プロローグ
転生もの流行り過ぎだろwww
えっ、俺も??
どうやら死者界隈では転生というものが流行っているようだが、あれって結構抽選だったりするらしい。
誰でもポンポンと行けるわけでもないし、話題になってるような主人公は運が良かっただけであってその他大勢の皆さんはその他のままだったりする。
その証拠に、ほら。
「おめでとうございます!あなたは100人目の魂ですので転生の権利を差し上げましょう!」
な?
…なっ!?
「ではどうぞこちらへー!」
すまん、まさか俺も運が良かったらしい
いや死んでしまったんだから運がいいとはいわないのか??
目の前に光が溢れる。
すらっとした足が現れる。次に腰、胸…
これが女神様だというのか。
確かに美しい。同級生の可愛い系とも違うし、TVとか雑誌とかで見るような美女とも違う。
神々しさを感じさせる風貌…
でもあれだ。
その看板はどうかと思うぞ。
女神が手に持っている看板には【転生キャンペーン!!】とでかでかと書かれている。
そんなもんキャンペーンにしてんじゃねーよ。
あれか、今流行りのソシャゲか何かか?
「どうも天の声担当の女神です。
あなたのいうその他大勢の1人系女神なので名前はありません。」
あっ、思ってることは筒抜けなのか。
ふーん…で、その看板はいつ使うんだ?
「…あっ、おめでとうございます!
あなたは転生キャンペーンに見事当選しましたので
転生のチャンスを獲得しました!」
女神は看板を掲げ、いえーい! とポーズをとる。
いま明らかに忘れてただろ。
しっかりしろよ女神様。
まぁでもドジっ娘女神ってのもなかなかいける…
「なな何言ってるんですか!
ややこしくなる前に転生の儀に」
《プルルルルr……》
携帯の着信音があたりに響く。
まさか俺、死んでまで携帯持ってきてんのかよ…
ほんと俺は根暗というかなんというか…
あれ、でも俺生前に携帯鳴ったことあったっけ…??
「あ、いえ。私のです。」
「あっ、そうですか…」
声出しちゃったよ!
嘘だろ、女神様携帯持ってんのかよ!
もう少し魔術的な…テレパシー的なものを期待してたよ!
「あーもしもし??」
驚いてる俺には目もくれず電話をとる。
「え? それ本当ですか?? んーどうしましょうか…」
というかあれガラケーじゃね?
女神様持ってんのガラケーじゃね??
女神様ガラケーなんだ…
もうなんか一週回って安心したわ。
我ながら凄まじい適応力だ、あっぱれ。
「…わかりました、それで行きましょう。」
話がまとまったらしく、携帯をしまう。
…え、今どこにしまったの?
ごめん、やっぱ適応してないわ俺。帰りたい。
死人だけに還りたい、なんつって
「0点、もち100点中な?」
不意に背中側から声をかけられた。
振り向くとそこにはーーー
ー何もいな…?
「下じゃボケェ!!」
下腹部に強い衝撃。
この世界でも痛覚ってあるんだな…
海老のごとく身体を折り曲げ転げ回っているとまた声を掛けられる。
「全く、ただの一般的な魂のくせに頭が高ぇんだよ」
なんとか声のする方を見上げる。
そこには小学生…中学生あたりだろうか、女の子が立っていた。そうか、小柄だから見えなかったのか。
これは失礼な事をしてしまった。
「わかりゃいいんだよ、わかりゃあ」
見た目は清楚らしいものだがその口調は真逆のものであった。
というより、この子も俺の心を読んだってことはつまり…
「女神ってことだ、名前はないけどな」
やはりか。
いやしかし、名前がないって言うのは不便なものだな。天界では何か特別なしきたりのようなものがあるのだろうか?
互いに呼びあうのも一苦労だろうに。
「おいNo.1458、連れてきたぞ。」
「ありがとうございます、No.7362」
特別なしきたり以上にどぎついな、おい。
No.1458と呼ばれ返事をしたのは最初にあった女神だった。女神ってそんなに大勢いるんだな。
機械的、というより人間味がないというか…
いや、神様に人間味を求めるのも違うか。
ただ、少し残念に思ってしまう。
それにしても「連れてきたぞ」なんて言っていったがどこにも人影が見当たらない。
まさか『俺の目には見えない系オカルト』でもいるのだろうか。
「いえ、彼女のいう連れてきたというのは多分…」
最初に会った女神(No.1458)は暗闇を見上げる。
星が出ているわけでもない、単なる闇。
何も…起きないのか??
女神に問おうとした瞬間、暗闇が白く光る。
先ほど女神が現れた時以上の輝きに俺は思わず目を背けてしまう。
一体、なにが来るというのか。
あれか、【始まりの女神】(マリア)とかいって
No.1の女神でも登場するのだろうか?
目をなんとか凝らして見ると微かに足が見える。
1...2...3......6!?
6本の足が光から現れる。
6本足の神なんているのだろうか。
いたとしたらそれはもはや邪神の域のように思えるが…
あっ、でも千手観音なんてのもいるし…
思考がまとまらないまま、6本足の主がその全貌を顕にしてしまう。
頭が3つ、胴が3つ、腕が6本…
ただ3人いるだけじゃねぇか!!
驚いて損したわ!!
現れた3人はそれぞれ麻袋のようなものを被せられて蠢いている。声を出さない所をみるときっと猿ぐつわでもされているのだろう。
「こいつらが問題の4人っつーわけだ、あとはよろしくな」
小柄な女神は光に包まれながら去ってしまった。
ん…? 4人…だと…??
まさかその中に俺も含まれて…???
「全く、あの子はほんとにやることが荒っぽいんだから…」
No.1458が3人の拘束具を取り除く。
さてさて一体どんな顔なんだろうか…
骨格からしてみんな男のようだが、なにしろあの拘束具だ。凶悪な罪人に違いない。
きっと豪鬼のような顔をしているんだろうな…
まぁもう散々驚いたからな、なんかキャンペーンに当たっちゃうし、女神様携帯持ってるし、しかもガラケーだし…
もうどんな顔だったとしても驚かないぞ。
さて、拝ませてもらいましょうかね。
罪人でも女神でも邪神でも驚かねぇぞ!
ふーっと深呼吸をして3人の顔をのぞき込む。
「「「「げっ…」」」」
俺は驚いた。
続けたい
続け