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第二百十七話 大後悔時代

 巫女さんって良いですよね。あの白と赤で彩られた奇跡のデザイン!最高です。

 そして狐耳も良いですよね!しかものじゃロリ!キュウビの狐ののじゃロリ!

 巫女服と狐耳とのじゃロリが合わさって最強に見える。


 ユウです!


 はい。取り乱しましたが、いやいやこれは。一瞬ごまかされそうになったけどおかしいだろ。ツッコミどころの卸市場かよ。


 狐耳や九尾の狐、のじゃロリに百歩譲って妖怪尽くしなのもまあいい。しかし、巫女服を着て村をまとめる村長というのは聞き捨てならないぞう!


 これはちょっと女神連絡案件なんだが、まあ取り敢えずレンゲなる村長から話を聞いてみようと思いますね。


=============

 ……と、どうも、未来のユウです。この時点では内心蓮華ちゃんをどうやって連れて帰ろうか考え始めていた俺でしたが、この後とてつもない悲劇が俺達を襲うとはまだ気づいていませんでした。俺達はこの村に訪れるべきではなかった。俺はこの村で知るべきではなかった情報を得ることになるのです……。

では当時のユウさん、お返しします。

==============


 ……あれ?今なにか必死な声が聞こえたような……まあ、どうでもいいことだろう。ってことで、話だ!レンゲちゃんとしっかりお話をしてお友達にならなくっちゃ。


「ええと、俺達はご存知の通り別の村からやってきた者だ。ああ、この村に来たってわけじゃないぞ。ここは作業中にたまたま見つけてね、ちょっとよってみただけだよ」


 嘘はいっていない。お仕事の途中見つけた謎の秘境、そこの探検に来たわけですから嘘はいっていませんよ。

 しかし、俺の言葉にレンゲは目を見張り驚いています。今の会話に何かおかしなところでもあったのだろうか。


「なに!?村じゃと?ここ以外にも村が?ああいや、お前達がこうやって来たと言うことは村があるのは当たり前か……。しかしあの乗り物はなんじゃ?およそここにあるような物とは思えんが。それに!作業じゃ!作業!言い振りからすればここの近くで何かをしておったんじゃろ?何をしてたんじゃ!」


「ちょ、息継ぎ!一気に言われても答えきれねえよ。まあ、あれだ。立ち話もなんですから、ほら、お家に連れてってお茶でも出して下さいよ」


「それはワシが好意で言うことであって、お前から言うことではないと思うんじゃが……まあいい。お前には聞きたいことが山ほどあるし、お前も恐らくは……ついてくるのじゃ」


 そんな具合で催促をする形でレンゲのお家に押しかけることになりました。まあ、話が長くなりそうだしね。


 レンゲの後について歩きながら村の様子をじっくり観察していますが、わらぶき屋根に素敵なお庭。そこには鶏(ただし物凄くデカい)が放し飼いになっていて、子どもたち(ただし妖怪)が親とともに畑を耕したり、無邪気に遊んでいたりしています。


 村の中央を流れる小川には水車がつけられていて、あちらこちらにある水路に水を送っているようでした。その水路の先には田んぼが並んでいて、なんだかとっても牧歌的です。


 あれですよ、今にも『むかあ~しむかし、あるところにぃ』なんてドラマで家政婦やってた人のナレーションが聞こえてきそうな『昔話で見た景色』がここにはありました。


 そして俺達が到着した先には2柱の大きな真っ赤な柱……いいえ、どう見ても鳥居です。

 

 そう、鳥居がありまして、それをくぐり石段を登るとやっぱり神社がありました。


 ……知らぬ間に異世界転移しちゃった?いや、これは寧ろ……。


 レンゲに案内され、神社に入ると中は普通の日本家屋でした。いや、それがまずおかしいんだが。

 湯のみ茶碗に居れられた緑茶を出され、なんだかとても懐かしい味を楽しみます。


 ラミィといえば、この異常性に全く気づけず、横でまんじゅうを食って目を輝かせ、何かメモを取っています。里の調理師共に情報として売るんだろうな。


 そしていよいよレンゲが口を開きます。


「さて、さっきも言ったがワシはこの村の村長をしているレンゲじゃ。ユウといったね。良かったら外の事を聞かせてくれないか?」


 そうだな、こっちはよそ者だ。まずは此方から情報を開示して敵ではないことを伝えなければ行けないな。


 そして俺は伝えた。そりゃもう必死に伝えた。方々を巡って集落をまとめ村にしたこと。生活の改善に励んでいること。ダンジョン内には妖怪……、魔物の集落があり、特殊なルールで仲良く喧嘩をしつつ、きちんとした付き合いがあるということを。


