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ー手記21ー
小さい頃から夢を見る。酷くリアルな夢を。
一年に一回その夢はやってくる。
八月三十一日、布団に潜り込み眠りに就くと
不思議な夢を見る。
それは八月三十二日のありもしない日を過ごす夢。
ー1995年8月31日?ー
その幼子は至って普通。
1日の大半を遊びに費やし夜は寝る。
他の子となんら変わりない。
でも今日はそんな幼子が初めて不思議な体験をする日。
誰もいない都市。
その都市の中心部で幼子が目を覚ます。
眠い目をこすり母親がいないことに気付いたのか
「お母さん?どこ??」
と一声かけるが帰ってくるのは静寂のみ。
「お母さん、お母さん」
誰もいない都市を幼子は母を求めて歩き出した。