第百九十五話 そろそろ村にしたい感
だんだんにここも村として立ち上げねばならないと思っているユウです。
ユウなんですがー、現在この集落がどのようなレベルまで発展したのかまとめてから段取りを決めようと思いまして、現在チクチクとメモ帳にまとめているわけです。
まず、当初から目的としていたというか、寧ろそのために来たというか、村とか関係なくもうそれだけでいレベルで重要な「牧場」はほぼ達成したとみて構わないでしょう。
と、いうわけでリストに書き書き。
■酪農(達成)
・メリル牧場 ・厩舎(搾乳)・チーズ加工場 ・バター加工場 ・ヨーグルト加工場
メリル先輩のお乳はどうなっているのかわからないけど、尽きること無く絞れば絞るほどどんどん出てきます。可愛いミルクがどんどん出てくるのです。
先輩がいう事にゃ『特に子供が居なくても出る』とのことで、俺が住所不定無職達を回収した後はお乳が張って困ったと申しておりました。
んでもってこのメリル達は繁殖力がそこそこあり、その気になればどんどん増えるようです。あまり増えられても現在のキャパだと溢れた分を野に返さなくてはならなくなるため、なるべく控えて貰ってますが、それでも他の村相手に商売をするくらいは余裕の見込みです。
まだ村化していないため、余所との正式な交流はしていないので、加工され余った分は俺が買い取りアイテムボックスにストックしています。
……食い切れなくなるまえに村化しないとな……。
そうそう、とうとう住所不定無職達もおちんぎんを貰えるようになったものが出てきまして、学校教育の賜もあり、この集落内にもボチボチとお店という物が出来はじめています。
教育の進捗は……ええと、シゲミチくんから来たメモがあったな……。
■教育(ほぼ達成?)
・国語(読み書き)ほぼ達成 ・算数(計算)半数が合格、半数が逃亡
・理科(酪農指導等)メリルやる気勢が卒業し、ミルク関係の仕事に就職済
・社会(村の知識)許容レベル。赤鬼のお姉ちゃんに村長候補在り
・狩猟(狩り知識)希望者は全員合格。ダンジョンに興味を持つ者も居る。
・家庭(お料理とか洗濯とか)集落の洗い場が賑わっているので成功かと。料理もボチボチ。
シゲミチメモからざっくり抜き出すとこんなもんか。
俺の目から見ても、この集落はかなりの近代化を果たしたと思う。メリルに完全依存して暮らしていたとは思えないほどにだ。
草原の外れにある森から切り出した木材で新たに商店街も建てられ、商売に興味がある者達が乳製品やアクセサリ、服などの店を開いている。無論、狩りによって手に入れた肉を売る肉屋もある。肉。
メリルの話が引っかかったので、木材の切り出しには俺も同行し、間もなく見つかったトレントと話してダンジョンを紹介しておいた。
深淵の森林に住んでいる同種、もしくは上位種であろうエルダーウッボスが平和に紙を作って暮らしているというのに、正しく木の魔物の名を冠するトレントさん達がメリルのおやつになっているのはちょっと心苦しかったからだ。
『なぜ人の身で在りながら我らの声が聞こえるのだ』
なんてえらそうに言ってたけど、んなもんルーちゃん大先生のおかげにきまっとろうが。
ダンジョンの説明をしつつ、エルダーウッボスって言うお前らの親戚も居ると言ったら案の定、知っているような反応を見せたのだが、意外な言葉を聞けて面白かった。
『エルダーウッボス……?我ら森賢族の始祖であり、伝説の賢者ではありませんか……実在……いや、現存していたとは……』
なんて驚いていた。あいつらそんな凄かったのかよ。つうか、「しんけんぞく」ってなんだよ……。
ウッボスの連中はウサ族が元の住処で話をつけ、ルーちゃんに頼んで連れてきた魔族らしいのだが、そういやうちの近所の森は少しおかしいという設定がありましたな。
転移物に良く有る「最初に降り立った森がSSSSSS級クラスの魔物がうろつくやばい場所」みたいな。そこで鍛えてりゃ俺も今頃SSSSSSSSSSSSS級スペックのチート主人公みたいになってたのかもしれませんが、あんな森に引きこもるのはごめんですし、そもそもこの酷い世界じゃそれをドヤ顔で披露して「あれ?今のはただの初級魔法モエロですよ?神威級炎熱魔法エスエヌエス・ダイエンジョウ?違いますけど?」なんて展開などあと5億年は無理だと思います。
それをやるにはこの世界の住人達、あまりにも無知すぎるからな……。
っと、思考が逸れてしまった。森ではトレントをはじめとした色々な連中が適当にスカウトされてたようなので、「深淵の森林」における作業要員……もとい、戦力がまた強化されたと思いますわ。
さて、最後にザックくんからのメモだな。てかザックくんまだ居たんだな……呼んだのすっかり忘れてたわ……。
■集落の設備(言うこと無し)
・上下水道敷設(完成)・浄水施設(完成)・洗濯場(完成)・大衆浴場(完成)・ため池(完成)
彼とモルモルはほっとけばやって欲しいことを大体片付けてくれるからほんと助かるわ。
特に嬉しいのが大衆浴場とため池だな。風呂は言わずもがな、ため池はありがたいよ。
川から離れているこの集落まで水路を引き、農場付近に大きなため池を作ってくれました。
元は集落にある井戸からくみ上げた水を使って水やりをして居たんだけど、ため池に設置した魔導ポンプから伸びるホースを使って水やりが出来るようになったため、かなり楽になったようです。
農場にはメリルの餌や食料となるコーン畑の他に「ソバ」と「ミーン」を植えました。
当初はミーンは植えず、はじまりの村から仕入れて使わせる予定でしたが、コストを考えるとこちらで作った方が勿論良いし、はじまりの村にはミーン以外にも様々な野菜や米、それに豊富な肉があるため、ミーンをここで作ったとしても大した問題が無いだろうと判断したからです。
それにティーラの加護があるとはいえ、ダンジョンがある本家の濃い加護にはやはり叶わず、若干品質が劣るため、完全な競合にはならないでしょう。
なんつうか、各村で特産物を売りあってお金がグルグル回れば良いなあというフワフワとした理想があるからなんだけど、俺はその辺全く知識が無いため、今後どうなるかはしらんというか、そこまで世話はみれません!女神がやれ!!
ここまでまとめてみたけれど、まあこんくらい出来てりゃ取りあえず村化しても平気かなあ。
攫ってきたウサ族を当分の間残しておけば各所で困ることはなかろうし、まだどんな人か見てないけど村長にも補佐を二匹付ける予定だからまあ、いけるだろ……多分……。
そうと決まりゃ各地に連絡をして……開村は一週間後くらいかな。