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第百八十六話 開校、そしてユウが見たものは

 冷静に考えると補助もなしに200人同時授業とか無理があるわけで。

 大学やなんかの講義感覚で考えてしまったが、勉強とはなんぞやというレベルの者達が200人。

 其れはどう考えても混沌の未来しか想像できなかった。


 なのでとりあえず明らかな子供は省き、まずは大人を優先して教えることに決めた。

 それでも80人は軽く居るわけで、どう考えてもキッツいのでやっぱりと言うか、結局と言うか。

 ウサ族をもっふりさらって来ました。


 前から薄々と感じていたけど、この世界はやっぱり魔族の方が人間族より知能というか適応力が高い。


 特に其れが顕著なのがウサ族で、大抵のことは直ぐ身に付けてしまう。なので俺は勝手にウサ族を人間族の一部として扱っているわけだが、そのうち女神もしれっと人間族に入れそうな気がしている。


 とりあえず建物を改装し、20人くらいずつ4クラスに分け、授業を行うことにした。その間子供達は大人から離れることになるのだが、新たに講堂を建て、そこで適当に遊ばせることで誤魔化すことにした。


 とはいえ、きちんと遊び道具や絵本を配置して飽きない工夫をし、監視役のウサ族を攫ってきて配置することも忘れない。流石に子供達だけ放置するのはどうかと思うし、女神に任せるのも信用面から不安だし、かといってルーちゃん達に任せると肝心のダンジョン探索が滞ってしまうため、ウサ族の酷使は仕方がないことなのだ。


 なんか知らんがあいつらどんどん増えてるからな……。


 それらの準備が終わる頃には、シゲミチ達も到着し、ザックはモルモルと共に上下水道の整備を、シゲミチ達はウサ族と一緒に授業の打ち合わせをしていよいよ開校の時が近づいている。


 授業科目は所謂、国語、算数、理科、社会の4教科だ。メインとなるのは理科を除いた3科目で、それぞれ読み書き、計算、村の仕組みを学んでもらう。理科は俺やシゲミチが暇な時に講師を担当する特別な科目だ。


 シゲミチが教えるのは植物や魔獣の知識、そして俺が教えるのは酪農だ。つってもググって作ったテキストを見ながら雑に教える感じになってしまうが、メリル任せの生活から、メリルを飼育し、上手に利用する生活に変えるためにそこは妥協せずしっかりと教えていきたい。


 ある程度授業に慣れてきた頃に家庭科や技術を導入し、ちょっとした道具作りやチーズやバター等の作り方を学ばせていきたい。


 乳製品は俺も作り方を知らんが、まあなんとかなるだろ……ググれば……。

 

 そして1日ずっと授業をしていると確実に脱落者が出てしまうので、午前2時間、午後1時間の授業が終わったら狩りの実習や乳搾りなどの時間に充ててもらおうと考えている。


 狩りに関しては、はじまりの村から暇そうな狩人(キンタ以外)を呼んできて交代で講師をしてもらおうと考えている。これは別に狩りを覚えてもらおうというわけではなくて、流石に村人全員にタダで給食を食わせ続けるというのはいくら何でも俺がしんどいからである。


 ある程度は学びながら食料を入手してもらわないと俺がマジで辛い。


 一応畑も作ってみたが、普通に育ててもはじまりの村のようにコアの恩恵を受けた土地では無いため、あの土地の様にイージーに育つことはなかった。それでも土壌はけして悪いものではなく、育つことは育つため、ユウ農園と同じ感じで運用することにした。


 とはいえ、暫くの間は畑にかまう隙がないので、野菜だけは俺の家から運んでくることにした。

 まあ、流石に肉まで俺がやっちゃうのもアレだし、狩りの時間に期待する他無いな。



 ◇◆◇


 そんなこんなで漸く開校のめどが立ち、講堂に人を集めて開講式を執り行った。


「みなさん!メリル学園、学園長のユウです!」


「ガクエンチョウってなんだ?」

「なんだこいつ!」

「お前がメリルなのか?違うだろ?」


「うるせえ!黙って聞け!ここで色々教えてやるから毎日ちゃんと通いなさい」


「えーめんどくさいー」

「お家でお布団に甘えていたい」


「いいのか?ここに通うと給食という、美味しいご飯を食べられる時間があるんだぞ?」


「俺はここに通うぞ!!!」

「あたしも!毎日だって来たい!!!」

「キュウショクはまだか!」


「とりあえず一月くらい頑張ってみてくれよ。そこまでやればとりあえずなんとかなるだろうし、その時点で飽きたやつは別のことしてもらっていいからさ」


 そんな具合でなんとかかんとか開校に漕ぎ着けることが出来、とりあえずまずは1週間、様子を見ることになった。


 ちなみにこの学園は完全週休二日制で土日は休みである。なのでリットちゃんやマーサには金曜の夕方には家に帰ってもらって、キンタに間違いを犯させないよう考慮することにした。


 いよいよ始まった学園生活!慣れない授業に混沌と化す教室!その時教師は何を見たのか!生徒は何を思ったのか!


 それは俺にはわからなかったのであります。


 だって俺は学園が出来て一週間、一度たりとも近づいていないのだから……。

 

 しょうがないだろ!ダンジョン探索に忙しかったんだから!ただのダンジョンなら放置して学園の手伝いをしたけどさ、この世界のダンジョンはほら、コアが健気だから……。


 ここの子も案の定……ね……?

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