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今日こそはと、決意を胸に恋人の部屋へと向かう。
扉を開けると、大好きで大嫌いなあの人の笑顔。
小さく震える身体を抑えるように、握った拳に力を込める。
いつからだっけ、ふたりの時間を、喜べなくなったのは。
彼からの愛を、素直に受け止められなくなったのは。
あの人は、恋人である私を、愛してくれてるはずなのに。
「本当に?」
当たり前じゃん。
いつだって、大好きだよって、頭を撫でてくれるもん。
「好きなのって、キミのこと?」
当たり前だって言ってるでしょ。
いつだって、私のことを思って、愛してくれてるの。
「キミを思って?本当にそう思っとるの?」
あぁ、やめて。
それ以上言わないで。
「彼が本当に大切なのはな〜んだ?」
分かってる。
分かってるけど、側に居たい。
でも、愛してるの気持ちさえ分からなくなってきた。
いつも用意してくれる、大好きだったアイスティー。
目を見ると、大好きな気持ちが溢れて、きっと何も言えなくなる。
だから目を伏せ一気に言うの。
「ごめん…もう終わりにしたいんだ」
薬指から光が消えた。
心なしか軽く思える薬指をひと撫でし、外へ飛び出した。
通り道の公園で、あの人が好きだった口紅を投げ捨てる。
「すっきりした顔してるね」
後ろから掛けられた声に、思わず跳びはねた。
「やっと終わったんだな」
その声は、責めるでもなく、慰めるでもなく、ただ最初からここに居たみたいに自然だった。
そのまま、2人で歩き出す。
行き着く先はまだ分からない。




