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幼き世界に調律を  作者: 未白ひつじ
第7章
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第百三十一話 第一回村長会議

 第一回村長会議がいよいよ開催される。


 場所ははじまりの村……ではなく、俺の家周辺、なんと呼べばいいんだろう……。

 ……領地?ちがうな。とにかく例の冒険者の宿内にある会議室だ。


 馬鹿パンがウサ族を唆して神殿として建てようとしていたため、礼拝堂の名残があるのだ。

 倉庫にでも使おうかとも思ったが、折角なのでちょっとした集まりが出来る部屋にして貰っていた。


 丁度良いので今後もここを会議室として使おう、そういうことにしたわけだ。


 参加者は議長には私ユウが仕方なく。

 ダンジョン代表 ルーちゃん&ナーちゃん

 はじまりの村 村長 キンタと副村長シゲミチ

 ヒゲミミ村 村長 マルリさんと副村長代理 シズク

 

 書記として無理矢理連行してきたリリィ


 そして最後に賑やかし(オブザーバー)駄女神リパンニェル


 まだまだ席は余っているが、ここが埋まる日が来ると嬉しいな。


「では、第一回村長会議を始めます」


 パチパチと俺が手を叩くと、パンが其れに合わせ、それをみた皆もパチパチと手を叩く。


「議長、つまりこの話し合いのまとめ役は私、ユウ。

 書記、つまりは皆が話したことを書き留める役にリリイで進行いたします」


 まずは自己紹介からだ。


「さて、村長とその関係者だけに秘密を打ち明けましょう。

 底座っている二人の少女、ルーちゃんことルトとナーちゃんことナールの二人はそれぞれ幼いながらもダンジョンの管理人をして居ます」


「まじかよ、すげえな!……うちのリットも俺の代わりしてるから似たようなもんか……」


 ナイスアシスト!


「そうそう、パンと娘二人でダンジョンの管理をして貰ってんだよ。

 っと、まあそんなわけで小さいながらもしっかりしてるので、ダンジョンについては二人に頼むよ」


「ルーちゃんです。塩のダンジョンのだんじょんますたーですよろしくお願いします。

「ナーちゃんです。火のダンジョンのだんじょんますたーをさせて頂いています。よろしくお願いします」


 二人がぺこりと頭を下げるとパンがめっちゃ拍手をしていた。

 参観日のお母さんみたいな奴だな。


 そしてリリィは黒板に「ルー様 ナー様 かわいい」と書いている。

 そうなんだが、そうじゃない……まあいいが。


「続いてはじまりの村の村長、キンタとふがいないキンタのお目付役兼、副村長シゲミチ」


「おい待てよ!ふがいないって……んんっ村長のキンタです。よろしく!」


「ふ、副村長?ええ?まあいいや……シゲミチです。よろしくお願いします」


「はいはい、サクサク行くぞ。そこでおやつに夢中なのはうちの娘では無く、ヒゲミミ村の村長、マルリさん。

 女性の年齢を言うのは失礼なので伏せるが、見た目通りの年では無いと言っておくぞ」


「マルリなのじゃ。ユウの子供になったのじゃ!よろしくの!」


「もー!違うでしょう!……まあいいや可愛いから……で、それがシズクな」


「ちょっとユウ様?雑ですわよ!ええと、副村長の代理兼、マルリさんの代わりとして連れてこられましたの。次回からはバーグという男性が来ることになりますが、今回はよろしくお願いいたしますの」


「あれはパン。というわけで、最初の議題から……」


「ちょっと!何英語の例文みたいな紹介してんのよ!」


「ええ……だって皆知ってるから今更かなって……」


「もっとこう……なんかないの?ほら、ほら!」


 めんどくせえなあ……まあ色々やらせる予定だし……


「はい、美人で有名なパンさんです。彼女はとてもとても賢くあらせられるので、今回は皆の指導役として呼んであります」


「ふふん!皆私に任せると良いわ」


(言質取った)


 ……というわけで、多少ぐだぐだとしながら始まりました第一回村長会議。


 会議自体は事前にそれぞれ打ち合わせをして居たため、スムーズに進みました。


 双方の村から特産品を出荷し合う、職人の交換研修の実施、両村民への転送門の開放。

 

 これらは予定通りに話が進んだ。


 予定外であり、面白いなと思ったのは特産品の取引方法だ。

 それはキンタのふとした閃きからだった。


「なあ、こっから村まではちょっと距離があるだろう?移動が大変だよな」


「そうだなあ、まして荷車を引きながらとなるときついわな」


「で、話によると、交代交代でそれぞれ村まで行って商品を売ったり買ったりするということだったよな」


「そうだな、荷物を運んだついでに仕入れて帰る感じね」


「例えばさ、この辺に交換所を作ってさ、もっと自由に売り買い出来たら楽じゃね?」


「……」


「お、おいなんだその、背中に雨粒入ったかのような顔はよ?」


「い、いやあ……急に知能が芽生えることもあるんだなあって」

「馬鹿にしやがって!」


「なるほど、言い意見だな。じゃあ、そこらの空き地に屋根付きの場所を設けるからさ、それぞれ適当な場所に店を構えて売り買い出来るようにすっか」


「それなら欲しいものを欲しいだけ買うことが出来て楽ですわね」


「ああ、基本は店をやってる人へのまとめ売りをしてもらうことになるが、其れとは別に個人用の店を出しても良いかもしれないな。

 これからはヒゲミミ村からも冒険者……、ダンジョンに入る人達がやってくることになる。

 となれば、ダンジョンで手に入れた物を売ってお金に換え、好きなお土産を買って帰るって事も出来るようになるわけだ」


「おお、それはいいな!リットがよお、もっと肉を持ち帰れっていうんだけどな、どうも俺には鉱石やら塩やらのが多く落ちるみたいで……」


「じゃ、明日にはもう建てちゃうから移行は好きなように使ってくれ。

 一応管理人として適当なウサ族をおいとくから分らない事は聞けば良い」


 意外なところから案という物はでるんだなあ。

 交易場、ちょっと考えたことがあった気がするけどこれはキンタの手柄。

 たまには良いこと言うじゃ無いの。


 となれば、泊る場所も必要になるな。

 ウサ族の大工に頼んで宿屋も増やして貰わないとな。


 村と村が繋がり、いよいよ交易が始まる。

 見ていますか、女神様。


 貴方の望んだ世界にまた一歩踏み出そうとしていますよ。


 ……見てねえんだよなこれが。


 リリィに目配せをして氷をパンの背中に入れて貰う。


「っひゃうあ?な、なに?氷河マンの攻撃?ん?あれ?

 ここは……知らない天井だ……」


「おら!今会議が良いところなんだから寝んな!」


「ね、ねてにゃいわよ……じゅる……」


「涎をすするな!ほら、これで拭いて……まったく……」

「はあ、すまないねえユウさんや……」

「すまないと思ったらおきて下さいよお、パンさんや……」


 何時ものクセで介護をしているとキンタ達の視線が突き刺さる。

 しまった、人前だった!


「まあ、仲が良いのはなによりだぜ……で、次の話だがよ……」


「はい……」


 ……パンめ、後でアホほど働かせてやるからな……。

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