とある作家志望の執筆した作品(超自信作!)
初めて投稿します、正直文法とか比喩表現など明らかにおかしい個所が何点もあると思いますが、そういうところを指摘してくれるとありがたいです。
あと作中作をプロローグに入れてます。
見渡す限り全てのものが紅蓮の炎に包まれていた。
その紅い炎は天高く昇ろうとする龍の如くうねるように、あるいはすべてを喰らい尽くすかのように少年の周りを取り囲んでいた。
まだ幼さの残る顔立ちだ。全体的に少し丸みを帯びた顔はまだ子供であるということを主張しているかのようである。
両親の人種が違うのだろうか、少年の瞳は一点の曇りもない輝くサファイアのような深い青色をしている。しかも、瞳の色と同じく後頭部で一つに束ねて腰にまで届いている長髪もサファイアのような深い青色なのである。触れてしまったら消えてなくなるかのような繊細さをたたえたその髪は熱風に靡くたびに青い光の粒子をまき散らしていると錯覚してしまうほどに美麗だ。
そんな少年の両手には刀身が2mもある長身の日本刀が握られている。通常の刀身自体の長さは1mで重さは約1.5キロ前後あるが、少年が持っている日本刀の刀身の長さは2mでその倍である、成人した男性であっても刀を持つだけで相当の体力を奪われてしまって満足に振り回すことも難しい。だが、この少年はそのような負荷がまるでないように片手だけで握りしめているのである。
そんな奇怪な現象が起きている中、少年はおむろに刀の刃先を目の前にいる男に向けた。
細身である少年とは対照的にかなり体格が大きい、足や腕などに隆々とした筋肉がついており、身長も少年より2倍近く長い、まるで野生のツキノワグマを彷彿とさせる姿であった。
「…猫介、よくぞここまでたどり着いたな、まずは褒めてつかわそう」
その声は心の深淵にまで響いてくるかのような低音で、まるで地獄の底から聞こえてくるようであった。
「ああ、ようやくここまでたどりついたよ、これで自分の手で兄さんを殺せる」
立緒と呼ばれた少年は口元を不敵に歪め、腰を深く落とし、片手だけでにぎりしめたままで刀を下段に構えた。
本来ならば片手に刀を持つ場合はもう片方の手に脇差などを握って二刀流にするのが通常だ。しかし、今の少年の構えは二刀流でもなくどこの流派にもないような構えであった。
「ほう…いつも泣きべそばかりかいてたお前この立緒を殺すというのか……随分ご立派なことだ」
立緒は猫介を静かに見据え、腰に下げてある刀を鞘から抜いた。
猫介の持つ刀のように刀身だけで2mを超えるようなものではないが、それとは別の特徴があった、柄から刀身まですべてが見る者の魂を吸うかのように禍々しい漆黒の色をしている。
「…なんで兄さんは血桜を持ちだしたんだ、父さんを殺してまで……!」
「……この血桜は約400年前に名もない刀鍛冶が作ったものだが、現在まで様々な人間の手に渡り、1万の人間を葬ってきた。そしていつしかこの刀自身に葬られた人間どもの怨念や怨嗟が宿るようになった…。所持した者は皆例外なくこの刀に蓄積された負の思念に囚われ狂ってしまった。今現在までその思念を抑え込み、制御しきれたものは誰一人としていなかった……。だが、俺は違う!この俺ならこんなたかが刀一つで我が意思を操れることなどできぬ!だが、親父は俺がこの刀を手にすることを阻止しようとした…この刀は永遠に封印すべきものだとな……だから始末した。俺の覇道を阻むものは例え肉親であろうと容赦はしない。」
もはやそこにいるのは猫介の知っている兄ではなかった。幼い頃、共にしのぎを削り合い、時には喧嘩をし、時には試合で互角の戦いをしたときのあの希望に満ち溢れた笑顔はもう見る影もない。
「……そうかよ。だったら、もう言葉は必要ないよ…な!」
深く落とした腰を極限まで抑え込んだバネがはじけ飛ぶように駆け出し、立緒に向かって袈裟懸けに切りつける。だが、立緒は刃先が額をふれる寸前、立緒はすでに今まで屹立していた場所から蒸発するかのように消えてしまった。そこにあるのは立緒の残像である。力を込められた刀はむなしく宙を舞う。
「どこを見ている。貴様の目は節穴か?」
次に立緒の声が聞こえたのは猫介の耳元であった。
猫介は咄嗟に距離をとろうとするが、立緒は猫介の両方の手首を掴み、右足に足払いをかけた。
猫介は必死に抵抗しようとしたが、立緒の尋常ではない力によってなす術もなく押し倒されてしまった。
「ぐっ…!?」
「甘いぞ猫介、何の算段もなく闇雲に攻撃するな、まずは間合いを測ってから相手の動作に注目する、親父に教わっただろう」
「う、うるさい!お前に言われる筋合いは…うぶ!?」
猫介に馬乗りになっていた立緒は暴れないように猫介の両手首を床に押し付けながら顔を近付け、次の瞬間には立緒は猫介の唇に唇を重ね合わせていた。
「う…うむ…!ぷは…!お、お前…一体何を!?」
「…なあ、猫介、俺が親父を殺したのは、本当は別の理由があるんだ、わかるか?」
立緒の顔は何故か悲痛な顔になっていた。まるで父親を殺したことを後悔しているかのような雰囲気さえ感じられる。
「……親父に話したのさ、猫介、お前と結ばれるためにさ、お前を生涯の伴侶にするために親父にその許しを請おうとしたのさ。だがしかし、親父はそれを許してはくれなかったそれどころか、お前と引き離すために俺を勘当すると言い出したんだ。…俺は怖かったんだ、お前と離れることが、お前と会えなくなることが。そして俺は気づいたときには俺は…親父を…」
「……兄さん……そんなことが…」
いつしか立緒の両目から一筋の涙が流れていた。立緒は苦しんでいたのだ、父親を自らの手で殺めてしまったことを、立緒は本気で殺そうとは思わなかったのだろう。
男性を好きになってしまったことは確かに異質ではある。しかし、その思いをどうしても止められなかったのであろう。
「……すまん、本当に……俺はとんでもない過ちを犯してしまった……お前にさえ憎まれてしまったしな…もう私には生きる意味も無くなっている…」
そこにいるのはもう対峙していた時の威圧されるような覇気をまとった姿ではなく、今にでも消えてしまいそうな、一人の人間を想っている小さい存在であった。
「……兄さん…泣かないでくれ……兄さんのその想い、十分伝わったよ……それと、俺にも兄さんに伝え忘れたことがあるんだ」
猫介が立緒に対して言う言葉はただ一つであろう、猫介は立緒の不安そうに揺れる瞳を真っ直ぐ見据えながら毅然と言った。
「兄さん……俺も……大好きだよ」
そうして二人の体は一つに重なり合い、熱い夜を過ごしたのであった……。