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第百八十九話 女神、いつも通りやらかす

 フワフワと漂う緑色の光がチカチカと点滅している。ルーちゃん達や女神、ドラゴンの反応を見るに何らかの会話をして居るようなのだが、流石にこの時点では何を言ってるか分らんな。


「そんなあんたのために!この!女神様が同時通訳してあげるわ!」


「……なんだか非常に不安だが、まあやってくれ。身体を創るにしても、もう少し情報が欲しいからな」


 チカチカと輝き、女神がうんうんと頷く。


「この子はご存じ風のコア。ダンジョンを作ったわけじゃなくて、この場所に続く道を上に向けて延ばしたんだって言ってるわ」


 何らかの理由があって地上からここに続く道を造った、そういうわけか。下層は階段がある場所から少し歩くと天井が無い剥き出しの場所になっている。言ってしまえば外から直に入れる環境という訳なんだが、下を見た瞬間死んでしまうレベルの断崖絶壁。


 命知らずならえっちらおっちらロッククライミングでもするのかも知れないが、周囲には知能が低い動物に近い魔獣が本能のまま飛び交っていて、そんなことをすればたちまち餌食になるだろう。


 直接ここに降り立てる存在と言えば、空を飛ぶことが出来、周囲を舞う魔獣共を蹴散らせる力を持つ存在……、それこそドラゴンや女神くらいなのでは無かろうか。


 何故このコアが上に向けて道を造ったのか?それはもしかすると……。


『そうなの。わたしね、さみしかったの。がんばってきれいにしたのに、めがみさまこないから』


 ……? 何か声が聞こえた。ルーちゃん達とは違う少女の声が……。


「今日は良い天気ですねって言ってるわ」


 いや、そう言うどうでも良いことは訳さなくても良いから……っていうか、今の声は女神には聞こえなかったのだろうか?


 まさか、俺の空耳……?


「ここは女神に言われて造ったのか?それとも自然に出来た感じ……?」


『わかんない。めをあけたら、めがみさまがいたよ。「ここは風が集まるいい場所ね、私の別荘にしましょう!」って。わたしにきづいためがみさまは、「でも少し埃っぽいわね……ねえ、あなた。どうやら私の加護で自我が芽生えたようね。幾つか力を授けるから、次に来るまでピカピカにしておきなさいな」っていって、おそらにとんでいってしまったの』


「そうねえ、ある日たまたま私が降り立った際に加護を受けて出来たダンジョンだって言ってるわね。なんか色々あってピカピカになったみたい」


「なあ、お前都合が悪いとこ編集して無難な具合に端折ってないか?」


「そ、そんなことはないわよ?」


 間違い無い。何故かはわからんが、俺にはこのコアの言葉が聞こえる。間違い無い、女神はクソだ。


「それで上に伸びる長い階段は何故造ったんだ?コアのお前でもそれなりに苦労したろうに」


 ルーちゃんの様に規格外なコアや、それと繋がり加護の力を増大させたコア達ならば数日かければ容易くできるだろうが、以前ティーラから聞いた限りではここまでやるのはかなり長い年月が必要そうだ。

 ダンジョンを作ったわけでは無いというのであれば、何故そこまでしてあの階段を造ったのだろう。


『まずここをきれいにしたの。でも、めがみさまはこなかった。そのうち らーふぁ、あ、このどらごんがね、きてくれたの。らーふぁがね、「女神様をお呼びになるのであれば、ここを広く、美しくしましょう」と教えてくれたの。だからあさつゆがキラキラとしてきれいだった、くものすのようにつくったのよ』


 それでこのフロアは蜘蛛の巣状に広がっていたわけか。しかしこんな場所に巣をかけるとはガッツがある蜘蛛が居たもんだな。公園のようになっているから辛うじて周囲に草木は生えてるけど、この風の中よくまあ。


『それでもこなかったの。ずっとずっとまってもこなかったの。だからね、めがみさまはとべなくなったんじゃないかっておもったの。らーふぁがそういうこともあるっていってたから。だからうえにむかってかいだんをほったんだよ。すごくすごくじかんはかかったけど、ピカピカにしながらがんばってほったんだ。でもね、ちじょうにつながってもこなくて……』


「……上から入れたら便利だ、そうコアはおっしゃっています」


「いやもう通訳は良いよ。なんか知らんが俺にも声が聞こえるんだわ」


「そ、それは何時からで……?」


「ちゃんと聞こえ始めたのは目を開けたらお前がいた、っていう辺りからだけど、言われてみれば前にもこの声を聞いたことがある気がするわ……」


「そんなあ……」


「そうそう、ダンジョンに行くのを後回しにするって言ったら、『そんなあ』って。つうか、駄さあ……、またやらかしてたんだねえ……?」


「返す言葉もございません」


「全部思い出したか?」


「ええ、ええ。塔のようにそびえる隔離された大地、周囲に草木が生えていて、これぞ女神の休息地!と思った私はそこに降り立ちました。

 周囲の風が集まるその場所は、それに乗ってやってきた大量の魔素により露出したダンジョンと化していまして、幼いながらもコアが芽生えてましてね……、その後はあの子が言っていたとおりで……」


「また、無責任なことしちゃってたってわけだねえ……」


「うう……罪悪感が半端ない……。ぶっちゃけちゃうけど、前は上の世界……、わかりやすく言葉にすれば神界の時間とこちらの時間の流れは極端に違かったのよ。あっちからするとこっちは精神と時のなんとかみたいな感じでさ、あっちで1ヶ月監禁されてるとこっちでは100年は軽く月日が流れてしまう感じで……」


「前はって言うことは今はそうでもないんだな」


「うん、ほら、あんたんとこにもあるじゃん、市長になるゲーム。あれと同じで時間の速度を変えることが出来るのよ。今はあんたがいるから等速にしてるの。あっちとこっちで時の流れは変わらないわ」


「なるほどな。つまりがっつり補習を受けさせられている間、こっちではアホほど時が流れ、そのうちまたなんやかんやとやらかして来れないで居るうちにすっかり忘れて今日に至る……というわけか」


「な、なんで補習ってわか、いや、補習はしてないんだけど、まあ概ねそう……」


 うーむ、ティーラの件も同じ理由であんな気の毒な感じになってたってわけか。市長ゲームの機能に造った街をうろつけるというのがあったが、そこで出会ったNPCと仲良くなり、再会を約束したとしても神様視点に戻った途端、容赦なく時は1ヶ月/秒で過ぎ去っていく。

 

 カップラでも食いながらその様子を眺めてるとあっという間に50年くらい経過しているわけだよ。それを創造した世界でやらかしてしまえばどうなるか、全く酷い話だわ。


 っと、何故だかこのままでも話せるから忘れかけてたがこの子にも名前と身体をあげないといけないな。


 風のコア、お掃除が上手、そして意図はして無くともダンジョンを生成し、今日まで維持してきた。

 となれば、ティーラの妹あたり、ルーちゃんの姉あたりが妥当な所だろうか。

 ティーラ、風のコア、ルーちゃん、ナーちゃん、スーちゃん、マルリさん。こんな具合の6姉妹。


 となれば、ティーラ同様ちょっとお姉ちゃんって感じで書けば良いかな。よーし!

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