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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
商人と月影祭
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【93】魔力操作

カチャッ…カチャッ…


食堂に集まった三人の間には食器を操る音だけが響き会話は無かった。流れる気まずい空気に思うところはあるものの、言い争いなどが起こることは無く食事をしている。


「……」


宿から提供された料理は、ステーキにクリームシチュー、丸いパン。高い宿なだあってパンは白パンだし普通においしい…けどこの雰囲気で台無しけどまぁ


「…そのっごめんなさい」


一通り、お昼ご飯を食べ終わった所で黒蓮が僅かに言葉を詰まらせながらも、しっかりと頭を下げて謝罪した。いささか唐突な謝罪だったから驚いたが、それ以上にシュントして耳を折りる黒蓮がいつもより小さく見えてなんだ可哀想に思えてきた。


「生理現象なんだろ?なら多少は仕方ない…まぁ控えては欲しいけど」


「…ごめん」


そう言ってますます落ち込んだ様子を見せる黒蓮。そんな黒蓮を慰めるために、黒蓮の頭を撫でてあげようと手を上げると金華にガシッと手を掴まれた。


「金華?」


「ドーンはしばらくお姉ちゃんに触っちゃダメだよ。もっと悪くなっちゃうから」


「そうなのか?」


「うん」


「わかった。ごめん黒蓮」


「いいわよ……別に」


少し気恥ずかしく感じながら、金華に掴まれた手を下ろす。その様子を見て黒蓮が一瞬だけ何かこらえるような感じがしたが…一瞬過ぎてよく分からなかった、まぁ症状が悪化するのに触られそうになったら嫌だよな。


「それで…依頼は」


「もちろん私も参加するわ。…二人の不安も分かるけど…大丈夫よ、ちゃんと我慢するし、迷惑はかけないわ」


「無理はするなよ。」


「依頼の話は終わったし、スキルの話しよ!」


金華が雰囲気を変えるよに元気な声で言う。金華は早々に昼ご飯を食べ終わっていて、新しいスキルの習得をとても楽しみにしていて、待ちきれない事がわかる。


「スキルの話?」


そう疑問の声を上げる黒蓮に金華に話した内容と同じ話を伝えた。


「なるほどね…ドーンがスキルを新しく習得した事を言ってくれなかったことに思う所は有るけど…まぁいいわ。行くなら早く行きましょ。」


「そうだな」


こうして黒蓮との和解?に成功した後、路地裏から『長距離転移(ロングテレポート)』……で1人ずつ運んで行く『転移門』はまだ使えないからね。


「ここはどこかしら?」


「野草を食べた所辺りだ。」


転移先は街から少しはなれた所にある草原……具体的にはモグラに襲われた森を出た所にある草原だ。ここならまだ的に出来る魔物も居るはずだし街道がそこそこ遠いから誰かに迷惑を掛けることもないはずだ。


