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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
商人と月影祭
86/122

【83】草原だぁぁぁぁあ

「ん〜〜!!やっと森を抜けた!」


「しばらく森は見たく無いわね」


「そうだな」


一足先に森を抜け出した金華が、サンサンと辺りを照らす眩い陽の光を浴びながら気持ち良さそうに伸びをする。金華の鮮やかな金髪が陽光に照らされて眩く輝くその様はら装備も合わさって何処か神秘的に映った。


元気一杯な金華から少し遅れ、黒蓮とドーンも森の外に出る、久々にちゃんと浴びる直射日光の眩しさに目を潜める事になったが、それでも薄暗い森の中で時折襲ってくる魔物を撃退しながら歩き続ける事と比べればへでも無く、目の前に広がる森の中とは違う広々とした空間も相まって寧ろ気持ち良さすら感じた。


金華のちゃんと旅をするべき!と言う主張によってダンジョンには全く戻って居ないのでこういった

広い空間出るのは本当に久しぶりだった。まぁちゃんと納得した上でそうしていたのだから、金華だけを悪く言うのは違うしよくないんだけど。


ーーーサァァァァ


そんなことを考えている穏やかな風が吹き抜け、草原に生える背の低い草花を揺らして微に音を鳴らす。


魔物蔓延る異世界とは思えないなんとも穏やかな情景が前方に広がっており、魔物らしき影は勿論、気配すら感じられない。力の差も考えず、不意打ちをしようと待ち伏せをする魔物が大量にいた森の中とは大違いだ。


少しゆっくりとしたい、そんな陽気な雰囲気が辺り漂って居るが日はまだ高く昼にもまだ少し早い、何よりこれだけ平和な場所ならば見えていないだけで近くに村や街がありそうな気がする。


「…はぁ、行きましょ」


黒蓮も似た様な事を考えて居たのか整った顔を僅かに歪め、ため息ひとつ着いた後、そう言って先導するように草原の向こうへと歩き出した。金華は少し残念そうな表情を浮かべたがすぐに気を取り直して黒蓮の後を追い、自分はその後ろに続いた。


草原の旅はなんというか…まぁある種不気味に思える程平穏な物であった、森を出てからそれなりの時間が経ち、それなりの距離移動して来たが、魔物姿はもちろん人っ子一人見当たらない。


途中で、もしや道に迷って同じ所をぐるぐる回って居るのでは?と思い例人探し特化のアイテム…〈運命の緑糸(えんし)〉を取り出して確認するも特におかしな様子は無く、しっかりと指し示す方向に進んでいる。ちなみにこいつは〈運命の羅針盤〉とは違いちゃんと上下も指し示してくれるため、実は真上や真下に探し人が居ましたなんて事も無い。


「本当に何も無いし、何も居ないな」


だからそう。つい、そう言ってしまったのも仕方が無かったと思う。


「ちょっとドーン、真面目にやりなさいよ。最初に変だって言い出したのはあなたじゃない」


黒蓮が呆れた様子で言う。


「まぁそうたが…こうも何も無いとな、少し早いがお昼ご飯にしないか?」


「……わかったわ、正直私も警戒し続けるのに疲れたしそうしましょうか」


しょうがわないわね…といった様子でそう言う黒蓮だが、疲れたというのは自分に気を使って言った訳ではなく本当に疲れているらしく、何処か嬉しそうにも見えた。


黒蓮は索敵系の能力を持って居なかった筈だしそこまで…いや、あのモグラ以外にも俺の索敵を掻い潜って攻撃を仕掛けてくる敵は居たし警戒するのは当然か、やっぱり何か別の索敵手段を用意する必要があるか。


「今日のお昼ご飯はなに?」


次元収納(インベントリ)』から〈簡易拠点〉を取り出して設置していると、金華がそんな事を聞いてくる。


「いつもと通り、魔物の肉と果実だ」


「ふーんそっか」


金華は何処かつまらなそう、あるは投げやりにそう返事をする。自分から聞いて来ておいてなんだその態度はと文句のひとつでも言いたるなる…が金華言わんとする事も分かる、ここしばらくずっと似た様な食事だし飽きが来るのも分かる、けど。


「不満そうだな、いい感じの食事を生成しようか?多分肉より美味いと思うぞ?普通の食事を生成するのに悩むほどポイントもカツカツじゃない」


「ん〜…やっぱり何かズルした感じがするし、それをやっちゃうとそのうち際限が無くなっちゃいそうだからヤダ!」


「…そうか」


そう言われちゃ引き下がるしかない。一応るしさんの依頼でユグドラシルの仲間探しの旅に出ている訳だけど、こうして呑気に歩いて旅をしているのは金華の要望であり、このパーティーのリーダーである黒蓮がそれを認めている以上、仲間ではあるものの部外者でもある自分からとやかく言いづらい。


個人的にはもう少し楽に旅をしてもいいと思う、るしさんからの依頼は特に期限が定められている訳ではないけど、それはそれとして露骨にゆっくりするのはどうかと思うし、るしさんの心象もあまり良くないだろう。


それはそれとして、金華のちゃんと旅をしたいと言うのも理解はできる。魔物蔓延る危険な世界を、その地の環境に振り回されながらもそれなりに安全に気の合う仲間と旅をすると言うのは現代人なら一度は夢見ることだし、危険を身に染みて知っている現地人なら尚のこと夢のある事だろう。


まぁ自分の能力を()()と呼ばれるのはまぁまぁまぁって感じだけど…迷宮としての能力は本来迷宮が動かない、迷宮から出られないという前提のものだし納得は出来る、もちろんそれらを無視するための代わりの代償を支払っては居るんだけど。


「それら食べられそうな野草でも探すか、森を出て植生も変わったから何かいいのがあるかもしれない」


「えぇ野菜?」


金華が珍しく嫌そうなら声をあげる。


「こら、金華、好き嫌いしないの。正直私も似た様なのばかりでうんざりして来てはいたし、探してみましょう?」


黒蓮が好き嫌いをする金華を軽く叱責し、その後野草探しに同意してくれた。


「わかった、草原だと…この本か」


そう言って黒蓮【道具生成(クリエイトアイテム)】で〈植物図鑑・草原〉を生成し、索引からこの草原に近しい環境に生える食用の植物をピックアップして二人にも見せた後、早速捜索を開始しする。〈運命の羅針盤〉が指し示す所を探せば良いから普通に探すより楽だろうけど、ここは草花が生い茂る草原だしキノコの時様に一目でわかるなんて事は無さそうな気がするけど、図鑑もあるしどうにかなるはずだ。


早速〈運命の羅針盤〉を起動してツクシっぽい植物が生える場所に案内させる。ちなみにツクシを選んだ理由は他の植物と明確に形が違って見つけやすそうだからだ。


早速三人で〈運命の羅針盤〉が指し示す先にへと移動する!運の良い事に直ぐそばに生えている場所があったらしく移動を開始して直ぐに〈運命の羅針盤〉はその動きを止め、目視でもその存在を確認出来た、結構な数が群生しており、これだけあればわざわざ他の植物を探す必要は無い…いや、味気なさや飽きに対する対策で探し始めたのだからもう何種類かあったほうがいいか。


キノコは流石に無いだろうし…根菜系があったりしないだろうか?

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