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第百八十四話 女神、テンプレ展開を思いつく

 あれから3日が経ちました。


 とりあえず連中のことは一時忘れることにしまして、ダンジョンを中心にぐるりと柵を設け、メリルが遠くに行かないよう封じ込めることに成功しました。


 これにより、以前より連中を探しやすくなり、コミュニケーションを取る機会が増えました。


 さて、コレにより新たな問題が浮上します。コレは今までにない大問題です。


「どうだい、美味いだろう?これが他所の連中が食ってる飯だ」


「なんてこった……、肉をこんなにうまく食べる方法があったとは……」


「それに見ろ!メリルのミルクがより旨くなってるぞ!リョウリってのは凄いな!」


「なんだこれ!」


 いつものテンプレパターンですが、これはまあ良いんです。新鮮なミルクが手に入ったため、満を持してクリームシチューを作ったわけですが、美味いのは当たり前。こいつらが普段食事として飲んでいるメリルミルクを使うことにより、興味を引くのも成功でした。


 問題はこの後です。


「つう感じでさ、ここに他所の連中がどの様に暮らしてるかまとめた資料があるので見てほしいんだ」


「ん?なんだこれ?焚付か?」


「おー、よく燃えそうな物だな。なんだこれ?」


「いや、あの、それ読んでほしいんですが……」


「ヨンデホシイ……?コレはどう使うんだ?まさかくいものか?」


 何ということでしょう、これはもしかしてもしかしますよ。


『おい、駄、ちょっとこれはどういうことだ!』

『なによ駄って!肝心な部分を省略しないでくれる?』


『それで自分の事だと理解できちゃうお前がちょっと気の毒だよ……。それよりこれはどういうことだ?お前のいい加減な加護でこの世界の人々は識字率はそれなりになっているはずでは?』


『どうしてかしらね?確かに後々ばらつきが出るのが嫌だなあって思ってさ、初期スキルとして文字の読み書きは与えてあるはずなんだけど……この子達、明らかに文字を知らないわね……?』


 だよなあ、ひどいとは思うがそのおかげでここまで楽が出来ているのは確か。この手のトラブルは初めてだ。


 まてよ、今文字の読み書きを与えたと言っていたな。

 はじまりの村の事を思い出してみよう。確かにあそこの識字率は他の村同様100%だった。しかし、書ける者は半々といった所で、読めるが書けないという存在も確かに居た。


 つまりだ……。


『なあ、駄女、スキルって世代を重ねる毎に衰退してったりするのかな?』

『ちょっと増えた!って、発音したら一緒じゃないの!ううん、スキルは使わないと育たない。世代を超えればその逆もまた起こりうるでしょうね。スキル継承が起こらないという事が』


 他の村は少なからず何らかの形で文字を書くものが存在し、それを読む者も存在していた。誰かが読み書きしていれば、それなりにスキルは維持されていたわけだ。


 しかし、ここの連中はどうだ。この生活を見ればわかる。読み書きをする必要がない。

 会話は生活に必要なため、言語スキルがそっくり総て失われるということは起きなかったようだが、それでも読み書きというものが完全に失せてしまったわけか……。


 やべえ、頭いてえ。


『駄女神さー、これどうしような。たまにはなんか良い案だしてくれよー』


『やった!呼び名が女神に昇格したわね!そうねえ……嬉しいからちょっと調べてみる待ってて……』


 不憫な奴だ……。駄女神であって、女神ではないのにそこまで喜んで……。

 しかしなにやってんだこいつ?調べるって……ああ、スマホで異世界物読んでやがる……。

 他の作家の作品から何かパクる気満々じゃねえか。


「やばい、コレ面白いわブクマしなきゃ」


「じゃなくて!おいこら!読みふけってないでいい加減なんか案を出せ!特定の作品でしかやってないようなネタはだめだぞ!」


「な、なな、他人の作品からネタを探してたとか無いわよ……」


「おおありじゃねえかその態度……」


「でも良いこと考えたわ!お約束をやればいいのよ、所謂テンプレね」


「お約束ってなんだよ……」


「学校を作ればいいじゃない。学校を作って最低限の読み書きと計算を教えるの。そのついでに村の事も教えれば一石二鳥ってわけよ」


「珍しくいい案を出したな、よし女神って呼んでやろう」


「やった!とうとうここまで戻せたわ!」


「ただまあ、なんだ……、集落の連中……ちゃんと数えてないが200人位か?結構な数だがアレだな、年齢がその、バラエティに富みすぎて居てテンプレ的な学園物にはならねえな……」


「まあ、テコ入れ的に学園設定を導入してもグダることが多いから……学園周りは何時も通り丸投げして我々は調査等すれば良いんじゃないの?」


「その手があったか!女神さんって呼んでやるわ」


「やった!ちょっと偉そうになった!……でもなんか他人行儀で微妙……」


 贅沢なやつだな……。


 しかし学校か。住人を学校に呼び込むのは給食や寝床を餌にすれば容易いことであろう。

 建物も俺がちょちょいと頑張ればなんとかなるし、筆記具も軽いものだ。


 しかし、問題は講師だな。シゲミチくんは社会科(村教育)の先生として呼ぶとして、国語と算数が問題だ。

 ウサ族をフォローに入れるとしても、其々それらをまとめる人員が必要だが……あっ!


 適役が頭に浮かんだ。彼女たちならきっと適任だろう。


 ようし、善は急げだ。コアには申し訳ないが、ダンジョンは後回し!先に転送門(ゲート)を開通させて講師を迎えに行こうじゃないか。

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