第1話 出会い
寒い冬の夜、陸兎は静まり返った住宅街を散歩していた。近くの公園を通りかかると、そこにはボロボロの服を着た少女がベンチで横になっていた。気になった陸兎は少女に近づいて、話しかけてみる。
「君、大丈夫?こんな夜に公園で1人で寒くないか。」
少女は一瞬怯えたように、体をピクりとさせて体を起こした。
「あ、あなたは誰ですか?」
少女は少し警戒して、尋ねる。
「ただの通りすがりだよ。君、家は?」
「ない…です。」
少女は掠れた声で返答する。顔は暗く、まるで絶望しているようだった。
「よかったら、家に来ないか?」
陸兎は流石に少女を放置できないと思い、とりあえず自宅に泊めようと考えた。
「…いいんですか?」
「もちろん。こんな寒い夜に1人でいる女の子を放置できるほどの事なかれ主義ではないからね。」
陸兎が喋り終えたその時、突然背後から気配がした。
「お兄さん、後ろ!」
少女の言葉を聞いた陸兎が後ろを振り向くと、木陰に黒い影が立っていた。それは人間の形をしてはいるものの、肌は浸食したかのように黒ずみ、爛々と赤く光る目が不気味にこちらを見ている。それは明らかに理性を失ったようなモンスターだった。
「ガァアアアッ!」
そのモンスターが奇声を発すると、俊敏な動きで二人に襲いかかってきた。その手には鋭い爪が伸びており、最初の標的として、ベンチに座る少女に狙いを定めて突進してきた。
モンスターの動きは直線的で、陸兎が少女の前に出るのに十分な時間があった。
一瞬で燃え盛る炎のオーラを身に纏う。周囲の空気は揺らぎ、凄まじい熱量を放っている。
モンスターが陸兎に向けて爪を振り下ろす。
それを簡単に逸らし、カウンターを入れようと試みる。
「遅い…」
陸兎は余裕を持ちながらも、冷静に重い拳を腹部に打ち込む。その一撃は単なる打撃ではなく、炎を纏った高熱の拳。
「グァァァァァ!」
モンスターは全身焼き切れ、跡形もなく消し炭となった。
「大丈夫だった?」
陸兎はモンスターが消滅するのを確認すると、少女の方を向く。
「はい…。それより、あなたは一体何者なんですか?全身から炎が…」
先ほどの現実でないかのような出来事に少女は驚いたように尋ねる。
「…俺は普通の人よりちょっと強いだけだよ。そういえば君の名前は?」
納得いかない様子で少女は答える。
「えっと、私はレナ。お兄さんは?」
「俺は陸兎。よろしくね。」
「あの、さっきのモンスターが襲ってきたの、私のせいかもしれなくて…」
レナは申し訳なさそうに言う。
「それってどういうこと?」




