第1話 エリート管理人(自称)
あーあ、今日も本当暇だよな…
なんで俺T大まで出たのにこんなマンションで管理人なんてやってんだろ。
いや、就職活動に失敗した俺に叔母さんがコネで取ってきてくれた仕事だからってことは分かってんだよ?
けどここは高級マンションだから滅多に問題は起きないし、つまんねーんだよ!
俺みたいな優秀な人間はもっとでっかい事するために生まれて来たはずなのに…
「ドンドンドンッ!!」
あれ、今何か変な音しなかった?
まあ、超絶エリートな俺はこんなことじゃ動じない。音源は多分ロビーの方だ。
俺は慌てずロビーに移動する。うん。実にエリート管理人の動きだ。
「うわああああああ!!!!」
そこには金髪碧眼で高そうな中世ヨーロッパの服をきた少年がいた。ん?さっきの大声?空耳だろ。エ、エリート管理人の俺はこっ、こんな事じゃ動じないからな!
「あ、あの君はどちら様だでございまするか?」
「ここは何処ですか?魔王は!」
金髪碧眼の少年は訳の分からないことを言い始めた。ん?俺の言葉使いが変?これは相手が中世ヨーロッパの人みたいだったから相手に合わせたんだ。断じて外人を見て戸惑った訳ではない。(良かった〜日本語通じた〜!)
「僕は魔王の暗黒の闇魔法によってやられたんじゃ…」
少年はまだなお訳の分からないことを言っている。これはどうした事か…
その時俺の天才COOLな頭が閃いた。彼は近頃流行りの厨二病とかいうやつなんじゃないんだろうか?
きっと訳の分からないことを言っているのもそのせいだし、自分の考えた設定に基づいてカラコンや変な衣装でコスプレしているんだろう。髪も地毛じゃなくて脱色に違いない。うん、きっとそうだ。
「少年、お前が厨二病なのは分かったから家の住所と親の電話番号を教えなさい。」
「何を言っているんだ?魔王は本当にいないのか?」
「はいはい、分かったから親の電話番号教えてね〜」
「…親は、いない。魔王に殺されたんだ。」
なるほど、分かったぞ。こいつはきっと厨二病+家出少年だ。親の電話番号を教えたくないから某有名クエストゲームみたいなことを言ってるんだな〜!
でもこういうタイプは面倒くせーなー。口は割りそうにねーし、殴ったら暴行で逮捕されそうだ。
いや、まてよ?この少年を使えばこの退屈な管理人生活から脱却出来るかもしんねーぞ!
「おい少年、お前家に帰りたくねーんだったらここで管理人のバイトしろ。」
俺は完璧な笑顔でそう言った。
(注)このエリート管理人(自称)は分かっていませんが、この行為は誘拐罪です(笑)