夕陽の雫
かんこさんとのお題小説で書かせていただきました。
かんこさん ありがとうございます。
お題は「自転車」です。
「ふぅー・・・」
そんなため息をつきながら、私は自宅のベッドに寝転んで天井を眺めていた。
大学の授業が終わり、家に帰ってくるといつもこうしてベッドに寝転がっているのである。
その日はそのあとに何も予定がなかったので寝てしまおうかとも思ったが、あまり寝る気になれなかったので、私は自転車に乗って出かけることにした。私はたまに行き場所も決めずに自転車に乗ってふらふらと散歩をすることがある。そうすることで心が落ち着くような気持ちがしていたからだ。
家を出てから20分ぐらい経っただろうか。私は自分の住む町にある大きな川に着いた。そしてそのまま私は川の流れに沿って自転車を進めていくことにした。
ふと空を見上げると、空はすでに茜色に染まり、夕陽が辺りを照らしていた。そんな夕陽を浴びながら自転車に乗っていると、あることを考えてしまった。
「私の人生はこんな日々の繰り返しを経験しているうちにいつか終わりがくるのかな」
なぜこんなことを思ったのかはわからないが、気づくと私の頬を涙が伝っているのがわかった。思えば私の最近の生活は平凡そのものだった。学校に授業を受けにいき、終われば家に帰ってくる、ただその繰り返しだった。普通が一番なんてよく言うが、何も変化がない日々の生活はどこか虚しさを感じてしまう。そのうちどんどんと涙は溢れだし、私は止めることができなくなってしまった。そのまま私は自転車をこぐ足を止め、近くにあったベンチに腰を下ろし、涙を流し続けた。
どのくらい泣いただろうか、私はふと目の前にある大きな川を霞んだ視界で見つめてしまった。川は流れを休めることなく絶えず動き続けている。その悠々たる川の流れを見て私はなぜか心がすごく落ち着いていくのを感じた。川は流れを戻すことはできない。しかしだからこそ、川にはどこか力強さを感じ、ときには美しさでさえ感じる。
私は涙を手で拭い、ふたたび自転車で来た道をライトで照らしながら引き返し始めた。
夕陽はすでに沈み、その背中を月夜が照らしていた。