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第百六十五話 それなりに忙しい男 ユウ

 次の旅前にダンジョンを一応整えておきたい。

 

 そうは思っても俺は俺で忙しい。


 てわけで、雪のダンジョン用の『お友達スカウト』にはナーちゃんとルーちゃんを。

 海のダンジョン用のスカウトにはスーちゃんと女神を派遣することにしました。

 ルーちゃんはああ見えて女神よりしっかりしているので、ナーちゃんの保護者役です。


「いいかい、なるべく初めましての子を増やして欲しいとは思ってるけど、今居る子を増やしちゃダメって言うわけじゃ無いから、その辺は好きなように連れてきて良いからね。特に雪原に居るアイスモルモルは居れば居るだけ色々使えるからさ……」


「かしこまりです父上!」


「ねえ、おとうー海の子にはーそういうの無いのー?」


「海かあ。特に今んとこはないかなあ。あー、リバイアタンを水のダンジョンに移してマスターにしてるじゃん。海に行く前にリバイアタンとこ寄ってさ、面白そうな魔物を聞いたり、フロアマスターに慣れるような子が居ないか聞いたりすれば良いと思うよ」


「おおー、それは楽できそうー」


「パンが寝ないように見張るのを忘れずになー」


「寝ないわよ!……多分……しばらくは平気……」


「……?まあいいや。気をつけていって来てね」


 どうもマリーナに行ったあたりから女神の様子がちょっとおかしいが、気にしたら負けだ。

 俺は俺で色々済ませておかないとな。


 まず、シゲミチからの相談を解決しなくっちゃ、というわけで現地入りしました。

 えー、私は今例の森、女神の泉()がある森の前に来ています。


 ここには結構な数のテントが立ち並んでいて、さながら野営村といった感じですねえ。

 何でこんな事になっているのか?ダンジョンからここまでそこそこ距離があるため、はじまりの村を目指してここに来るとそれなりに良い時間になってしまいます。


 俺のように馬車的な物……せめて、馬でもあればそんな目には遭いませんが、彼らには足がありません。

 女神の加護()で森を通る街道沿いにはあまり魔獣が出ないと言われていますが、それは昼間のお話し。夜になればルーちゃんのお話しが通じない野性味溢れる『お友達』が『なにそれなにそれー』と張り切ってじゃれついてくる危険な森です。


 ダンジョンで揉まれてそれなりに強まった狩人達でも暗い中での戦闘は危険が伴います。

 なのでこうしてダンジョン前で寝泊まりしているというわけですね。


 しかしテントと言っても、粗末な物ばかり。それもそのはずテントはまだちゃんとしたのが存在しないからですねえ。


 そこでシゲミチ君は考えました。ユウさんにおねだりしてなんとかして貰おう。


「ユウさん、森の前で野営をする冒険者達からもっと安全に寝泊まり出来る場所が欲しいって言われてるんですよ。たまに森から出てくる魔獣に襲われるみたいで……何か作れませんかね」


 正直そこは自分達でなんとかして貰いたかったんですが、まあ手本となるような物を一つ作るのは悪くはありません。


 というわけで、ちゃっちゃと作ってしまおうと言うわけでやってきたわけです。

 まだ野営の準備をするには早い時間だというのに、邪魔なテントですね……。


「あー、君達。邪魔だからちょっとテントどけて!!」


「なんだよいきなり来て……あ!こいつユウさんだぞ!」


「今度はなにやらかすんだ!?」


 そんな人を動けば何かやらかすような変人みたいに言うのは辞めて頂きたい。

 まあ、やらかすんだけど……。


「シゲミチくんから安全な寝床を作って欲しいって言われたんだよ。おめーら今度シゲミチ君にたっぷり差し入れしてやれよ。あと足向けて寝るなよ」


「なんだかわからんが、なんかしてくれるんだな!よし!みんな!テントをどけろー!」


 テントというのも悲しくなるようなぼろきれ達が撤収されていきます。我ながら失礼な事を言ってるとは思うけど、あれじゃ俺が葉っぱで作った「おうち1号」のが立派に雨風を凌げるってもんよ。


 しかし撤収速度だけは褒められた物でした。あっという間に片付き、設置スペースが生まれます。


 まずは……地ならしから。開拓ツールでさっさと平らにしていきます。後はもう適当です。

 言われて作っておいた図面を読み込み、建造キットで3階建てのログハウスを建てました。

 1階部分は頑丈な足場だけで、ハシゴを使って2階の建物に入るような具合です。

 3階へは2階内部にある階段を使って行けるようにしました。


 所謂「ブンブン」とか言う奴をイメージした物です。某全国区になった地方旅バラエティ番組で出演者がジャングルの野生動物を観察するために宿泊したアレです。


 ここに泊って「ラウベーラだー!!!」「リブッカでした」なんてキャッキャする姿を想像すると楽しくなりますね。


 いつもの調子でちゃっちゃと作っちゃいましたが、はじまりの村の連中からすれば俺がこうやっていい加減にさっさと作っちゃうのはもう珍しくもなんともないので、なんか良く分からんがもうできたと喜んでいます。


「毛布とかそういうのは無いから今日は自分達のを使えよ」


「ああ、大丈夫だ!これなら安心して寝られるよ」


「一応見張りはいた方が良いと思うけど、テントよりは安心だろうさ」


「すげえ!調理場まであるぞ!」


 暖かいご飯を食べられるようにと俺からの気遣いです。

 水場は面倒なので用意しなかったが、その辺はなんとかして欲しい所だ。


 どっかで馬車を引く魔獣を捕まえてきたら不要になるかもしれんが、そん時はまた別の用途で使えば良いだろう。


 さて、後は何を頼まれていたかなあ……。

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