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第百話 女神の報告

 ほろ酔いの女神が今日の成果をドヤ顔で次々に話していく。


 正直ドヤ顔はとてもウザいのだが、そこそこ有益な報告が多く、イライラよりも嬉しさが勝っているため特に場が荒れること無く穏やかに報告会は進んでいる。


「まずさあ、ウーフンさあ、これはめっちゃ居るわね。ふわふわの木よりも暖かなお布団の素材になると思う」


「ウーフン以外の魔獣はどうだったんだ?」


「そうね、先ずはアイスモルモルね。みたまんま凍ってるモルモルよ。プルプルじゃなくてカチカチしてるの。周囲の熱を奪って魔力に変え無限に冷やす恐ろしい魔獣よ」


 なんて物騒なモルモルだ。モル山のようにテクニシャンで有益なモルモルを見習ってほしいものだ。


 ……ん?周囲の熱を奪って……?無限に冷やす……?


「なあ、そのアイスモルモルを箱に入れたらうちで使ってる魔導冷蔵庫より簡単に作れる冷蔵庫にならないか?

 ザック達に複雑な魔道具の設計はまだ難しいからさ、出来るようになるまでの繋ぎに良さそうだぞ」


「そうねえ、始まりの村辺りの気候なら……それこそ冷蔵庫くらいの大きさなら丁度良く冷やしてくれそうね。気温に干渉出来る範囲は狭いし、あの辺りの気候であれば危険なことにはならず便利に使えそうね」


 とは言っても対価をどうするかだな。モルモルの場合は互いの利害が一致した感じで特に対価を考える必要はなかったが、アイスモルモルとやらが何を欲しがるのか、それが問題だ。


 パンに聞けばデータを照合して答えてくれそうだが、それはあくまでデータでしかない。後でルーちゃんを連れて行って話を聞いた方が確実だろうな。


「他にはねえ、スノウロップ、ブリザードウィスプ、アイシクルドリヤード、フロストタルット、ライバードなんかがいたわ。探せばもっと居そうだったけど今日遭遇したのはこの辺ね」


「おいちょっと待て!なんか凄まじい名前を聞いた気がするぞ!」


「ああ、アイシクルドリヤードね。やっぱあんたスケベねえ。あの子、樹木のくせに結構良い身体してるのよね。時折花を咲かせたり、氷結魔法放ってくるくらいで見た目は可憐なお嬢さんだしさ」


「まじかよ!是非お友達に……じゃねえ!その次だ!フロストタルットとか言っただろ!」


 タルット……。湿地帯に行く際には一番出会いたくない妖怪だ。遭遇するとしょうも無い話に散々付き合わされたあげく、キウリーを強請られ、断ると強烈に臭い放屁をして去って行く迷惑この上ない妖怪だ。


 一応俺には敬意を払っているのか知らないが、放屁こそしないが会えば必ず酔っ払ったオッサンのような無限ループする会話に巻き込まれてしまうため、俺が天敵認定している要注意モンスター1位、それがタルットである。


 そんな俺の天敵になにか氷属性めいた物が付与された感じの名前がパンから放たれたのだ。冷静で要られるはずは無い。


「あー、あんたと仲が良いあの魔族ね」


「仲が良いわけではないからな!それでそのフロストタルットとは何者なんだ」


「うーん、まあタルットなんだけど寒いところが好きな物好きなタルットが永い年月ここで暮らしているうち完全に適応して姿を変えた物……かしらね?」


 やっぱその辺曖昧なのか。まあ放置しといたら良く分からない進化をしていたとかそういう話なんだろ?この女神のいい加減な世界管理にももうすっかり慣れてしまったな。


「そうか……、てことは根っこの部分はタルットなんだな……うん、なるべく会わないようにしよう」


 魔物の件は後ほどルーちゃんを連れて改めて調査をすると言う事で話がまとまり、続いて俺待望の食材についての報告だ。


「認知されてないから名前すら無いけどスパイス的な植物がゴロゴロしてたわよ」


 そんな雑な感じでパンが女神ボックスからドサドサとハーブ的な植物を色々と取り出しテーブルに並べた。


「何よ女神ボックスって。何かの漫画のタイトルじゃないんだから……」


「さり気に脈絡無くピンポイントで心読むの辞めろよ!なんか特殊なアイテムボックスかなって思ったんだよ……まあいいや、凄いなこれは。名前つけるのも面倒だからしないけど、多分調合したら良い具合にカレー粉になるんじゃないか?」


「んな、またそんな雑な……え?いやよ!私だって命名なんて嫌!面倒くさい!つけてもどうせそのうち呼び名が有耶無耶になっちゃうし、ドワーフか誰かが気づくまで放置しましょ……そ、そうよあんたも神の手下みたいなもんだし、我々神族が世界の文化に介入してはならないのよ、うん、そうそう!後は下々の者に任せて……」


 めちゃくちゃ介入してるっつうか、じゃあ俺はなんのためここに誘拐されてきたんだって話なんだが、正直俺もこんだけ有るハーブ一つ一つに名前をつけるのは嫌だ。

 確実に後から呼ぶのが面倒になって『爽やかな香りのあのハーブ』とか『肉の臭みを消すハーブがあったな』とか誤魔化すに決まっているんだ。


 それに試しに製造キットに通してみればカレー粉や塩とハーブや香辛料を混ぜたあの調味料っぽいのを作れそうでは無いか。取りあえずある分は合成してしまって後でレシピと共にウサ男にプレゼントしよう。


 ラーメンに続いてカレーもここの名物に出来そうだな。

 100部超えると一覧ページに2ページ目が生成されるんですね……。

「昨日投降したはずの九十八話が無いぞ?」ってめちゃくちゃ動揺しましたわ。

 てことで、話数的には次回で漸く100話ですが、部数的には100部突破という。

 

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