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追われる女魔王は39歳おっさん! 関西弁で村と共存すんねん   作者: ふりっぷ
第三章 魔王城編

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聖女の呼びかけ ~丘陵に響く、最後の祈り~

ついに王都軍と魔王城軍が激突――!?

リディアが信じ続けたレイジ様が現れる。

王都には、各地から招集された軍が続々と集まりつつあった。


城壁の上では弓兵が弦を鳴らし、

城内では鎧の擦れる音が絶えない。


張りつめた空気の中、

国王は謁見室で賢者クライへ視線を向けた。


「賢者クライよ。偵察はどうであった?」


クライは一礼し、静かに口を開いた。


「勢力は三分の一まで落ちておりますが……確実に再建中です。

魔王城周辺の魔物も活性化し、異常な増殖を確認。

新たな魔王出現の可能性は高いかと」


国王は重く唸る。


「……そうか」


クライはさらに報告を続けた。


「以前の戦争で討たれた者たちが、瘴気によってアンデッド化しています。

ゴーストやスケルトンとなり、森の奥に湧き出している様子です」


室内にざわめきが広がる。


最も表情を曇らせていたのは――聖女リディアだった。


国王が低く言った。


「勇者まで魔王軍の中核にいるとなると、容易には攻め込めぬ」


リディアは反射的に声をあげた。


「陛下、レイジ様は囚われているだけです!

魔王の奸計に違いありません!」


だが、国王は首を横に振る。


「村にも偵察を出した。

勇者は盗賊討伐を放棄し、自ら魔王軍へ向かったと報告がある」


「そ、そんなはずありません……!」


「さらに、聖女も懐柔された恐れがあると神殿が――」


「そのようなことは、断じてございません!」


リディアは机に手をつき、必死に言葉を絞り出した。


国王は穏やかに頷く。


「わかっておる。

だが疑念がある以上、策は慎重を期す」


国王は地図を広げた。


「森での決戦は避ける。

手前の丘陵地帯に軍を配置する。

魔獣とアンデッドが跋扈する森に踏み込まずに済むなら、勝率は上がる」


クライが眉をひそめる。


「しかし、敵をどう誘き出すつもりで?」


「聖女が呼びかければよい。

勇者レイジは必ず現れる」


室内の空気が一気に重くなる。


リディアは胸に手を当て、震える声で答えた。


「……はい。

わたくしが、レイジ様を呼び戻してみせます」


決戦の幕が、静かに上がった。


◆ ◆ ◆


翌朝。


霧が薄れはじめた王都を、

軍勢は静かに出立した。


鎧の軋みすら鼓動のようにそろう中、

リディアの胸だけは晴れぬ霧に包まれたままだった。


(レイジ様……本当に敵になってしまわれたのですか)


隣を歩くクライが言う。


「顔色が優れませんな。

ですが、覚悟を。

呼びかければ勇者は現れる。

ただし“味方として”とは限らぬ」


リディアは唇をきつく結んだ。


「それでも……信じています。

レイジ様の心は、闇に呑まれてなどいないと」


クライは溜息をつき、前方へ視線を戻した。


◆ ◆ ◆


丘陵地帯に到着した王国軍は、迅速に陣を整えた。


高地に弓兵、斜面に騎士団、中央に魔法隊。

国王自らが陣頭に立つ。


「これより――聖女の呼びかけを開始する!」


リディアは両手を胸元で組み、目を閉じた。


祈りの魔力が空へ満ち、微風が髪を揺らす。


彼女の声は澄み渡り、瘴気の森へと染み込む。


「レイジ様……どうか――応えてください……!」


その瞬間。


森の奥で、大地が震えた。


黒い瘴気が渦を巻き、

獣の咆哮とも人の悲鳴ともつかぬ声が響く。


騎士たちが一斉に武器を構えた。


クライが叫ぶ。


「来ますぞ!

魔王軍――いや、先陣は……勇者と魔王か!?」


木々の間から影が溢れ出す。


獰猛な魔獣の群れ。

漆黒の甲冑をまとった軍勢。


そして、その最前列には――


野島とルルカがいた。


風に金髪を靡かせた野島は、戦場に場違いな鍋を抱えていたが、

その瞳は深い懸念に沈んでいた。


「レイジ……様……?」


リディアの声が震える。

彼女がもう少し注意深ければ気付いたであろう。


王都軍の兵種が弓兵に偏っていたことを。

兵士達の内に秘めた殺気を。


野島は、ゆっくりと歩み出た。


そして――その口元に、血が滲んでいた。


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