【81】出端
ーーGGGLLLLLAAAAAA!!!!!!!!!
「えっ!!」
「きゃっ!?!?」
何が居るかも分からない未開の地、警戒を弛めてはいけない…そう、心の中で考え、警戒を怠っていなかったにも関わらず、突如としてそいつは【魔力探知】を掻い潜って現れた。
唐突に地面が爆発し、舞い上がった土埃の中から鋭い刃が飛びだし、黒蓮と金華を襲った!
「金華!黒蓮!」
黒蓮と金華は予想外の事態にも素早く反応して見せたものの、階梯の上昇に伴ったレベルダウンによって下がったステータスの程度を見ややまってしまったのか回避しきれず吹き飛ばされてしまった!
常に【防御指示】状態にあったことが幸をそうし、大したキズは負っていなさそうだが、突き飛ばされて晒した隙は致命的だった。
吹き飛ばした二人を負って土煙から飛び出してきた巨大なモグラは二人に食らいつこうと大きく口を開けて迫った。それを阻止すべく自分は重力魔法の『加重』をモグラに対して発動して飛び上がっているモグラを地面に叩き付けることで2人へ攻撃を阻止する事に成功した。
「大丈夫か?」
突き飛ばされて地面を転がり、起き上がろうとしている二人そう声をかける。
「う、うん」
「ちょと、ドーン!警戒してたんじゃ無かったの?」
金華はまだ不意打の同様が抜け切っていない様子で何処か上の空な返事だったが、黒蓮はすぐに立ち上がって文句を行ってくる。
「当然してた、けどそこいつはれを掻い潜って来た」
「何よそれ」
自分の説明に黒蓮は納得出来ていなさそうな反応見せるが、これが真実なんだからしょうがないよね?別に自分専門職でも無いし…
「悪い、何か対策を考える」
「そうしてちょうだい、こんな事が何度もあったら命がいくつあって足りないもの頼むわよ?」
「二人とも!呑気に話してる場合じゃないよ!」
黒蓮が切実そうな、声色でそう言うので深く頷いて返していると、金華が慌てた様子で戦う準備をするように促して来た。
『加重』で地面に叩き付け敵は『魔力探知』を掻い潜って来ただけあってそれなりに強いらしく大きく増加した自重に押し潰される事無く、ゆっくりとではあるものの起き上がってこっちに迫って来ていた。
「【魔物鑑定】…土亜竜、属性は土と金属で鋭い爪がメインウエポンらしいよ!」
「それなら【属性付与・火】ね」
金華がスキルの【魔物鑑定】を発動し、共有してくれた敵の情報を元に黒蓮が【属性付与】で敵の弱点属性を全員に付与し、続いて金華もその属性を強化する【環境改変】と【天候改編】を発動する。辺りには属性を表す赤い粒子が舞ちり、先程まで穏やかだった日差しは灼熱の日差しへと変化した。
金華はさらに『攻撃低下』と『攻撃上昇』を発動し完全に準備を整えた。
先に攻撃を仕掛けて来たのは敵の方だった。
敵は自由に動けない事を理解したのが、散漫な動作で口を開けたかと思うと周囲に轟くような咆哮と共に無数の岩の礫をこっち目掛けて吐き出してきた!
しかしこれは待機させていた《浮遊人形の青盾》が自分達の前に割って入り、【防御指示】と合わせて防ぎ切って見せた。
さらに金華はこの敵の攻撃を見逃さず【追矢】を使用して矢を放った、石礫を防ぐ盾を飛び越えるように山なり放たれた矢はスキルの効果で一切速度を落とすこと無く敵に向かって飛翔、敵の上顎に命中し爆炎を起こした!本来【属性付与】にこの規模の爆炎を発生させるほどの威力は無いが、【環境改変】【天候改編】の相乗効果による任意の属性効果増大の影響は絶大だった。
「ハアア!!」
爆炎の衝撃で敵が口を閉じ、放たれる石礫が止まった瞬間を見逃さずに黒蓮が敵に向かって素早く掛け出すと【居合】【大切断】発動して居合切りで敵を切り付ける!刀の軌跡は火属性を表すように赤く染まり、切り裂いた傷口から炎がほとばしる!
