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第百九十二話 がんばれシゲミチくん!

「だからあ!限界なんすよお!きいてますかあ!?」


 有耶無耶に出来ませんでした。


 調子に乗って飲ませまくった女神が完璧に悪いのだが、すっかり出来上がったシゲミチくんは覚醒し、本来の役割を果たすべくめちゃくちゃ俺に絡んでいる。


「聞いてる聞いてる。えらいえらい」


「そう!俺偉いんすよー!ユウさんが空けまくってるー理科のー穴をー埋めてえ!」


 理科は暇な時手伝う感じに……と思っていたのだが、教科にバリエーションが無いと飽きられるらしくって、どうしても理科は入れざる得なかったらしい。まだ開校して2週間だというのに……。


「そう!2週間!2週間すよ!ユウさん、いっちども学校に顔出してないじゃないっすかあ!」


「そうよそうよ!悪いのは全部ユウよ!ほらほら!シゲミチくん!のんでのんでのんで!のんで❤」


「お前は煽るな! ……はあ、まあ済まなかったよ。ダンジョンの探索も終わったことだしさ、俺もそろそろ……な?だからほら……な?」


「まったくもー!はー!まじ…… ……」


 寝たか……。


 実はシゲミチくんがうちで酔い潰れたのはこれで3度目である。過去に2回ほど「そろそろ来ませんか」と俺を説得にやってきて女神に潰されていたのだ。


 不味いことに俺もそれに甘えてしまってすっかり学校から足が遠ざかっていたが、流石にそろそろ行かないと色々と不味いだろうなあ。主にシゲミチくんのメンタルが。


 しょうがねえ、そろそろ用意をするとするか……はあ……めんどくせえ……。



 翌朝、子供達と朝食を摂るシゲミチくんの顔は実に晴れ晴れとしていた。俺が授業の用意を始める旨を伝えたからである。


「いやあ、これで俺も少し楽になりますよ……。ユウさんは言えばやってくれる人だと信じてました」


「褒めてもなんもでねえぞ。元々やる予定はあったしな。ま、大船に乗ったつもりで任せてくれよ」


「オオブネが何かはわかりませんが、任せますよ!もう任せないと無理ですもん!」


 シゲミチくんは気づいて居ない。俺は『用意を始める』と言ったのであり『今日から授業に出る』とは一言も言っていないことに。


 酪農の授業だぞー?授業と言っても実技が主になるんだぞー?メリルを育てましょーねーで終わりじゃ無くて、乳製品の作り方とか毛の刈り方なんかもやるんだぞー?一人で出来る事じゃ無いでしょー?


 と言うわけで、俺は人知れず塩のダンジョンへ消えた。



 と言うわけでやってきました、ウサ族の村!なんつうか、来る度立派になっててビビるっつうか、人間族の村より立派に機能しているような気がする……。


 取りあえず食堂に行ってカツ丼をオーダー。ダンジョン内だというのになんだろうなこの、外より充実した食生活は。


 塩のダンジョンはルーちゃんのレベルアップが関係しているのか、それぞれの階層が日々微妙に拡大しているらしい。森のダンジョンの住人達はその恩恵を大活用していて、広がった分森を切り開き、畑や田園、ヒッグ・ホッグ牧場を作っている。


 そう、農業に特化したウサ族が居るのだ。いつかこの日が来るであろうと一人のウサ族に農業の知識を叩き込んでおいたのである。それが実を結び、ほおっておいたらこの通り勝手に畜産まで始めている始末。

 一応テキストを作って渡してはあったけど、まさか実用化しているとは思わなかった。


 今回やってきたのは多少なりとも知識はあろうから補助講師にと思ってのことだったが、ここまでやられちゃ俺が講師する必要が無さそうだな……あー、俺も講師やりたかったなーしょうがないなー。


 農家のウサ族、茂男さんに話を聞いた。


「いやあ、新しく来た青い奴、あれは良いですよ!頭が良いし力持ち!即戦力でしたよ」


 風の集落に向う途中出会ったブルーオーガ達だな。この間転送門(ゲート)を開通させに来た時ついでに召喚したんだったか。気は優しくて力持ち!って感じだったから期待してたけど、いい拾いもんだったようだな。


「人員も育ってますし、私ともう1匹くらいなら行っても良いですよ。良かったら青い奴も何人か連れてけますが、どうします?」


「そうだな、数は大いに越したことはないし連れて行こう。あー、少し長くなるかもしれんから、独身の奴を連れてった方が良いな。ブルーオーガの奥さんとかすげー怖そうだしさ」


「あー……確かに……。怒らせたことは無いですけど、美人なのにムッキムキですからね」

「そうなんだよな……」


 講師の件が上手くまとまったので、帰る前にウサ族の村を視察した。紙や糸の工場に武器や防具、細工の工房、多数の食堂に宿屋、それらをまとめる商業ギルドとウサギのくせに生意気な村だ。

 

 特に面白いのが商業ギルドで、ここのギルド長が村長として機能している。ここは俺が勝手に村と呼んでいるだけで、ウサ族達はそう思っていないのでそんな事になっているわけだが、売り上げの一部を徴収し、村の整備費や福祉に充てているらしい。


 やべえ、はじまりの村より優れた村じゃねここ……。


 つうか、キンタをここに研修に出せばよいのでは……?



 いやいやいや……でも……いやいやいやいや……。


 風の集落終わったら考えてみよ……。


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