【90】シャドーコンドル
あの後、傭兵ギルドで無事に移動報告とチーム名の登録を終えた自分達はギルドで適当な依頼を見繕って街の外に繰り出していた。
依頼の内容は…よくある魔物の討伐系でシャドーコンドル。鳥系で群れを作らないタイプの魔物で、隠密を得意としている、索敵系の能力が無ければ苦戦は必須の相手であると言うことと、魔物掃討の生き残り討伐の依頼のと言うのもあむてランクはCランクと少し高め、自分達のランクがDだからひとつ上のランクの依頼だが、まぁ強さ的には余裕なはずだし問題は無いはずだ。
「さぁ!今日も冒険に行こう!」
楽しそうに腕を突き上げて笑う金華を先頭に街の外に繰り出した。太陽はまだ高い位置で照っており、まだまだ時間に余裕はあるが、あまり数がいるようなタイプの魔物では無いのであまりゆっくりやって行くのは危ないだろう。そこまで索敵能力が高い訳では無いし……
「金華は相変わらず元気ね」
楽しそうに道を進む金華を見て、黒蓮がわずかに呆れを滲ませた声で小さくそうこぼした。
「そうだな。まぁルドさんからの護衛依頼は恐らく数日に渡るだろうし、しっかり楽しんだ方がいい」
「私は旅の疲れを癒したかったのだけど……まぁ、それも悪くはないわね」
「2人ともどうしたの?早く行こうよ!」
先行して歩いていた金華が頭の上で腕を振って早く来るように急かして来る。
「金華、危ないからあまり離れちゃダメよ」
「2人が遅いだけだよ〜」
早く早く!と金華に急かせられるままに駆け寄って、離れ過ぎない様に気を付けながら目的のシャドーコンドルが出没するという森を目指して歩を進めた。
道中は街道を道なりに進んだ上に、月隠の影響で魔物のリスポーンが無くなっているおかげで特に接敵することも無く目的の森までたどり着いた。森は鬱蒼とした様子だが風に吹かれて草木が揺れる音しか聞こえて来ず、森の中に生き物が殆ど存在していない事が外からでも察せられた。
「【魔力探知】や〈運命の羅針盤〉の範囲内にシャドーコンドルは居ないみたいだ。」
森の中に踏み入る前に早速スキルとアイテムを使用して目当ての魔物を探し出そうとしたが、残念な事に見つける事は出来なかった。
「それなら取り敢えず奥に進みましょうか」
自分の索敵の結果を聞いた黒蓮がそう決定する。
「そうだな、とはいえモグラの時みたいに見逃してる可能性もあるから油断だけするなよ」
「もちろんだよ!」
一応その反省を活かして、スキル枠を使って新しく【生命探知】を習得したから、前回の二の前になる事はそうそう無いはず。ルドさんから依頼の話を聞いた後に習得したから練度的に少し不安だど自分のレベルで索敵スキルを二重で使えばこの辺りの的に抜かれることはまず無いはずだ。
目的に着いたという事で隊列を組み直し、防御力が一番高い自分を先頭にして黒蓮、金華は横並びで森の奥を目指して先へ進んだ。
そしてしばらく…恐らく小一時間ほど目当てのシャドーコンドルを探して、生き物の気配が全く無い不気味な森の奥へ突き進んだ頃、遠方からこっちに向かって一直線に突っ込んでくる存在を薄らと探知した。
「来るぞ2人とも、恐らく目当てのやつだ」
「やっと見つかったのね、どっちから来るの?」
「正面だ、木を避ける様子もなくまっすぐ来ていから、レベルが高い個体だ。物理攻撃の通りが悪いだろうから今の内に【属性付与】を頼む」
「わかった、光属性でいいのよね?」
「あってる。金華は敵が射程に入るまで待つんだ、掃討作戦がどんな物だったかは分からないが、生き残りだからな不利を悟って逃げるかもしれない。」
「わかった!」
遠方から高速で迫り来る敵を待ち構える。
「………きたっ」
遠方から迫って来ていたシャドーコンドルは、発見位置からものの数秒で視界に見える位置に現れた。見た目は墨汁を思わせる光を吸い込む様な真っ黒タカで、大きさは普通。
突っ込んできたシャドーコンドルを受け止める様に盾を構えて居たが、シャドーコンドルは翼で飛んでいては到底実現出来ないような挙動で急旋回し、円を描きながら金華に迫った!
