第1話 謎空間と女神様
見渡す限りの白。地平線と空の境目がまるで存在しないかのような空間。ましてや空も地面も白なのだから目視などできようもない。いや実際には地平線など存在しないのかもしれない。足がついていることから上下は存在するようだが、よく見ると太陽がないわけで影もない。それは視界には自分が空中に投げ出されたかと錯覚するような浮遊感。まさに不思議空間。
「そろそろ納得いただけたようですね」
そう、不思議といえば目の前にいる女、まるで超次元コスプレだ。布一枚のエロスに羽が生えていて浮いている。エロい女に羽が生えているから社会的に浮いているのではなく、物理的に浮いている上に羽も生えている。いやこの場合物理が存在しているか怪しいわけだが、とにかく浮いている。ちなみに羽は動いていない。色々とおかしい。そう、おかしいのだ。何もかもがおかしい。おかしい女におかしい空間だ。
「なにか失礼なこと考えてませんか?それに、あんまりジロジロみられると不愉快です。」
つまりあれだ、
「イセカイショウカンだぁああ!!」
「うわぁ!!びっくりした!!…突然なんなんですか…、あ、正確には異世界転生です。それと、先ほどのお話も納得されましたか?」
「今から、異世界に転生して俺ツェーってして魔王をぶっ倒して世界を救えばいいんだろ?」
「いや、あなたが亡くなった話をしたんですけど」
ああ、そうだった。死因は病死だって話だっけ。って言っても記憶があやふやなのにもかかわらず、頭はクリアですんなり入ってくる。これも相当変な感覚だが、そういうものなんだろう。
「ちなみになんの病気かわかったりする?」
「ああ、そうですね、それも私の役目なのでお答えしましょう。没17年。あなたの死因は肺炎です。」
「あーなるほど、色々流行ってたしね?」
「違います、ポテトチップスが喉にブッ刺さってその影響でじわじわと」
「え?、本当に?じわじわと?」
「はい。じわじわと…ジワ死ですね」
「ジワ死ってなんだよ。ていうかなんだそれ、死因がダサくない?ていうか現代医学あっさり敗北してない?どうなのそれって」
「あなたの世界の現代医学は大したことないみたいです。つまりそうですね。ポテトチップスは凶器になり得る、ということですね、ポテトチップスとは…ジワりますね」
「ジワるって…バカにすんなし、こっちはジワ死してんのによ」
「ぷっ」
「おい‼︎」
「んんっ…失礼いたしました。冗談です。本当は、トラックではねられて即死です」
「嘘かよ!ていうか、王道異世界ルートじゃないか」
ありがちすぎるやつだったのか。でも覚えてないもんだから釈然としないんだよな
「早くに亡くなられたことは悔やみ申し上げますが…」
「なんだよ、突然」
「異世界転生」
「あ」
そうだよ、あの異世界転生だぞ。何がジワ死だ。そんなのどうだっていい。前世では夢にまで見た異世界召喚じゃないか!死んでなきゃできなかったんだ。ジワ死ありがとう!ジワ死感謝!
「ジワ死ありがとう!!!」
「ジワ死は冗談ですよ?」
「そうだけど!異世界転生だぞ!ジワ死でもトラックでもなんでもいいや」
「はぁ。素直でよろしい。では早速説明させていただきます。」
それから彼女の異世界転生についての説明が始まった。
初投稿です。温かい目で見て欲しいです。