第3話 美少女シンドローム現象の女
信じられないんだけど、あの男っ!
T大卒のエリートだっていうから性格最悪だったけど付き合ってやってたのにちょっと調べたらマンションの管理人だなんてありえない!!!!
もう一回言わせてもらうわよ。
「信じられんねーんだよクソボケ野郎がっ!テメエ、私と2カ月も付き合っておきながら嘘ついてただとお!なめんじゃねーぞナルシボンクラッ!!」
あ、通りかかったおばあちゃんにガン見されてるわ。あちゃー、でもちょっとマズイけど大丈夫。
「こんにちは〜」ニコッ☆
ふふ、こうするとあのおばあちゃんみたいにみんな目をこするのよね。まるで自分が幻覚を見たかのように。
なぜかって?それは私が絶世の美少女だからよっ!
ほら、ゲームとかアニメの「清楚美少女キャラ」は叫んだりしないでしょう?みんなそれに慣れてるから、美少女は叫んだりしない→あそこで美少女が叫んでいるようにみえる→間違ってるのは自分、となるわけ。
この、名付けて「美少女シンドローム現象」を使って私はあらゆる男からお金を巻き上げてきたんだけど…
なーんか今回のは怪しいと思ったら嘘ついてたのよね!やっぱ私の勘はただしかったわ。
しかも最悪なことに、最悪ナルシ野郎が管理してるマンションに私の同僚のウザ子が住んでるなんて、もう絶望!あんなクソアマにバレたら人生の終わりよっ!
私の人生を終わらせないためにもはやくあいつと別れなきゃ!
ふう、文句言ってるうちにマンションに着いたようね。えっと、管理人室は…あった。ここね。
「おらあ!クソボケナルシ野郎がっ!!あんた舐めてんじゃ…」
私は絶句した。なぜならそこには。
あいつが下半身裸の美青年の前に跪いているという光景が繰り広げられていたからだ。
もう一度言わせてもらうわよ。
「信じらんないっ!!!!」
(注)美少女シンドローム現象は存在しません。