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第百十七話 ユウ、雪原に行く

 村作りの件はそっくりシゲミチ達に丸投げしたのでとても暇である。


 なので今日はルーちゃんナーちゃんを連れて雪遊び場を作りにやってきました。


 一応、アレも誘ったのだが、思った通り


「いやよ!ばっかじゃないの?暖かい所から寒い所にわざわざ行くのは馬鹿なの。

 楽しいことをしに行くならともかく、作業でしょ?今日はやることあることにするから行かない!」


 と、身も蓋もない断られ方をしてしまった。


 馬鹿なのはアイツなんだよなあ……。


「ナーちゃん、前に熱から守る加護を使ってくれただろう?寒さから守ることも出来る?」


「任せて下さい、父上。熱に関することであれば自由自在です」


 思った通りである。


 一応アイツを誘ったのはこれが無理だった場合の予防線だったわけだが、こうしてナーちゃんが出来る以上、来なくてよかったと言えよう。


 どうせ来ても暇だの飽きただのうるさいはずだからな!


 あんまり集落から離れた場所に作ると今度は移動がダルいしな。

 このあたりに作ることにしよう。


 集落から徒歩5分位、めちゃくちゃ近い所に雪遊び場を作ることにした。

 この地域には春が来ることはないし、一度適当に作ってやって、あとは物好きなドワーフにメンテを頼めば長持ちするだろうて。


「ルーちゃん、ナーちゃん。今からちょっと作業するから離れてみててねー」


「はーい」

「わかりました!」


 開拓キットを立ち上げ先ずは雪原を均していく。

 

 あまり広くしすぎても管理が大変だが、狭すぎても遊びにくい。加減が難しいな。


 とか言いつつ、結局大きめの校庭1枚分くらい均してしまった。

 

「次は……山を作るか」


 アプリを操作し、範囲を指定した後断面図に切り替え地形を弄っていく。

 市長になるゲームの土地エディターみたいなもんだ。

 雪ではなく、地面が隆起してちょっとした丘を形成していく。


 地下がどんなことになってるのか想像できんが、まあなんかあったら女神のせいにすればよかろう。

 

 スキー場となれば大規模な作業が必要となるが、ちょっとしたソリ遊びをする程度だ。

 100mくらいの長さを滑り降りられるくらいの丘にしておいた。

 これくらいあれば結構楽しめるんじゃないかな。


 次に雪合戦場を作っていく。

 これは簡単だ。2チーム戦用の合戦場を3セット、それぞれ合戦場の両端に1m程度の防壁を作り自陣とした。


 おっさん達はちっこいから少し高いかもしれんが、材料は雪だし、どうとでもカスタムできるだろう。

 

 残りの部分は自由に遊ぶスペースとして完成だ。

 念のため、周囲をまるっと柵で囲んで魔獣の侵入と迷子防止とした。


「っと、一応小屋も建てておくか。何かあった時あれば便利だろうしな」


「あ、あの……父上……」

「ん?どうしたんだい、ナーちゃん」

「その……あの……」

「ナーちゃん、私も同じこと考えるよ、きっと!お願いしてみて!」

「はい!姉上!あの、父上、少し…遊んでみてもいいでしょうか……?」


 なんて遠慮がちな子供なんだ……。どこかの馬鹿に爪の垢を飲ませてやりたい。

 しかし子供に遠慮は無用、どんどん遊んで欲しい!


「うし、いいぞ!ただし、ちょっとだけ待っててくれな」


 ボックスからスケッチブックを取り出し、ソリの絵を書いていく。

 俺がよく遊んでいたやつはポリエチレンかなんかで出来た軽いものだったが、そんなものはここにはない。

 木製の渋い奴を作るのだ。


 [ソリ 木製]と、イメージ検索をするとスノコにブレードがついたようなソリがHITした。

 いいじゃんこれ、手すりをつけたらバッチリだな。


 スマホを見ながらサラサラと書いて、製作キットでポーンと20台作った。

 そのうち2つをルーちゃんナーちゃんに渡し、もう一台取り出して手本を見せることにした。


「これはソリというもので、雪の上を滑って遊ぶものさ。

 まず俺がやってみせるから見ててな」


 ソリの紐を掴み、丘を昇っていく。

 その後ろを同じくソリを引いた二人がトコトコとついてくる。

 そこまで急な坂ではないので思ったよりは疲れないな。


「いいかーー!滑るぞー!」


 ソリに乗って雪を蹴って坂を下る。

 

 意外と速度が乗ってなかなかに気持ちが良い。

 昔はよく家の裏山でこうやってあそんだっけなあ……。

 

 やばいなこれ、童心に帰れるっていうかおもしれえ!


 間もなく動きが緩やかになったので降りて上に向かって呼びかける。


「おおーい!今のような感じで乗ってみろー!」


「「はーい!!」」


「はやーーーい!!」

「おおおお!景色が流れていきますよおおおお」


 二人が競争するかのように並んで滑ってきた。

 見ていてハラハラするが、やたらと微笑ましい……。


 俺の脚元に到着した二人は興奮気味にもう一度やっていいか聞いてくる。


「ああ、いいぞ。俺は暫くそこで作業をしてるから、終わるまでゆっくり遊びな」


「「やったーーー!!!」」


 えっちらおっちらソリを引きずって上がっていく二人を見送って俺は小屋作りだ。


 小屋は少し大きめのログハウスっぽい感じにしよう。

 後で馬鹿を騙して雪よけの仕組みでもつければ埋まることもあるまい。

 取り敢えず中には暖房の魔導具を置いて暖を取れるようにする。


「設計図は……ログハウスで検索して出てきたこのクソデカイのにしよう。

 前にアホほど木を切ったからまだ沢山在庫はあるはずだし」


 とは言え書き写すのが非常に面倒だ……。

 これも今後の課題だな。


 何かで釣ってブラウザと開発系のアプリを連動させねば。


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