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第百七十一話 お姉ちゃん

 ぬるっと丸投げされた「ご褒美」無茶ぶりにも程があるけれど、流石にここまでのパターンからしてこうなることは予想していたのだ。


 そして「地のダンジョン」だろうと言うことで、ある程度考えていたので今回は直ぐ出来る、そう思っていたんだけど、ここに来てちょっと予想外な要素が出てきたんだよな。


 ここのコアは今までのダンジョンコア達と事情が違う。


 まずルーちゃんだが、この子の場合はまさに「るーちゃんは、生まれたばかりのダンジョンです」といった具合だったわけで。何の因果か身体の元となった俺の幼女イラストと絶妙にかみ合って生まれたのがあの姿だ。


 次に出会ったナーちゃんは知らず知らずのうちにダンジョンの体を成していた「自然発生型」のダンジョンで、漠然と自分がダンジョンコアだと言うことは知っていたけれど、ダンジョン運営という物を意識してやっていたわけではなかった。


 ルーちゃんと出会い、役割をはっきりと認識したと言う事で、ルーちゃんより先に産まれたコアでありながら、後から正式にダンジョンとなったという意味合いで「妹」となり、その姿もそれにあわせた物になったわけだ。


 スーちゃんに至っては、ダンジョンと言うより女神が寝に来る場所という自己認識が強く、ナーちゃん同様にルーちゃんとの出会いによって正式にダンジョン化したため同じく妹という扱いになっている。


 しかし、今回の子は俺がこの世界にやってくるずっとずっと前から、もうかなり長い間けなげにコツコツとダンジョンをアップデートし続け、規模は劣るが品質では塩のダンジョンに勝る立派なダンジョンを完成させているダンジョンコアの先輩である。


 この子をルーちゃんの妹というのはちょっと無理があるのではなかろうか。


 そんなわけで俺は描いてきたラフを元に必死に書き直しているところです。


 地のダンジョンから浮かぶ要素は「土」とか「岩」とか「泥」とかなんだか茶色い印象が強いんだけど、それから受けた恩恵で得ている物は野菜に果物、森に花畑。そのどれもが美しく生活に欠かせないものだ。


 仮に創造する姿を「おっさんにしなさい」というのであれば、俺は迷うことなく岩の鎧を纏ったゴツゴツとしたおっさんを描いただろうが、流石にこの流れでおっさんを描くのは不味い、というかきっとコアに泣かれてしまう。


 女の子の仕草で泣く岩のおっさんとかとっても嫌すぎるし胸が痛む。


 なので当初の予定通り、花をベースにした女の子を若干年齢を上げて仕上げていく。


 元のドレスは花のドレスだったが、ここはいっそ原点に返って和装をアレンジした物にしよう。ギャルが着ているミニ浴衣のような感じで……えっと画像検索ポチポチ……ああ、なるほど。いただき。


 花の要素をここに入れて……生地の模様に花は……いいやごちゃごちゃする。


 ちょっと色指定めんどくせえな……いいや、ざっくり塗っちゃえ……。


 ……


 ……よし、できた!


「おい、女神!描けたぞ!」


「どれどれ、先生に見せてみなさい」


「誰が先生だよ。ったく、えらそうに……。あ、名前も書いておいたからな。どうせお前は何も考えてないんだろうからさ」


「ぐっ……む、色が付いているわね……というかちょっと等身が高くない?」


「ああ、ずっと昔からダンジョンを作って正式なダンジョンコアとして活動していたわけだろ?だったら皆のお姉ちゃんじゃ無いか。だからだよ」


「なるほど……そうね。私がこの世界に産み落とした最初の子、それがこの子だったわ。全てが始まったこの土地をずっと護ってきた最初のダンジョンコア……うん、相応しい姿だわ、ありがとう……」


「おいおい、そんな顔するなよ何だか気が狂う……じゃなくて調子が狂うわ。いいから……ほら、早くしてあげな」


「うん、ほんとありがとうね」


 珍しく殊勝な態度で頭を下げる女神に若干戸惑うが、最初の子だって言ってたな。アイツがちょいちょい話す断片的な昔話から、どうやらこの世界は課題的なものであいつが作っている物なのだろうと推測しているが、それを始めたばかりのまだ初々しい綺麗な女神だった頃を思い出しているのかもしれないな。


 そしていつもの儀式が始まる。


 ルーちゃんと女神が手を繋ぎ共にコアに手を触れ、俺の絵と共に光りに包まれていく。


 その様子をオロオロとした様子でアースドラゴンが見ているのが微笑ましい。こいつも苦労したんだろうな……。後で食事会に招待してやろう……。


 そして光がゆっくりと収まり、アースドラゴンが感嘆の声を上げる。


「おお……主……立派になられて……」


 その目には涙が浮かんでいる。苦労したもんな、ずっと忘れられててな……くっそこんな時に風が目に染みやがる……!


「ああ……喋れるのね……動けるのね……女神様……いえ、お母さん……会いたかった……」


「ティーラ……ごめんね、大分待たせちゃったね。これからは一緒に世界を良くしていきましょうね」


「はい、お母さん……」


 くっそ、「お母さん」呼びは卑怯。すっごい良い子だ……女神のクソもまた母性をガッツリ出しやがって生き別れの母子再開みたいになってるからちくしょう……!


 くそ、涙なんて流してないんだからね!こんな顔!ステータス画面で隠してしまえ!


【みてみんメンテナンス中のため画像は表示されません】

 =====================================

 名前:ティーラ

 職業:ダンジョンコア

 LV:32

 体力:8800

 魔力:6900

 スキル:人化 ダンジョン管理 使役 召喚 自動翻訳 豊穣 種創造 鉱石創造

 =====================================


 うお、すげえ!すげえよ!流石ルーちゃんのお姉さん!

 皆最初はLV1だったのになんか32とかあるぞ。しかも固有スキルが3つもある!

 豊穣はまあわかるが、種創造と鉱石創造ってなんだ……鉱石は好きな鉱物を生み出せるとか?チートじゃん!


 そして種創造、これはもしかして……あれが出来るのでは……。


 っと、いっつも有耶無耶になっちゃうからるーちゃんも見ておこう。


=====================================

 名前:ルト

 職業:マスターコア

 LV:26

 体力:12000

 魔力:9800

 スキル:人化 ダンジョン生成LV3 勧誘 使役 召喚 自動翻訳

 =====================================


 レベル結構上がってるなあ……。ティーラよりレベルが低いが、上級職?だからかステータスはティーラより高いな。

 スキルが増えてないのは残念だけど、なんかもう一人、居るであろう風の子と繋がったら何か覚えたり強化されたりするような気がするね。


 

 うーん、色々やることはあるが、まずはこの不憫な子達の歓迎会を盛大にやってあげないとな!

 やっと書けるまで回復しました! 

 インフルAはヤバいですね。まさかインフルウィルスとレイド戦をする冒険者達の妄想が見えるとは。

 そんときゃ39度超えてたので即解熱剤飲んで妄想とグッバイしましたよ……。

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