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第百一話 女神様は森へユウ様はカレーへ

 シゲミチ達が来るまで暇で暇で仕方が無いので、俺は早速カレー作りに精を出すことにした。


 その間、パンにはルーちゃんナーちゃんを連れて再度外に行って貰うことにしたのだが、まあまあごねるごねる。

 「嫌よ嫌よ!だってあんた知らないでしょ?外寒いのよ!?それに雪がいっっぱいあるの!昨日は我慢したけど今日もなんて聞いてないわ!嫌よ!嫌よ嫌よ!」


 ジタバタとだだをこねる女神は最早ルーちゃんナーちゃんの前だと言うことを忘れて醜態をさらしている。

 確かに寒いし雪も深いからな。昨日はさぞ辛かったことと思う。


 でもなあ、こいつ確実に忘れてるよな。家からここまでの道中は防寒着を着ていると暑いくらいだったことを。


 ルーちゃんの「わあ、寒いねえ」という言葉を聞いて即時張った耐寒フィールドのことを。


 大体にしてそれを忘れてなかったらあんなサウナ状態で火のダンジョンを探索するというマゾい事態にはなっていなかったはずなんだ。


 昨日寒かったーって言ってるのを聞いてやっぱりなと納得したわ。


 面白いのでその事には触れずに外に出してやろうと思うが、今日はルーちゃんナーちゃんも一緒だから何処かのタイミングで思い出して使うだろう。


「ほら、ルーちゃんナーちゃんもお外で雪遊びしたいよねえ?雪遊びしたり、お友達候補とお話ししてきたりしたいよねえ?」


「お外行きたい!氷のモルモルとお話ししたいよ!」

「私も姉様と一緒に魔獣と語りたいです!あ、あと父上が話していた雪だるまという物を作ってみたいです!」


「おら!お子様達がお外に行きたいってさ。このままだと君、ちょっとした悪者になっちゃうよ?んん?」


 子供を使って脅すという我ながらゲスい真似をしているが、こうでもしないとこいつは動かないからな。俺が行ってなんとかなるなら別にそれでも構わないんだけど、魔獣との相談がダンジョンの話にまで及ぶとお手上げだ。


 ん?俺もパンと一緒に行けば良い?


 誰があんなクソ寒いとこに好き好んでいくんだよ!俺はカレーを作る!作るんだ!


 ◆◇◆


 というわけで、無事女神様御一行を交渉に向かわせたので俺は温泉施設のキッチンにやってきました。


 ボックスから取り出すのはジャモ、ミーン粉、ギネマ、ヒッグ・ホッグ肉、そして作りたてのカレー粉です。


 ジャモはこの世界のジャガイモ的なアレだけど俺の品種改良によってかなり旨くなったやつだ。


 ミーンは麦っぽい奴で、それを粉に加工した物。そしてギネマは村で買ったタマネギっぽい奴。

 これは品種改良するまでも無くタマネギだったのでありがたくそのまま使わせて頂いている。


 贅沢を言えばにんじん的な野菜があれば良かったのだが、今回は見送りだ。


 もしこの集落内にあったとしても品種改良しなければ子供達からNGが出されそうだしな。


「では、ウサ男くん調理をはじめたまえ」


「はい!ええとまずは材料を切るんですね……ふむふむこの位の大きさか……」


 彼が見ているのは俺が書いたレシピだ。未だ牛乳的な物の安定供給が実現していないためバター抜きのレシピだが、ある程度のレシピを渡してウサ男に丸投げすれば悪くない物を作ることだろう。


 ちなみに俺の得意料理はペペロンチーノやカルボナーラ。市販のソースやシーズニングに頼らず作れるのが自慢だが、市販のルーを使わないカレーなんて作ったことがない。


 ウサ男が見ているのは某レシピSNSから頂いたレシピをこの世界向けに材料などを書き直しただけの物である。


 いやあ、ブラウジング出来る環境ってのはありがたいよな。俺みたいな人並み程度にしか料理が出来ない奴が普通カレーの作り方なんて知らねーって!


 それにカレー粉のブレンドだってそうだぞ。製作キットを使ったから出来たような物で、自分でブレンドなんて無理無理!

 昔読んだ料理漫画に出てきた天才料理人の少年なんかめっちゃ努力して最強のカレー粉を作り出していたし、近年の料理漫画だって繊細な感覚を持つパートナーの力を借りて旨そうなカレーを作っていたくらいだ。


 いやあ、このスマホが無かったら色々と詰んでいたところだぜ……。


 剣と魔法の最強スキルーとか、アホほどモテるスキルーとか、そういう無双系のスキルを求めなくて本当に良かったよ。


 こんな世界じゃそんなの役に立たなかったろうしな。


 ちなみにルーちゃんナーちゃんを初めとした子供達向けに辛さを抑えた物も用意させている。


 辛み成分を抑えたカレー粉を使うほか、マッシュマサモを追加して甘めのカレーにするのだ。

 まだ味見をしていないのでどうなるかは分からないが、こっちはこっちで大人にもうけそうな気がするな。


「カレーの香りは日本人には良い香りで外国人には苦痛に感じる人達もいると聞いたことがあるが、ドワーフ達はどうなんだろう」


 ふと疑問に思い、外まで香りが漏れているのか確認のため外に出ようとすると窓から沢山のドワーフ達が集まっているのが見えた。


「うわ、やはり香りが漏れてるのかな?やべえ、苦情か!」


 すいませーん、とドアを開けるとドワーフ達が口々に声を上げる。


「何じゃこの香りは!」

「さっきから腹が鳴って仕方ないぞ!」

「知らん香りだがきっと旨いのだろう!?」

「試食会はいつからなんじゃ?わしはもうお腹がなってしかたないのじゃ」


 マルリさんまで混じってるじゃねえか!とは言え、クレームじゃ無くて良かった。


「試食会は夕方にやるからまだ暫く食えないぞ。それまで解散だ!解散!」


 ドヤドヤと解散していくドワーフ達だったが、ネコ耳が一人ぽつんとその場に残ったままだった。


「味見役はいらんのかの?」


 指をくわえこちらを見るマルリさん。


「……じゃあ、手伝って下さい。貴方たちの好みというのもあるでしょうからね」


 泣く子とケモのじゃには勝てない俺である。

 100話達成しました。有難うございます。

 なんだか100話だらだらと書いた感がありますが、

 今後もだらだらと行きますのでよろしくお願いします。

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