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ー2015年ー
九月一日
大学内の私室で私がお茶していると
チカチカと電灯が点滅しはじめそのうち消えた。
「めんどうな」
事務員を呼んで取り替えてもらわねば。
私は電話に手をかけようとした時蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった。
嫌な汗が滲む。
なんなのだろうか?部屋の中の空気が物凄く重い。
私が動けなくなってほどなくして私の背後から声がした
「君らがいなくなると困るんだよね、だから僕等が手助けしてあげる」
いなくなる・・・??手助け・・・???
一体何のこと・・・
「異常気象か・・・??」
背後の人物?は嬉しそうに答える
「正解、やっぱり君はわかっちゃうかー!!でもずっと前から君の思考は誘導してたんだけどねーそれに気づかなかったのはマイナスかなー」
思考の誘導?どういうことだ・・・?
「あれ?まだ分からないの?本当に幻滅しちゃうよ??」
ここで私はパズルが解けた時のような感覚を脳が体験した。
パズルのピースがはまるような感覚だった。
そういうことか。
今思えば不自然すぎた。私の行動は。
異常気象について調べ始めた時に何故この大学にヒントがあると見出したのか
ましてや人物に関係があると。
そして何の疑問もなく日本の大学に赴任してきたこと。
何の疑問も持っていなかった。
だが思考の誘導など出来るのだろうか?
いや、出来ると考えたほうが賢明か。
後ろにいる奴は誰もいなかった私の私室に突然現れたのだから。
「いいや、お前の正体について考えていたのさ」
「おっと!軽口を叩けるほど慣れたんだ!はやいねー」
「お前は何者なんだ?思考の誘導が出来ると言ったり突然現れたり普通じゃないんだが?」
「んー・・・神?」
神だと・・・?
「まぁ、それは置いといて今僕等困ってるんだよねー。」
「神ほどの者が困るとは、とんだ笑い話だな」
「神だって万能じゃないのさー」
フッと自虐するように神は笑った
残念ながらご尊顔は拝顔出来なかったがね。
「僕等と敵対してる神様達が今ちょっとめんどくさいんだよねー」
「私には関係ないだろう」
「ところがどっこい、君等の世界が滅亡の危機!って言ったらどうする?」
「何?」
「ヒット~、食いついた~!」
「怒るぞ」
「ごめんねー、まぁ君に協力してもらいたいんだよ」
「世界の滅亡を止めるためにか?ふざけた話だな」
「今一番止めれる可能性のある人は君なんだよね」
「世界滅亡ですらふざけているのに、止められる人間で一番可能性が高いのが俺だと?もっとふざけているな」
「ほんとうだってばー」
なんなんだこいつ
「・・・仮に世界が滅亡するとして何故滅亡するんだ?」
「さっきも言ったけどめんどくさい奴等、まぁ僕等と敵対してる神様達がね
人を狩るんだよ。世界中の人をね」
「・・・」
「僕等は君等人間がいなくなるのは反対でねー面白くなくなるしー」
「面白い面白くないで人間は殺されるのか・・・ふざけた話だな、だが面白い。」
「面白い?」
「神への挑戦、これを面白いと言わずしてなんと言う人を作ったのは神かもしれない、つまり親への反逆かもしれない、だが進化を、歩みを止めた者は淘汰される世界なのだ弱肉強食、世の理を作ったのは神だろう?ならば理に乗っ取り踏み潰してやろうそのふざけた考えごとな」
「・・・君いいね。気に入った!可能性があるだけの人間だと思ってたけど案外おもしろいじゃん!いいよいいよ!じゃあ思考誘導とかしないでヒントあげるよ!あっち側の神様は僕らが少しだけ止めといてあげるからさ!」
「やけに肩入れしてくるな」
「だって君・・・面白いんだもん」
もしこいつが本当に神なのなら
もし本当に世界が滅びるのなら
もし俺が滅びを止められるのなら
やってやろうじゃないか。
私はシリウス
星たちの輝きの中で最も輝きを放つ者だ。