ーーーGUOOOOO!!
敵は痛みからか雄叫びを上げながら、黒蓮を遠ざけようと腕を払ったが『加重』で動きが遅くなっている敵の攻撃など、最早格上との戦闘に慣れ切った黒蓮に当たるはずもなく黒蓮は【回避】で容易く攻撃を避け【連撃】で反撃をする、戦闘は順調に進んでいる…
しかし、レベルが下がった影響が火力が足りていないように思える。….さっきの不意打ちを食らった件もあるし階梯を上昇させた時に、周囲への影響とか気にせずに装備も今出来る一番いい装備を与えるべきだったな、さすがに迷宮で移動する程の影響はないだろうし。
黒蓮に注目している敵に《浮遊人形の青大剣》と《浮遊人形の杖》を忍び寄らせ敵に攻撃を仕掛ける。
無数の爆炎が敵の背中で巻き上がり、ものの数秒で敵は絶命した。
「「……」」
ジトッとした目で二人がこっちを見てくる
「な、なんだ?」
「はぁ…別になんでも無いわ」
黒蓮は何処か諦めた様子で息を吐くと、刀に着いた血を払って鞘に収めた。
「とてもなんでも無くは見えないが」
「階梯?をあげて貰えたから少しは近付けたと思ったけど全然だったから落ち込んでるんだよね?」
「そうなのか?」
「別に!そんな事は無いわ」
金華の指摘が図星だったのか黒蓮はぷいっとそっぽを向いてしまう。
「まだ二人とも階梯が1から2に上がっただから先は長いぞ」
「そんな事分かってるわよ!敵は倒したんだし早く行きましょ」
そう言って着恥ずかしさを誤魔化すように、足早に歩を進めようとする黒蓮を呼び止める。
「待て」
「な、何よ。倒した敵はドーンが吸収してちょうだい?持ち歩く訳にも行かないし」
「わかった。いや、呼び止めた理由はそうじゃ無くて、移動する前に全員の装備を一番いい物に交換した方がいいんじゃないかと」
「新しい装備!」
金華が目を輝かせて反応しこちらを見たあと、期待した目で黒蓮の方を見る。
「それは…そうね、けど周囲への影響がどうのは気にしなくていいの?」
黒蓮は僅かに悩む様子を見せたあと、そう聞いてくる。
「まぁあるだろうが移動迷宮程じゃ無いはずだし、俺たちの見た目が目立つのは…これからも階梯を上げて行く以上避けられないだ」
「…尻尾が増えるんだっけ?」
黒蓮がそう言って自分の尻尾を体の前に持って来て優しく撫でる。こうやって改めて見ると出会った時とは比べ物にならないぐらい綺麗になっている、まぁあの時は二人とも困窮しかけてたみたい出し、比較対象としては微妙な気もするけど。
「な、なによ?」
「あ、悪い……そうだ、尻尾が増える。一番上の第十階梯まで上げれば九本だな」
「それは…目立つわね、それに邪魔そうだわ」
「まぁ邪魔そうなのは否定しないが…その分強くなるし最悪覚える【変化】でしまって置けばいい」
「そうなのね、まぁ強く成るのを辞めるつもりは今の所ないし一旦置いておくことにするわ」
「ドーン!そんな事より装備!更新するんでしょ!」
黒蓮と会話が一区切り着いた所で、金華が待ちきれない様子で割り込んで話を強引に戻してくる。
「ちょっと金華、はしたないわよ」
そう言って興奮気味の金華を諌めるような発言をする黒蓮も声色には期待と興奮が見え隠れしている。
「なんというか…二人とも強くなる事に対するモチベーションもかなり高いんだな」
「あんな戦い見たあとじゃ当然だよ!」
「そうね。正直、るしとドーンの戦いに着いて行ける気が全くしなかったもの」
そう言って黒蓮が肩を落とす。
「俺はともかくるしはトップオブトップだし指標にするはあんまりおすすめ出来ないんだが…」
「ドーン…そう言う話じゃないでしょう?」
「違うのか?」
「あ、また話し逸れてるよ!」
「ん、悪い金華、そうだったな」




