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第百六十八話 嘘だといってよパーニィ

 変な愚痴を聞いてやったんだ、今度はこちらの話を聞いて貰う番だ。


「て感じでさ、なんとかしてやりたいんだけど如何せん転送門ゲートがないだろ?ここまで来るのも大変だなあって。


「そういや他の村は転送門ゲートで直行できるもんね。なんでここだけこんな辺鄙なところにあるのかしら?」


「それお前が言っちゃダメな質問だからな」


「うーーーん、ぶっちゃけ転送門ゲートはダンジョンの備品と言うことで設置してるわけで、村間の接続としてアレを使ってるのは実はかなり無茶な事なのよ」


「そんな気はしてたけど、ダンジョン外でアレを使うと世界に負担がかかるとかそう言う奴?」


「そう言うんじゃ無いけど……ぶっちゃけちゃうと、女神の技術ありきで世界が回ってるのがバレるとちょっと怒られるのよ……上の者に……」


「上の者」


「まあ、いろいろあるのよ。で、今はほら、ダンジョンを繋ぐという面白い試みと言うことでね、なんとか誤魔化して……というか寧ろ斬新だって褒められちゃって!そうそう、聞いてよブーケニュールの奴びっくりしてね!『リーちゃん凄い凄い!』って馬鹿みたいに繰り返してさ……あっ」


「リーちゃん」


「忘れて下さい」


「リーちゃん……」


「いいから」


「わかったよ。まあ、無理ならいいや。そん変わりなんか村に人が来る方法考えてくれよ……。流石にこのままだと不憫だしさ」


「集客ねえ……こんな辺鄙なところにわざわざ来るような事って……ああ、あるじゃないの立派な観光資源が」


「ねーよ」


「あるのよ!忘れたの?そうねえ、ヒント上げる。聖地!あの村を聖地にするの!聖地には信者が集まる!信者なら多少の苦労なら気にせずやってくる!ね?いいでしょう?」


「リーちゃん、そらねーわ。どうせ女神の泉()の事いってんだろうけど、宗教は面倒な事になるから自発的に創り出すまでやらない方向で!」


「なんでよ!つうかリーちゃん言うな!」


 と、結果的にギャアギャアとやりあう羽目になるわけで。

 暫く無意味な時間を過してしまったが、そこで思わぬ所から助け船が。


「ユウー、ママ-。はじまりの村に転送門ゲート創りたいんでしょ?繋げたらいいじゃん。あの子ずっと待ってるんだよ」


「「あの子」」


「教えてあげようか?って聞いたけど、ユウとママが気づくまで待ってるんだって」


「「気づく」」


「だよね、ユウもママもダメなとこ有るから絶対に気づかないよねこれ」


「えっと、ルーちゃんや……さっきから何をいっているんだい……」

「ママにも分るように教えておくれ……」


「あのねえ、あの子には悪いけどもう言っちゃうけど、はじまりの村にダンジョンがあるんだよ!」


「「えっ」」


「知らなかったそんなの……」

「私もよ……造ったっけダンジョン……」


「ママの事情は知らないけど、ずっと気配はしてたし、最近はお話しも出来るようになってたんだよ。ユウは兎も角ママには気づいてあげて欲しかったな……」


「うう……すいません……ダメなママでごめんねええええ」


「もー!そういうのは良いから!早く会いに行ってあげようね!」


 そう言えば、そう言うものだとばかり思って気にしていなかったが、確かにあの村周辺はおかしな特性があったのだ。


 異様に育つ作物、がっつり伐採してもゾンビの様に復活する森。随分と肥沃な土地だわいと思ってはいたが、まさかダンジョンがあったとは。


 ダンジョンがあるから肥沃なのではなく、何らかの形で女神の加護がかかって肥沃な土地が生まれ、それによって魔素が引き寄せられてダンジョンが産まれたのだろうな。


「成程なあ……地のダンジョン、こんな近くにあったとは……」


「え?地のダンジョンなの?なんであんたがわかるのよ!?」


「はあ……。お前本当に女神か?女神だよねえ?あの村に何度も遊びに行って気づくことはなかったの?」


「うーん……。特には……」


「ほら!思い出して!?あの村、ちょっと変わったとこあったでしょ?」


「そう言われても……あ!わかった!」


「はい、パンくん」


「住人があんまりエルフらしくない!」


「ブー----!!!って、ちょっと待てよおいコラ!」


「何よ!不正解なの?」


「今エルフって言いました?」


「言ったわよ。あの辺りは最初に創ったからさ、ちょっと真面目にやったの。ヒューマンじゃ面白くないし、エルフの里を創りましょうーって……ああ!なるほどね。森の国を創ろうと思って大地に加護を与えて……それで……魔素が……スッキリ!」


「おいおいおい!勝手に正解にたどり着いてスッキリして満足してんじゃねえ!あの村の何処にエルフが居るんだよ!?」


「なによ!確かにエルフらしくないけど、あいつられっきとしたエルフよ。他の土地と違って男女ともに純エルフ!」


 この世界に色々な人種が居ると知った俺は常々「エルフ達と早く会いてえなあ」と思っていた。

 しかし、この馬鹿ははじまりの村の住人こそがエルフで在り、俺は既にエルフに会っているのだという。


 ははは……抜かしよる……。


 確かに言われてみればおかしいレベルで弓スキルの伸びが良かったり、見た目もそれなりに整っていたり……先に知っていればそう言うものかと思ったかも知れない……でも……。


「何処に肉が大好きで大好きで肉を見ると飢えた獣の目をするエルフがいるんだよ!エルフって肉を食えないイメージが強いんだが?それにあいつらの耳を見ろ!長くないぞ!長くない!俺はてっきりヒューマンだと思っていたんだ!そんなレベルでエルフらしくないぞ!」


「あー-!それ言っちゃう?それ言うと助走つけて射に来るエルフ族があちこちの世界に居るわよ?ステレオタイプって言うのよそれ!エルフによっちゃあ、それを聞いたら『はあ?耳が長いのはエルフじゃなくて耳長族なんですけど!エルフがベジタリアン?はあ?それは特定の世界での設定なんですけど!けど!けどけどー-!!!』ってキレられるわよ!」


「ぐぬぬ……確かに……でも俺の心が傷ついたのは確かだ……キンタがエルフって嘘だろ……なあ女神なんだろ……俺を癒やしてくれよ……お前だってエルフらしくないって思ってるじゃんかよ……」


「いやよ面倒くさい……ああでもアイツがエルフだって認めるのは私も嫌かも知れない……」


「エルフも良いけど、早くあの子に会いに行ってあげてね、ユウ、ママ?」


「「はーい」」


 何もかもどうでもよくなりかけたが、ルーちゃんによって癒やされなんとかこらえることが出来た。


 何だか色々理解が追いつかないが、取りあえず土のダンジョン(仮)を捜しに行かないとな……。

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