話は後でな。まずは肉を食おうぜー」


「おー!」


 これで余興の準備完了だ。


 会場の用意も出来たようなので謝肉祭をはじめよう!


読んでくださりありがとうございます!

長くなったので分けました。続きは19時ごろに。

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