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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
商人と月影祭
83/122

【80】新たな旅立ち

挿絵(By みてみん)


スライム沼の中を悠々と泳ぐフリョンをしり目に、ドーン、金華、黒蓮の三人は迷宮内に新設された遊戯室に設置されたソファーにテーブルを挟んで座り込み、今後の動きについての話し合いが行われ用としていた。


「それでフリョンも、落ち着いたし今後について話しましょ。取り敢えずクランユグドラシル?……るしのはぐれた仲間を探し出すっていうのが今ある目標よね?」


最初に話に話始めたのは黒蓮で、腕を組みながら集まった理由を再確認するように話始めた。クランユグドラシルに疑問符が付いているのは小規模な村社会で育った黒蓮にとってああいう集い…仲間でも身内でも無い集まりを理解するのが難しかったからだろう。


「ああ、そうしてくれると助かる」


「何度も言うけど、そこまでもう訳なさそうにしなくて良いわよドーン、正直ちょっとくどいし」


ふん。と、少し呆れた様子でそう返してくれる黒蓮にますます申し訳なさを募らせる自分を自覚しながらも、嫌がられていることは明白なため、そのことを表に出さないように注意する。


「それに〈運命の羅針盤〉があれば人探しなんてすぐに終わるでしょう?」


黒蓮が淡々とした口調で言う。その指先がテーブルの縁をゆっくりとなぞっていた。


「あ~それはそうなんだが……申し訳ないが、多分黒蓮が思っているようには使えない」


ドーンは腕を組みながら気まずそうに答える。言葉を選びつつも、どこか歯切れが悪い。


「と、言うと?」


黒蓮がわずかに眉をひそめる。


「知っての通り〈運命の羅針盤〉はかなりの捜索範囲をもっている、けど最大まで強化してもせいぜいこの亡国の半分…………大都市三つ分ぐらい、頼りにするのは難しい」


ドーンがテーブルの上に設置された地図を指す指を動かしながら説明する。その様子をじっと見つめる金華は、何か考え込むように顎に指を添えていたが、ふと何かを思い付いたのかガバッと勢いよく立ち上がる。


「じゃあさ!人探しに適した道具を新しく作るっていうのどう?」


勢いよく提案した金華の声が部屋に響く。ぱっと顔を上げ、楽しげな笑顔を浮かべる彼女の表情には、不安の色は微塵もなかった。


「金華の意見はもっともだけど、残念ながらこれ以上の物となると俺が作り出すのは〈儀式祭壇〉を使っても難しい、それに人探し用の道具は基本的に一度は直接会ったことが無いと機能しないんだ」


ドーンはため息混じりに答えると、金華は少しだけ唇を尖らせた。


「それならさ!るしに使ってもらえばいいじゃん!」


そう言って金華は、遠くの方を指さした。


視線の先には、ビリヤード台の前に立つるしと白の姿があった。白がキューを構え、真剣な表情で玉を狙っているのが見える。るしはのんびりとした様子でそれを眺めていた。


「もっともな意見だけどるしのやつはこの亡国から暫く出る気が無いみたいだから、方角くらいしかわからないと思うぞ?」


ドーンが淡々と言うと、黒蓮は軽く目を閉じながら考え込んだ。


「闇雲に探すより何倍もいいし、それはあとでるしに頼みましょ。人探しを依頼してきた張本人なんだから、断ったりなんてしないでしょ。それで方角が分かったら〈運命の羅針盤〉を発動しながら迷宮をそっちに向かって移動させれば——」


「そんなのだめだよ!」


突然、金華の強い声が響いた。


「金華?」


驚いたように黒蓮が振り返る。金華は両手をぎゅっと握りしめながら、真剣な表情で姉を見つめていた。


「お姉ちゃんもしかして忘れちゃったの? 私たちが村を飛び出した理由!」


その言葉に、黒蓮の瞳がわずかに揺れた。


「……もちろん覚えてるわよ、世界を見てみたい、だったわよね?」


黒蓮は静かに答えた。


「うん、そうだよ。広い世界を見たい!! それが私たちがあんな陰気臭い村を抜け出した理由だよ! なのに空を飛んで終わりだなんて!」


金華は目を輝かせながら、力強く言葉を紡ぐ。


しばしの沈黙。


「そう…そうだったわね、金華」


黒蓮は小さく息を吐くと、ドーンに視線を向けた。


「ドーン」


彼の返答を待つまでもなく、ドーンは肩をすくめ、苦笑しながら頷いた。


「みなまで言うな。もちろん普通に旅するのは構わない。正直俺も迷宮で探し回るのは反対だし」


その言葉に、金華がぱっと表情を明るくする。


「え、そうなの?」


「……ああ、こんなのに乗って旅したら滅茶苦茶目立つ上に、訪れた地域に対する影響が大きすぎること。もし訪れた場所にプレイヤー……俺やるしみたいな存在がいたら、ひと悶着あるのは確実だし、仮にいなかったとしても、そんな派手な動きをして平穏無事にいられるとは思えないからな」


ドーンが冷静に分析する。


黒蓮はその言葉を反芻し、静かに頷いた。


「言われてみれば確かにその通りね。それじゃ、るし達と話したら早速出発しましょう」


「そうだな」


ドーンが答えた瞬間、金華が勢いよく立ち上がる。


「よーし! 旅の準備しなきゃ!」


そう言って意気揚々と部屋を出ていく金華を、黒蓮とドーンはどこか呆れたような、それでいて微笑ましげな表情で見送った。


「さて、私も行こうかしら。なんでも作れるとはいえドーンもちゃんと準備するのよ?」


「ああ、わかっている。ちなみにここには何時で転移でも戻って来れるから、貴重品は持ち出さなくて大丈夫だそ」


「そ、そうなのね」


この話を聞いて何処か拍子抜けした様子で部屋を出ていった黒蓮を見送った後、るし達に一言入れてから自分も準備のために部屋を後にした。


「準備、準備…あ、そういえば二人の階梯をあげるための準備をするか、今のままだと経験値が勿体ないし」



「いい天気だね!」


ぴょんぴょんと元気よく飛び跳ねながらそう言う金華は、空に向かって手を伸ばして伸ばし伸びをする。


「そうね…言われて見れば外に出るのは久しぶりな気がするわ」


黒蓮はそう言いながら風に煽られてなびく髪の毛を耳にかけ、深呼吸するような素振りを見せる。


何処か気持ち良さそうにする二人を見て、外に出る機会を用意した方が良かったかななんて風に思いながら二人の様子を観察する。


二人はあの亡国から出立する前に第一階梯から種族職業共に第二階梯へと上昇させる儀式を行い、無事に上昇させる事に成功した。とはいえまだ普通の獣人から妖狐になっただけだから見た目に変化は殆どないけど、ちょっとだけ前より綺麗になった気もする。


…そんな事よりレベルがリセットされて二人ともレベル1に戻っている、いくらスキルや装備がそのままとは言え、今までよりも注意しないと。


【魔力探知】を発動しながら警戒しつつ、朝日が差し込む森の中を三人で進んで行く。るしさんに頼んで〈縁継〉と言うアイテムで探し人を探してもらった結果、東に目的の人物がいることがわかったため、二人に別れを告げた後山を越えて亡国を旅立った。


この世界で目覚めて最初に訪れた町フェルとは亡国を挟んで反対側であり、当然の事ながら右も左も分からないような未知の地、二人も今は弱くなってるしよく警戒しないと


ーーGGGLLLLLAAAAAA!!!!!!!!!


「えっ!!」


「きゃっ!?!?」

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