「それじゃ早速始めようよ!確か私は魔力をいっっぱい放出すればいいんだよね?」


「ああ、一息に大量の魔力を放出するんだ。黒蓮は逆に魔力を漏らさずに集めるんだ」


「…それぐらい覚えてるわよ」


黒蓮は少し機嫌を悪そうにしながらもそれ以上の事を言う事は無く、距離をとった。


「これぐらい離れればいいかしら?」


「そうだな…大丈夫だと思うぞ」


「ちなみに練習中どんな事が起こるのドーン?」


「金華は魔力酔いで気分が悪くなるぐらい。黒蓮の方は制御に失敗すると集めて魔力が爆発した上で同じく魔力酔いになるな」


「私!爆発するの!?」


黒蓮が驚き怯んだ様子を見せる。その表情にはありありと恐怖が滲んでおり、凄惨な自体を想像してしまって居るだろう事は間違いないだろう。


「爆発って言ってもそこまで大きなものじゃないから安心していい」


「そうなのね」


そう少し安心した様子を見せた黒蓮……


「まぁ皮膚ぐらい剥がれるかもしれないが」


「えぇ!?」


続く自分の言葉に驚く。


「それぐらいなら金華が簡単に直せるし大丈夫だ」


「そう言う問題じゃないでしょ…」


「それじゃ止めるか?強くなるには必須だが今必要ですな訳じゃないし」


黒蓮はふんっと体に力を入れ…覚悟を決めようだ。


「……いいわよ、やってやるやわ」


「それじゃ私も始めるね!」


「わかった」


その言葉を合図に、黒蓮は自身の魔力を一箇所にあつまるように魔力を集め始め、逆に金華は自身の魔力を勢い良く周囲に放出し始めた。


記憶が確かなら二人に魔力の操作方法とか教えて無かったはずだし、普段魔力操作をしてる感じもしなかったからもうちょっと戸惑うかと思っていたけど、そんな事は無くしっかりと魔力操作に成功している。これならすぐに習得出来そうで…安心だな。


しかし、こんだけ派手に魔力が動いてれば魔物が襲いかかって来そうなものだけど来ないな…人里からかなり離れているはずだけどこんな所まで魔物が狩り尽くされてるのか?


まぁ全くいないわけじゃないようだし、襲いかかって来られるよりは良いか。


「うっ」


そうして二人の練習を見守る事数分、勢い良く魔力を放出し続けていた金華の体が不安定そうにふらりと揺れた。勢い良く良く放出され続ける魔力の光のせいでよく見なければ分からなかったが金華の顔色がだいぶ悪い。


ふらつく金華に急いで近付いてその身体を支える。体は汗ばんでおりかなりやはり顔色もわるく、具合がわるそうだ。


「金華、無茶するな」


「ふぅ…これぐらい大丈夫だよドーン。魔力は…結構消費したけどまだあるから!」


「それはそうかもしれないが、別に急ぎじゃないし、少し休むんだ」


「…はーい」


少し不貞腐れた様子で返事をする金華。まぁ休んではくれるだろう。


飲み物とタオルを金華に渡し、ちょっとしたアドバイスをした後に黒蓮の方の様子を伺う。黒蓮のやっている魔力を一箇所に集める操作は金華と比べれば格段に魔力消費量が少ないが、黒蓮の魔力量は金華と比べると結構低いから消費割合敵にはそこまで大きく変わらないはずだ。


「くぅ…」


黒蓮は決意とやる気秘めた眼差しで、ただひたすらに魔力一点…合わせた両手の内に魔力を集めているようだ。手の隙間からはかなり強い光がこぼれ出していて、かなりの量の魔力を集めいることが簡単に伺いしれた。


あそこまで魔力が集まっていると、制御に失敗すると爆発するレベルだし話しかけない方がいいな、かなり集中してるし。


そんな事を考えていると汗を拭い終わった金華が、自分の前にくると甘えるように寄りかかって


ーーーボンッ!!


「いっっったい!!」


「お姉ちゃん!?」


と言った所で爆発音。当然発生源は黒蓮で、手から血がだらだらとたれている。黒蓮は痛みから苦悶の表情を浮かべており、金華は慌てて黒蓮に駆け寄って『回復(ヒール)』でその傷を癒す…傷はみるみるうちに塞がって行き、それと一緒に痛みも引いたはずだがそれでも黒蓮の表情は変わらない。


「大丈夫か黒蓮?」


「これぐらい…平気よ。治療ありがとう金華、もう大丈夫よ」


「えへへ」


黒蓮は先程まで怪我を負っていた手の調子を確認するようにグウパーした後、問題なさそうだったのかそのまま練習を再開しようとする。


「黒蓮?少し休んだらどうだ?」


「必要ないわ。私は…こう言うのの覚えが悪いじゃない?【狐火】の時みたいに二人を待たせたく無いのよ」


「今回はあの時と違って余裕があるからそんなに焦らなくて大丈夫、護衛の依頼で役に立つような物じゃ無いしな」


「…それでも、よ」


「そうか、まぁ無理はするな」


「そんなのわかってるわ。明日から護衛依頼だものね」


あんまりわかって無さそうだけど…ここでなんか言うとまたなんか言われそうだし、まぁ本当にやばかったら黒蓮も辞めるだろうし…まぁその前に止められると思うけど。

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