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第百六十七話 たまには苦労する女神

 夕食の支度をしていると女神達が帰ってきた。

 

「ただいまー!!」

「ただいま帰りました」

「かえったよー」

「……ッス」


 誰だ最後の……女神お前か……。


 随分テンションが低いがどうしたのだろうか。


「聞いてよーユウー!!!」


 かと思えば、いきなり絡み出す。なんだこいつわけわからん……が、こちらも相談事が控えている。多少優しくして置いてやろう。


「ああ、ああ。話は聞いてやるからまずは風呂入ってこいよ。その間に飯も用意が出来るからさ」


 だらだらとした女神とはつらつとした子供達が連れ立って風呂に向っていった。


 はあ、めんどくせえ奴だ。まあ、ちゃんと働いてきたようだし、美味いもんでも出してやるかね。


 今日のメニューはシンプルに焼き鳥と焼餃子、エビチリだ。なんともいい加減なメニューになってしまったが、女神の機嫌を取ることを考えたらこんな雑な夕食になってしまったのだ。仕方有るまい。


「お前達は先に食ってな」


「おお、ありがとうユウ!」


 俺を乗せてあちこち走り回ってくれたクロベエ。彼にも感謝の気持ちを伝えておかないとな。


「もうしばらくの間手伝って貰うけど、後で埋め合わせするからよろしく頼むよ」


「いいよいいよ!こうやって肉を食わせてくれたら良いよ!」


 肉はいいけど、ヒカリや小春とあまり遊べてないのは気の毒だと思うんだけどな。

 本人がそう言うなら別に良いけどさ。


「ほら、ヒカリや小春にもおまけしてやる。お前らも食べろ食べろ!」


「わーーい!!!」


 肉塊を焼いた物に焼き魚を追加で置いてやると猫共が大はしゃぎをしている。デカい図体で賢く喋ったりしてもやっぱり根っこの部分は変わらないな。


 ひとしきりモフモフを堪能し終わったところで女神様が戻ってきなすった。


「おう、上がったか。飯は出来てるぞ!」


「あらー!餃子じゃない!エビチリじゃない!焼き鳥じゃないのー!!!」


 雑な居酒屋メニューに小躍りする女神。子供達も上がってきたので最後の1品として芋を揚げて食卓に出した。


「わーーい!!揚げジャモだー!!!」


 これは子供達を労ってのサービスだったが、ジャンク度が増して余計に居酒屋臭が凄くなってしまった。


「「「「いただきます!!!」」」」


「はい、めしあがれ」


 あついあつい、美味い美味いと賑やかに食事が進んでいく。それに時折「カー!」という女神のおっさん臭い声が混じる。そうだろう、そうだろう労働の後の生は美味かろう。


 女神が三杯目のジョッキをからにしたタイミングで話を切り出す。無論、先に相手の話を聞いてやるのだ。


「所で、なんだか辛そうな顔で帰ってきたけどどうしたんだ?確かお前は海に行ったんだっけ……」


「え?あ、ああ……それな」


「それなて。何があったんだよ……」


「私とスーちゃんの活躍で海の眷属はかなり集まったのよ。もう海のダンジョンはバッチリだってくらいね」


「おお、頑張ったな」


「で、フロアマスターどうしようかなって言ってたでしょ?聞いたのよリバイアタンに」


「見つからなかったのか?」


「ううん、居たのよ、ってかリバイアタンの紹介で直ぐに会えたのよそれがさあ……」


 ◆◇◆パン◆◇◆


「確かこの辺に居るらしいけど……」


「おかあー、向こうに大きな気配があるぞー。あれだよー」


 流石スーちゃんね。女神である私ですら気づけない魔力を感知しているわ。

 リバイアタンの話によると、魂を分けた弟的存在が居るらしいけど……そんなの創ったっけ……。


 思い出そうと頑張ったけど、この辺り触ったのはかなり前だし、結構ノリでやったとこ有るから微塵も覚えてないや。うん!変な者は出ないでしょう!


「あらあ!女神さまじゃないのお!何時以来かしら?」


「」


 何よこいつ……知らないわよ、知らないわよ?私こんなの創ったっけ?ていうか、リバイアタンじゃないのこいつ?どう見てもリバイアタンよね?


「何変な顔してるのお?あ、わかった!リバイアタンに似てるとか思ってるんでしょ?しっつれいね!私はリビアサン!自分が創った子供を忘れたの?」


 えーとえーと……。私を知っていて自分を私の子だと言うと言うことは……原初の魔族よね……。リバイアタン作った時ってうーん……。


「覚えてないのお?悲しー!リバイアタンと同じ日に産んでくれたじゃないのさ!」


 リバイアタンと同じ日……。


 ……?


 ……!


 あ、ああ……思い出した……。コピペしたんだ……リバイアタンを……。

 リヴァイアサンを創って、どうせなら番いにしようと思ってコピペしたら眠かったせいでパラメータ間違えて性別だけ雄になったんだ……。


 提出期限近かったし、面倒だったから名前を適当につけてそのまま……ああ……。


「お、おぼえてるわよ!リビアサンよね!」


「名前はさっきアタシが教えたじゃないの!」


「違うわよ!思い出したのよ!リバイアタンと対になる魔族として私が創ったんじゃないの」


「思い出したって……やっぱり忘れてたのね……かなしー」


◆◇◆


「……そんな具合でさ、その流れからしばらくの間オネエの愚痴を聞かされる羽目になってさ……しらねーわよ!魚類の恋愛沙汰なんか!」


 それはそれはお疲れ様で……しかし身から出たサビという言葉がこれほど似合う女神は他にいないな。


「その間スーちゃんが頑張ってくれたからさ、その時間も無駄にはならなかったけど」


「……まあお前がやった仕事と言えばリビアサンの愚痴を聞いただけにしか見えんが……、いや、スマン。それが一番面倒な仕事だよな……俺は正直やりたくねえ……」


「分ってくれるなら良いわ……。ああ、彼……いえ、彼女は既に海のダンジョンにいるから……そのうち挨拶に行くのよ……?」


「……善処する」


 

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