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幼き世界に調律を  作者: 未白ひつじ
第7章
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第百六十話 開村準備のいろいろ

 ブレイクとハンナは思った以上に村長の適性があった。


 まずハンナだが、見た目に反して処理能力と記憶力が高く、村の運用に必要な情報をきちんと覚え経理周りも任せても問題が無さそうだった。


 そしてブレイクは行動力と発言力があり、何か小競り合いがあれば直ぐに駆けつけ双方の言い分を聞いて両方が納得する妥協案を出して解決する。これは完全にキンタの上位互換である。


 これこそがシゲミチが短期間で帰れた理由であり、予定より長く居た理由である。


 何だか矛盾している様な話だが、まずシゲミチくんには黙っていたが、元々一月は居てもらうつもりで呼んでいた。一週間やそこらで村長教育が終わるわけがないのだ。


 始めからそれを言ってしまうとキンタ達の協力の下何処かに隠れてしまっていただろうし、今後の協力にも影響が出るだろうと思ったので、「行ってみたら以外と楽しくて気づいたら一月経ってました」と言う流れを狙い、取りあえず1週間だと騙して連れてきたのだ。


 所がどうだろう、1週間もすればあの夫婦はキンタ以上に立派な村長に育っていた。これにはユウサンもびっくり!


 俺だってちょっぴりキンタに悪いと思ってるし、リットちゃんにはそれ以上に申し訳なく思ってるし、マーサは底が知れぬ恐ろしさを感じるから予定通り返そうと思ってたんだ。


 ……ところが。


「え?もう帰って良い?うーん、キンタさんには俺から言うのであと三日貰えませんか?見せてあげますよ本当の村長って奴を」


 なんだか父親と確執がある料理に詳しい人みたいなセリフを言って帰宅を拒む。


 まあ、俺は損をしないし本人がそう言うなら、と任せて置いたら「本当の村長」ってやつにキッチリ育て上げて連れてきやがったから恐ろしいよな。今まで見てきた村長は何だったのだろう、あれじゃあただのキンタと幼女じゃないか……。


 名目上はブレイクが村長で、副村長がハンナという形になっているが、二人それぞれ補い合いつつ村をよりよい物にすべく切磋琢磨しているようだ。この村は早々に自立できそうでなによりだな。



 インフラもザックやモルモル達の活躍で改善し、今では水を汲むためダンジョンまで行く必要は無くなった。現在あそこに向うのは交易場に向う人々だけである。


 あまり衛生的では無かった部分も下水道や水洗トイレの徹底的な普及活動のおかげで解決し、海水浴場がある村として他の村からレジャースポットとして客を呼んでも問題無さそうである。


 交易場への往復は解禁しているため、野菜や肉を売る店が集落内に出来、他の村と遜色が無い程になったと思う。後はほっとけば其々勝手に店を作ったりするんじゃないかな。


 という具合に一週間後に控えた開村式の用意はバッチリ!……と、言いたいところだが「レジャースポット」とやらをまだ作っていないのだ。はじまりの村は置いといて、ヒゲミミ村には温泉と雪遊び場があり、それを目当てに訪れる人達が結構居る。


 この土地でレジャーと言えばやはり海だろう。海水浴場や釣り堀を作ってマリンレジャーを楽しんでもらおうというわけだ。「作っていない」とは言っても、別に何もせず女神をからかって過ごしてたわけじゃないぞ。


 建物や設備は俺がちゃちゃーっとやっちゃえば直ぐ終わるので今日まで手を付けていなかったが、時間がかかる大事な人材育成はコツコツと裏でやっていた。そのためのウサ族、こんな時のウサ族。


 レジャースポットに大切なのは食。


 器用で好奇心が旺盛なウサ族は一度興味を持つとトコトンはまる。建築スキルに始まって細工スキル、そして何より調理スキルが素晴らしい。

 レシピサイトから書き写したレシピを与えれば、こちらの素材でアレンジをしてほっといてもポコポコ何かしら作れるようになっている。ラーメンを開発していたのには驚いたな。


 醤油はまだ作っていないので塩ラーメンになってしまっているが、それでも十分美味かったな。


 海水浴と言えばラーメン!海水で冷えた身体に染み渡るラーメン!製麺からスープや具材の仕込みまでみっちりとウサ族から住人達に教育させた。


 一人くらい居ればいいなと調理師希望者を募った所、結構な数の希望者が手を上げた。

 そんなにたくさん海の家を作る予定はなかったが、村の方にも食堂が欲しかったので希望者全員に教えることに。


 ラーメンだけではアレなので、カレーや焼き鳥、フライドポテト的な奴なども作れるようにしてもらった。


 さて、今日はその最終仕上げ、施設を作りをするのだ。


 浜辺に行ってログハウス風の建物を4件建てる。1件は大きめの建物で、中に食堂と休憩所、そして売店を置いた海の家だ。


 売店ではこの世界では馴染みがないであろう水着の販売が主な役割だ。

 魔族である蜘蛛のねーちゃんから貰った糸がその素材として適していたため、それを使って色々と作ってみたのだが、かなりの量を作ったため蜘蛛族にはかなりの負担をかけることとなってしまった。


 「お礼をしたいのだけど、欲しいものはあるかい?」


 と、聞いた所、「ウサ族の様に仕事をさせて欲しい」と頼まれたので、取り敢えず今は森のダンジョンで製糸業とそれを使った布づくりをさせている。出来上がった製品の対価をどうするか相談した所現金で払ってほしいと言われて驚いた。


 ダンジョン内で役に立たないだろうと言うと、「ウサ族の店で買い物をするのに使う」と言っていた。

 連中め、知らぬ内にダンジョン内で店を開いていたらしい。


 アクセサリや料理を売っているようで、今まではそれを手に入れるため交換に使えそうな物をダンジョン内をうろついて何かしら探していたが、金があればその手間が省けるということだった。


 そういやウサ族には全面的に許可を出してるから連中は普通に外で買い物してるんだよな。金が使えるのは当然か。


 そんな具合に蜘蛛族が俄然意欲を持って仕事を手伝ってくれたため、水着の他にパラソルも用意することが出来た。これは販売ではなくレンタルという形にする。別に売っても構わないけど、こんなの盛って帰ってもじゃまになるだけだからな。


 残りの建物は男女それぞれのシャワールームと更衣室、それとトイレである。


 シャワーは温水が出るようになっているが、これは完全に俺の好みだ。冷水しか出ないシャワーは滅びてしまえばいいのにと常々思っているので、ここは惜しみなく魔導具を設置した、


 最後に海水浴場から少し離れた場所に背が低い桟橋を作り、釣り堀的なスポットにした。桟橋の入り口に小屋を置き、そこで道具を借りられるようにする。時間制限は特に設けず、夕方の閉店時間までであればずっとやっていても構わないし、釣った魚に対する課金も無く自由に持ち帰って良いこととする。


 レンタル料金を入場料代わりに支払って使える釣り場と言う扱いだが、これには危険な場所で竿を出さないように釣り場を限定する狙いが有る。将来的に釣り具が普及すれば勝手にそこらでやる連中も出てくるだろうが、今のうちはなるべく管理出来る場所で安全に遊んで欲しいのだ。


 

 さて、これで準備は万端。住人達に声をかけて明日からのプレオープンを知らせよう。






 いやあ、昨日は書いてる途中で寝落ちして結局投稿できませんでした。

 これは昨日の分として今日の分はまた夜に投稿します。

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