敵のヘイトを、貰う方法も考え無きゃだな。
金華に迫る敵の前に《護刃の盾機》を割り込ませて突撃を防ぎ、動きが止まった所にすかさず黒蓮が【居合】で攻撃を仕掛けるが素早く体勢を立て直してこれを回避して見せた。
そして少しだけ距離をとったシャドーコンドルが少しだけ黒く輝いたかと思うと『闇の矢』が黒蓮目掛けて放たれたが、これを黒蓮は【受け流し】で難なくいなして見せた。
そして敵目掛けて金華が【三連矢】を放った、しかし敵が木の中にめり込んで行ってしまった事で、矢は木に刺さり不発に終わってしまった。
「むう…こいつすばしっこいよ!」
「少し面倒ね…ドーンいつものは?」
「『加重』か?あれは元の体重が軽い相手とはあまり相性が良くないからな、『減速』と一応使うが、敵が潰れて死ぬなんて言うのは期待するな」
黒蓮にそう言って『加重』と『減速』を発動して敵にデバフをかける。すると予想通り潰れる事はもちろん地面に落ちるような事も無かったが目に見えて速度が落ちて……
「なんかさ、敵の動きがおかしくない?」
金華が言った通り、『減速』の効果によって敵の動きが遅くなった途端、金華の言う通り敵の様子が少し変わった様な気がする。
「逃げようとしてるっぽいか?『重力』」
『重力』を発動しすると、空中に黒い点が現れた周囲のあらゆる物を猛烈な勢いで吸い込み始める、当然その中には敵も含まれている。範囲を調整してあるから自分達が吸い込まれる事は無い。
『重力』自体にダメージを与える能力は無いし、物理をすり抜けられるシャドーコンドルには一緒に吸い込まれた枝や石なんかとの接触ダメージも無いだろうけど、逃げられないようにするにはこれで十分だろう。
『重力』に囚われた敵目掛けて黒蓮と金華が【鎌鼬】を敵目掛け放った。先に言った通り色々な物が敵と一緒に吸い込まれているので完全命中とはいいがたいが、それでもしっかりと敵に命中した。
ーーーKiiiiiiii!!
痛みからか、初めて声を上げたシャドーコンドルは再び黒い光を帯びて……消えた。
「消えた?やったかしら?」
「いや、逃げられてる。恐らく『シャドーダイブ』だ、追うぞ」
視界からシャドーコンドルは消えたが、まだ【魔力探知】と【生命探知】の射程圏内にいる。発動した魔法は恐らく影から影に瞬間移動ふる『シャドーダイブ』だ、日はまだ高い位置にある上に鬱蒼とした森の中である事を踏まえるともっと遠く転移していてもいいようなきがするが
「あんな早く動く相手に追い付けるの?」
「あいつもダメージをおっているし、デバフが切れるまで時間があるから余裕だろう『加速』」
『加速』で全員の速度を向上させたあと二人を先導して逃げたシャドーコンドルを追った。
【魔力探知】と【生命探知】が示す場所に、二人を先導して向かう。シャドーコンドルは転移した直後は動き出す様子は無かったが、少しして休むシャドーコンドルを視界に捉えた時に、シャドーコンドルも自分達が近付いて来ている事に気が付いたらしく、一直線に逃げ出そうとした。
「【追矢】」
しかし、金華が草木の隙間から見えた敵に【追矢】を放って敵の逃亡を咎めて見せた!
「よくやったわ金華!」
黒蓮はそう言って金華を褒めると、走力を高めていっきに距離を詰めた。その動きはとても洗練された物で、瞬く間にシャドーコンドルのすぐ近くまで迫り、矢に貫かれてなお逃げ出そうとしていたシャドーコンドルの体を
「はあっ!」
一撃で一刀両断し手見せた!
すごい動きだな…そう言えば二人は森の中にある隠れ里出身だし、森の中の方が戦い慣れているのかね?