 一通り話し終わる頃には隣でラミィが船を漕いでいたので背中に氷をいれてやりました。


 ヒャウ!とかいって喜んでたよ。


「ふむ……。で、その横に居るのはお前の嫁ということかな?」


「なんでそうなるんすかねえ?コイツはそのダンジョン内にある研究所の所長ですよ。仕事で着いてきただけで、俺にはちゃんと家庭がありますから」


 奥さんが居る、という言い方はしていない。言ってやるものか。


「まあ、それはどうでもいいことじゃな。いや、驚いたのじゃよ。ワシ以外にもこの世界で住人を集め、村を作っている者がいるとは思わんかった。寧ろ、この崖の外に土地があるとは思わんかったわ」


 四方をぐるりとガケに囲まれたこの環境じゃな。小川の水がどこに行くのかっていう疑問を持たなかったのかって言うツッコミを飲み込んで、俺の予想を確信に変える実験をした。


「そういや、次のオリンピック会場ってどこでしたっけ」


「ん?何言ってるんじゃ、次はロンドンじゃろ?ちゃんとニュースをみんか!」

「ああ、そうでしたでした。ええとロンドンていうと……2012年か……」

「うむ……まあ、オリンピックももう見れ……あれ?お主なぜオリンピックの事を……」


 予感は的中した。


 レンゲは日本人。そしてこんな生のケモミミもふもふ尻尾を生やした日本人など見たことがないので、恐らくは転生者であり、こちらに転生したのは2012年以前ということになる。


 さて、女神から事情を聞いてみたいところだが、奴を追い詰めるためもう少し確実なネタを掴んでおこうじゃないか。


「レンゲさん、ちょっと失礼しますよ」


 スマホを取り出し、レンゲさんに向ける。


「お、エイフォン3Gsではないか!いいなあ!買いたかったなあ」


 何だこの人スマホに詳しいな……


「いえ、エイフォンだけどこれは3GsじゃなくてXですよ」


「なんと!もうそんなに時代は進んで……まあ、そうなるか。ここに来てもう何十年……」


 雑談をしているふりをして、写真をとっているふりをして俺がやっているのは勿論鑑定です。

 どれどれ……ラノベ的展開をするなら出るはずなんだ、あれが。


=====================================


 名前:化粧坂 蓮華(前世:化粧坂 亀五郎)

 年齢:148歳(没:104歳)

 職業:村長 (転生者)


 LV:蟷エ縺ョ蜉


 体力:邨先ァ句シキ縺

 魔力:縺ェ縺九↑縺九≠繧


 スキル:前世の知識 年の功 狐火 モフモフ のじゃロリ


 =====================================


 やっぱありましたわ。ホイホイとありましたわ『転生者』が。つうかパラメータ文字化けしてるし、スキルも何かアレだし。いや、それはまあ……いい。今となってはどうでも……いい……。


 っつうか、っつうか……。


 なんで俺はこの子を…鑑定しちゃったんだ……。


 知りたくなかった…… 知りたくなかったぞ……。過去に「カンテイヤメロ」とメールを送りたい気分でいっぱいだよぉ……。…………送ったよお……。


「ぬう、どうしたのじゃ?ユウよ?そんなに悲しそうな顔をして?お腹が空いたのかの?」


「うう……その……口調は天然……なのか?」


「天然?何を言ってるのじゃ……?お稲荷さん食べるかの?わしのお稲荷さんは中々じゃよ」


 心配そうな顔をして耳をゆらゆら揺らし、優しげに語りかけてくる……かわいい、かわいいが……

 知ってしまう前だと後では俺が捉えるその言葉の意味が大いに異なってくる……。


「……今では……そのセリフが!意味深に聞こえるんだよお!亀五郎ォ!」


「ぐおっっ!!な、な、ななな、なぜそ、その名を!」


 俺達が愛した蓮華は死んだ!何故だ!


 爺やだからさ……。

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