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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
商人と月影祭
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【88】名前とお祭り

「それは…先に内容と理由を教えてください、それから決めます」


「ええ、もちろんですとも。以来の内容に付いては簡単です、幾つかのアイテムの提供と護衛の依頼を請け負って欲しいのです」


「アイテムは…まぁ物によりますが構いません。護衛の依頼は…もう少し詳しくお願いします」


「はい、護衛対象は私達が経営するバーの歌姫の護衛です、期間は祭りが終わるまで。これは貴方に依頼する理由にも関係して来るのですが、今回の祭りの目玉である彼女は今、命を狙われておりまして、当然名のある傭兵達を雇おうとも試みたのですが、どうも貴族や他の商会から圧力が掛かって居るらしく反応が芳しく無いのです。」


「なるほど、つまり理由は…苦もなく貴族と敵対した上で勝てる、更に裏切り行為をする心配も…この国出身の人達より低いからということですね」


「ご明察でございます。依頼、受けて頂けますでしょうか」


真剣な顔でそう言うルドーさん。チラリと視線を黒蓮の方に向けるとタイミングを待っていたのか黒蓮はすぐに喋りだした。


「どうしてそんな事になっているのか聞いてもいいかしら?」


黒蓮は腕を組み、怪しむ様子を隠すことも無くそうルドさんに問いかけた。


「もちろんでございます。まず初めに私達が悪い事をしたから、或いは喧嘩を売ったから攻撃を受けている訳ではござません。単に商売で負けた逆恨みで禁じ手を行使してきたというだけでございます」


飄々とした態度を崩さず、しかして確信を持ってルドさんは言う。


「それだけなの?」


「はい。法に触れる事はもちろんあくどい商売などしておりませんし、我々が進出してきた事で業績が悪化した者達へのバックアップも怠っておりません」


「わざわざ商売敵の落ちぶれた連中のバックアップアップまでしているの?」


「もちろんでございます。商売をする上で治安と言うのはとても大切ですから」


「そうなのね。私は商売のことは何も知らないけど…凄い立派だと思うわ」


それを聞いた黒蓮は関心したしたように頷く。


「ありがとうございます…それで、依頼は受けてくださるという事でよろしいですか?」


黒蓮の好感触を受けて、行けると判断したのかルドさんが改めて依頼を受けてくれるかを確認して来る。貴族や商会と敵対すること自体は…まぁしばらく平和には過ごせなくなるかもしれないが、るしさんからの依頼を考えると1つの地域に留まる事は無いだろうし、ルドさんと友好を結んで置くのは悪くない選択のはずだ、彼ならそう時間もかからずそう言った連中を黙らせられるだろうし、依頼を受けるのは悪くない判断のはずだ。


「ああ、そうだな、受けよう」


「ありがとうございます。それでは傭兵ギルドを通して指名依頼という形で依頼させて頂きます。つきましてチーム名を教えて頂きたい」


「チーム名?」


チーム、チーム名か……そういえばそういうの聞いた事無いかもしれない。金華と黒蓮の二人と出会った時も特にチーム名は名乗られなかったと思うし、フェルの町の傭兵ギルドでもたしか獣人姉妹呼びでチーム名で呼ばれる事はなかったはず…自分も特に気にしていなかったから聞いたことも無い。


「チーム名特に無いよ!とくに必要なかったし!」


再び視線を黒蓮に向けると、黒蓮は何処かバツが悪そうに目を逸らしたが、代わりに金華がすぐに答えてくれた。どうやらチーム名はないらしい。


「そうでか…しかしそうなると困りましたね、チーム名が無いと指名依頼が出来ません今決めて頂けないでしょうか?」


「い、今?えっと、直ぐに決めなくちゃダメかしら?」


「ダメという訳ではございませんが、早い方がありがたいです」


「それはそうよね…」


ルドさんにチーム名を決めるように急かされて、焦る様子を見せた黒蓮だったが、直ぐに考え込む様子を見せる。まぁ現在進行形で命を狙われている人の護衛依頼だ、遅れれば遅れるだけリスクは上がるし、そもそも依頼が取り下げられる可能性も高くなる訳だから直ぐに決めた方がいいのは間違いないだろう。


「はい!」


うんうん、唸って悩む様子を見せる黒蓮を待って居ると、少し挙動不審だった金華がピシッと元気よく手を挙げた。


「どうした金華?」


「実はねドーン、私達のチーム名を少し前から考えたの!」


金華の期待に答える様に話を振ると、嬉しそうに目を輝かせながら、意外な事にそんな事を言い出した。金華はこだわりの強い方だし、チーム名が無いなら特に興味が無い項目なのかと思ったがどうやらそんな事はなかったらしい。


「おお!そうなのか?それでなんて名前を考えたんだ?」


「うん! ()()()()() って名前!軌跡が私達が旅をしている事を表してて、灯るがその旅が希望…は流石に言い過ぎかもしれないけど、私達の軌跡にはいい物が残る!みたいな感じ!どうかな?」


「私は凄く良いと思うわ、良くやったわね金華」


「えへへ」


自分が考えたチーム名が褒められて嬉しそうに笑う金華。手を上げる前に珍しく少し戸惑っていたところから察するに、金華的にはこれしか無い!って感じではなかったんだろうけど、それでも認められればこれで良かったと思えるものだろう。


「ドーンはどう?いいと思う?」


ちょっと自信過剰な気もするが、まぁチーム名なんてだいたいそんな物だし……


「良い感じだと思う」


「良かった!」


そう言って安心したようで金華は朗らかに笑った。


「チーム名が決まったようですね。それでは傭兵ギルドの方に灯る軌跡団の方に指名依頼をさせていただきますので、今日に傭兵ギルドの方に顔を出して移動申請を済ませて置いてください。明日の朝には依頼を受けられる様にしておきますので」


「わかりました」


「さて、うちのエドワードを助けてくださった上に、難しい依頼を受けて頂く約束をしてくださって本当にありがとうございました。何か御用意がありました何時でもお尋ねください」


「あ、いや、少し待ってください」


「もちろん構いませんが、いかがなさいましたか?」


「実はここに来る前に、るしさんと出会いまして、クランユグドラシルのメンバーを探すように依頼を受けているのです。それでルドさんと出会った事を御報告さていただく事になるのですが……大丈夫ですよね?」


「ええ……ええ!?そらそうなんですか??ま、まぁもちろん問題はありませんが」


そう聞くと、るしさんの名前が出たあたりでルドさんは今までの真面目な…しかし何処か怪しげな雰囲気が心底驚いた様子を見せたが、直ぐに気を取り直して問題は無いと答えてくれた。


「それは良かったです


「ちなみにリーダーは今何処に?」


「あっちの方にある山脈の向こうにある亡国に今もいるはずで」


「亡国……なるほどそれで、皆様方もそちらから?」


「はい、その通りです。」


「なるほどわかりました。私の方からも祭りが終わり次第…向かいますが、よろしくお伝えください」


「もちろんです」


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