第6話 氷使い襲来
「氷室さん、実験体006番の大まかな位置を掴めました。」
スーツを着た若い男が、白衣を着た氷室という男に話しかけて報告を行う。氷室はボサボサの青白い髪をしており、見た目は20代後半の研究者である。彼は今、デスクにあるモニターと睨めあっている。
「…本当か!?、今すぐにでも私のモルモットを回収しに行きたいところだが、先に片付けておかねばならない仕事がある。3日だ。あと3日、引き続きモルモット、006番の追跡をしろ」
氷室は報告を聞いた途端、座っていた椅子から立ち上がり、興奮気味に指示した。
「承知いたしました」
部下の男はそれを承諾した。
―――――
氷室襲来までの3日間、陸兎とレナは連日修行していた。レナは少しずつだが、オーラを纏ったまま移動や攻撃ができるようになっていた。
「レナのオーラはやはり、単純な身体強化か…」
陸兎はレナのオーラの特性を観察する。レナのオーラは炎や電撃などの現象を顕現させるものではなく、見た目には特徴のない白いオーラであった。レナがオーラの出力後、飛躍的に身体能力が伸びていたことを陸兎は悟っていた。
「レナも炎とかかっこいいやつがよかったですぅ!」
レナは今、裏山の中を5km全力で走るという修行をしている。その後に続く形で陸兎はレナを追って観察している。レナには陸兎の独り言が聞こえたようだ。
「いや、身体強化は極めれば接近戦最強のオーラだよ。…今は発展途上だけど」
「今のところ能力としては地味ってことですか」
レナは少ししょんぼりする。しかし、修行3日目にして5kmを楽々走り続けられるようになったのはレナの努力の結果だろう。
「オーラを纏ったおかげで体が軽くなるだけじゃなくて、体力もすごく増えたでしょ?それは、身体強化のオーラの強みだよ。他のオーラでも、纏えば基礎的な身体能力は上がるんだけど、レナのようなオーラはその上がり方が異常に大きいんだ。」
陸兎は自分の能力に不満げなレナにオーラの強みを丁寧に説明する。そろそろ、5kmを走り終える頃だった。
「ッ!!」
レナは斜め前から降ってきた大きな氷柱に肩を打たれる。もしオーラを纏っていなかったらそのまま突き刺さっていた。
「モルモット!元気そうだな!?鬼ごっこはもう終わりだ、お家に帰るぞ」
陸兎とレナの頭上には空中に浮遊した氷室がいる。氷室の足からは氷の結晶のようなオーラが霧散し続けている。
「ひぇっ」
レナは恐怖で足がすくむ。それは過去のトラウマからきているような怯えである。
「誰だお前は!モルモットとは誰のことだ!」
陸兎は頭上に向かって叫ぶ。
「貴様こそ誰だ。…とういうか、なぜモルモットは無傷でいるんだ?死なない程度に突き刺したつもりだったんだが」
氷室はレナがオーラを使えるようになったのは知らない。陸兎はふつふつと怒りを露わにしていきながらオーラを纏う。
「……そうか、お前がレナを狙っている…」




