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幼き世界に調律を  作者: 未白ひつじ
第7章
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第百二十七話 楽しいオウチ計画

 ボックスにしまって置いたカレーをパンと共に出すと、森のウサ族達は恐る恐るという感じで口をつけた。


 一口食べ、二口食べ、三口目からはもう止まらない。

 

「これはの、こうして食べるのが一番うまいのじゃ」


 マルリさんがパンをつけて食べてみせれば、それを真似てさらに食べる速度を上げる。

 そしてあっという間に食べ終わってしまい、綺麗になった皿をぼうっと見つめていた。


「おかわりも良いぞ!」


 ここだとばかりにそのセリフを言うと、恐る恐る皿を出してくる。

 別にこの後酷い目に遭わせたりしねえから安心してくいな……。


 ふふふ……。


 いやいや、何もしないって。ただ働かせるだけだから……。


「さて、宇佐次郎、宇佐五郎。お前らさ、今どれくらいの速度で家を建てられる?

 こいつらとお前らが取りあえず住む家を建てて欲しいんだが」


「そうですな、我ら二人なら2日、森の同胞達が使い物になるなら今日中には」

 

 ウサ族の黒い方、宇佐次郎が腕を組んで答える。


「内装をユウ殿がやって下さるというのであれば日暮れ前にはできますぞ」


 ウサ族の白い方、宇佐五郎が腕を組んで答える。


「いくら何でも速くないか?大丈夫か?つうか、道具はどうするんだ?」


 ウサ族の白いのと黒いのがニヤリと笑ってそれに答える。

 ちょっとうぜえ……。


「大工を極めし我らに最早道具は不要」

「手刀にて木を切り手刀にて木を組み手刀にて屋根を葺く!」


「森のウサ族に仕事を覚えさせる意味もあるんだから、そんな意味不明のワザは禁止で」


「「そんなー!」」


 結局製作ツールで人数分の道具を作ってやり、作業をさせることにした。


「あのな、達人のワザをいきなり見せてもモノに出来ねえっつうの。

 職人のワザってのは後世に受け継ぐ宝なんだから丁寧に教えてやれよ」


「流石ユウ殿……長い目で物事を考えていたのですな……」

「心得ました、我らユウ殿のために必ずや、立派な大工に育てましょう」


「う、うん……、まああんまり根を詰めないようにね?」


「「はっ!」」


 ……女神の加護を受けるとみんなこうなっちまうのか?

 モルモルと良い、ウサ族と良い男共はなんかそろって暑苦しい……。

 

「道具は持ったな!では同胞達よ!今から我らの家を建てる!

 分らないことは聞け!分らないままするな!怪我はもっとするな!」


 始まったようだな。


 じゃ、俺も村人達の家に取りかかるか。

 

 と言っても俺は図面を引くとこからだ。

 ネットで「2DK」と検索をして良い感じの間取りをパク……参考にする。

 

 このスマホの良いところで在りいい加減なところは「内装」「外見」をそれなりに書くと

 それなりに矛盾が無いように作り上げてくれるところだ。


 とは言え、窓や扉の位置などをいい加減に書いてしまうと妙なことになるので、その辺は注意して書いていく。

 ああ、そうだパンを騙して印刷機能をつけて貰うんだった。


 そうすりゃ丸パク……図面を印刷してそのまま使えるもんな。


 今回は既に筆を走らせているのでまた今度だな。


 今書いているのは2DK、三人以上の家族が暮らす前提の建物だ。

 平屋で一棟につき3部屋。これを4棟作る予定だ。

 他にワンルームや1DKも建つわけだからちょっとした団地が出来上がるな。


 ちなみに夫婦世帯を1DKにするのは理由がある。

 一つの寝室を二人で使うと言うことは色々と捗ると言うことだ。

 どんどん捗ってさっさと2DKか自分で建てた家に引っ越しな!という、長い目で見た人口増加計画なのである。


 てこた、ウサ族には多少壁を厚くしておくよう言う必要があるな。

 なんのためかって?言わせんなよ!腹立たしい!


 無駄に悶々してきたところで図面が書き終わった。

 ウサ族はっと、うおはええ!もう基礎が出来てる。


 何をどうやったのかわからんが、どう見てもあれはコンクリートじゃ無いか。

 にしては既にカチカチになってるし、後で何やったのか聞いてみるか。


 さて、俺も負けてられんな。


 ここらはこれからトンカントンカン煩くなりそうだし、少し街寄りに建てることにしよう。

 ざっくりと区画を決め、スマホでロックしてポンだ!


 下からジワジワと早送りで出来上がっていく建物……

 何度見ても気持ちが悪いな。


 前はもう少しゆっくりだったんだけどな。

 馬鹿が面倒になって制限解除したからキモいことになったんだよなあ……。


 っと、今のうちにモルモルを呼んでこないと。

 

 モルモルを借りにザックの事務所……もとい、魔導具店に向かう。

 

「あら、ユウ様いらっしゃいませですわ」


「おう、モリーか元気そうだな。ザック居るかい?」

「ザック様は魔導具の設置で出てますわ」

「そっか。新しく家を建てたからさ、モルモルを借りたかったんだけど……」

「上下水道の工事なら若いのを何匹か出しますわ」

「お、そうかい。じゃあ頼むよ。お代はシゲミチまで頼む」

「かしこまですわ」


 ぴょこぴょこと奥に消えたモリー。

 若いのを呼びに行ったのだろう。


「お前達!出番だよ!さあ、たっぷり働いてきな!」

「「「へい!姐御!!!」」」


 ああ、若いのってそういう……。


 

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