プロローグ.続
三人集まれば文殊の知恵
じゃあ四人は??
そんな感じ
「「「「げっ…」」」」
そこにいたのは罪人でも女神でも邪神でもなくはたま他人でさえなく…
「お、お前何してんだよっ!!?」
よく知ってる奴らだった。
「そんなの俺が聞きてぇよ…」
1人が眼鏡をくいッとしながら立ち上がった。
そのくいってのかっこいいよな…
「俺はたしか死んで…あぁここは死後の世界か」
1人が少々興奮した様子で立ち上がった。
理解速すぎだろ、日頃からなに考えてんだ…
「眠いんだけども…」
1人が…立ち上がらない。
お前やる気なさ過ぎだろ、蹴ってやろうか…
「ギャンッ!!?」
眼鏡系男子が問答無用で蹴りを入れる。
鬼畜かよ…
鬼畜兄貴かよ…
ホ…
「ホモでは断じてない」
「「「「ゲラゲラwwwww」」」」
あぁ…
このクズみたいな話し…
このゲスのような笑い方…
何故だろう、とても懐かしく感じてしまう…
ーそれもそうか、俺達死んでたんだ…って、
「お前らも死んだのかよ!!?」
そうだ。
ここは死後の世界…
つまりこいつらがここにいるということは…
「そうです、皆さんは死にました。」
俺の問いに答えたのは3人ではなくNo.1458だった。
何食わぬ顔で簡潔に答えだけを答えているようでそこに感情のようなものは感じ取ることが出来なかった。
ーー親友が死んでしまったのだからここは悲しむべきなのだろう…
しかし今、目の前にその親友(笑)がいるのだから悲しむにも悲しめない。それどころかむしろ笑いさえこみ上げてきてしまう。
「それも同時に。」
No.1458が先ほどの言葉に付け加え、続けた。
「同じ時間…秒単位でもほんの数コンマでもずれることなく同時に、死にました。」
死ぬまで一緒だよ、なんて使うもんじゃないぞ、世のカップルよ。
実際死ぬまで一緒だと心底笑えてくるからな。
「…仲良死(ボソッ」
「「「…くっそww」」」
な? 愉快なもんだろ??
もう愉快過ぎて逆に不愉快だね。
「しかしそれによって1つ問題が生じました。」
4人がこそこそと話しているのを気にも止めず、彼女は淡々と続ける。
「転生キャンペーンとして100人目であるものを1人転生させようという試みだったのですが…」
「100人目が4人いる…ということか」
ということか、じゃねぇよwww
てめぇ適応力高すぎんだろくそかよwwww
冷静な判断乙でっすww
「はい、その通りです。ですのでーー」
……なんだかものすごい嫌な予感がしてならない。
だいたい昨今のアニメではこういった場合、何らかの手段で代表者を決め、その者だけが転生できる…というのが鉄板だ。
しかしそれはつまり他の3人は救われないことを意味するわけで…
それは…いやだなぁ……
ごくりと唾を飲む。
他の3人もただならぬ雰囲気を感じ取ったのか
珍しく神妙な態度をとっている。
「ですので、4人とも転生してもらいますね。」
「転生するまで一緒だよ!!!!!」
「ズッ友だね!!!!!」
「もぅマヂ無理。。リスカしょ・・・。。」
「第一部、完ッ!!」
「「「「くっそwwww」」」」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「で、転生転生言ってるけど具体的にはどんな感じなんだ?」
中二野郎が女神に尋ねる。
ーーだからお前はなぜそこまで冷静でいられるのか…
ただまぁ、それは俺も気になっていたところだ。
俺の読んできた本ような転生であるならば、
『異世界に転生して〜』
というのが鉄板ではあるが、ここに来て
『あなたの転生先はナマコです』
などと言われればたまったものじゃない。
いやでも、異世界のナマコっていうのも微レ存…
「えぇっとですね、皆さまには異世界にて…」
異世界ktkr!
なんだ?! 人間か、ナマコか?!
せめて哺乳類であってくださいお願いします!!
「異世界にて、反乱軍として働いてもらいます」
軍…? 良かった人間ではあるみたいだな…
「軍で働くって…僕らは家畜にでもなるのかい?」
「いえ、人間です」
「あぁ、社畜的な方の意味ですか…」
「いや、普通に…」
どうしてお前はそうマイナス思考なんだ…
異世界へ転生出来るのだからもう少しテンションを上げてもいいんじゃないだろうか。
女神もたじたじである。
可愛い。
実に可愛い。
ん?…僕ら??
「と、とりあえず! 反乱軍として戦ってもらいます。つまり……」
あ、表現変えた。
「待ってください! 反乱軍ってつまり…」
眼鏡が女神の話を遮る。
…ください?
「えぇ、つまりは悪。その世界でいう敵として戦ってもらいます。」
先ほどから感じる違和感が邪魔をして話が耳に入ってこない。
俺達が悪…?
勇者とかじゃなくて、悪者?
「面白そうじゃん…俺っち、そういうの好きよ?」
っ!? 明らかにおかしいだろおい!
やっと気づいたわ、この野郎。
俺らは“俺ら”だし、
初対面に敬語使うような常識のあるやつでもないんだ。
そう、眼鏡だからって敬語キャラとかそんな単純なものじゃないはずだ。
極めつけに!
“俺っち”って!!
今ごろそんな一人称の奴、フィクション内でも見なくなったわ!
そもそもお前さっきまで冷静に状況判断する系なやつだったじゃねぇか!!
さっきとの共通点が中二っぽいしか見当たんねぇよ!!
いや、確かに頭のおかしいやつではあった。
けど、意味もなく自分の一人称変えちゃうような奴じゃないってことは俺がよくわかっている。
だから考えうる可能性は、疑うべき要素は……
「おい女神! お前俺たちに何をした!?」
女神に掴み掛かろうとするが見えない壁に阻まれてしまう。
なんだこれ…魔法? お前ら機械的存在じゃないのかよ。
「あなたがた人間の考える女神というものがどういったものなのか理解しかねますが、我々は機械ではなく女神です。それに私たちはただ“キャラ付け”を行っているだけです」
キャラ付けだ?
「あなた方が向こうの世界で生きていくには少々色が薄過ぎるんですよ」
視界がぼやける。
「それにしても我々の“操作”に気付くなんて興味深いですね。ただでさえ強力なノイズを流しているというのに…それにあの勇者でさえすぐに……」
No.1458はその場でブツブツと独り言をこぼす。
■はただそれを睨みつけることしか出来ない。
「しかしそれももう限界のようですね。」
自我はある。
記憶もある。
薄れつつあるが意識だってある。
しかしーーー
■は誰だ?
「もしかすると、またあなたがたが世界を変えてしまうかも知れませんねぇ…」
あぁくそ…
「それでは、行ってらっしゃいませ」
これならナマコの方が良かったかm………………
薄れゆく意識の中、■が最後に聞いたのは
「個性の上書きが完了しました」
という機械的な音声だった。
《プロローグ》 終
これ…異能バトルモノだってだれがわかるんです?