【79】永遠にして全たる古龍…の実情
「いよいよか?思ったよりはやかったな」
融合の儀式の準備を終えた直後、後ろから声をかけられた。振り返るとそこにはるしさんと白さんがおり、るしさんが散漫な動作でこちらに向かって手を振って居た。
「来たのか」
「そりゃなあ、〈創世機〉の使用なんて滅多にあるもんじゃ無いし素材タイプは尚更だ、気になって当然だろ?」
「たしかに、その通りだな」
るしさんの説明に納得して正面に向き直る、祭壇の上には融合の儀式に必要な幾つかの素材が、〈創世機〉をその身の内に取り込んだフリョンを囲むように設置されており準備は万全と言って良かった。
「始める」
そう皆に伝えるように言った後、祭壇を起動すると祭壇に膨大な魔力…と言うかポイントが流れ込み始める。それに呼応するように設置されていた素材が螺旋を描きながら粒子へと変化して行き、魔力と合わさりながらフリョンを中心にいくつもの立体的な魔法陣が重なり合いながら徐々に形成されて行き……それが完成したことを知らせる様に巡に全ての魔法陣が輝きをまして行き、中心の魔法陣が一際強く輝いたかと思うと眩い輝きとともに極彩色の煙が辺りに充満する!
「ゴホッゴホッ!」
煙に噎せ返りながらも目を細めて光の先先を見据える。煙の中でフリョンの影がボコボコと形を変えながら大きくなって行っており、変化して行く様がうっすらと見て取れた。
そして数秒後、光が収まり、煙が吹き飛ばされ〈儀式祭壇〉の上には元の面影が殆ど感じられないフリョンの姿があった。
その姿は竜人に近しい物に変化していた。
煌めくような白い腰まである長髪、穏やか金色の竜眼、額から後頭部へと伸びる金色の角、つるんとした長い尻尾、真白な肌、そして豊満な身体。
ただの真っ白いスライムだったフリョンの面影は色以外にもはや残っていなかった。
「これは…予想外だな」
るしの低い呟きが静まり返った空間に響いた瞬間、場の空気が張り詰めた。ドーンは思わず肩を震わせ、目を見開く。
咄嗟に反応しようとした直後——
フリョンの体が、まるで糸が切れたようにぐにゃりと崩れ始めた。
デロデロと粘液のように溶け出し、その大部分がゆっくりと元のスライムの姿へと戻っていく。
淡く光っていた体表の輝きが薄れ、純白だったその身体が徐々にくすんでいく様は、どこか儚さを感じさせた。
金華が思わず口元を手で押さえ、不安げな視線をフリョンに向ける。黒蓮は腕を組んだまま、鋭い目でじっと様子を観察しているように見えるが明らかに動揺を隠し切れていない。白は相変わらず無表情だが、その瞳にはわずかに警戒の色が宿っていた。
ドーンは焦りを押し殺すように息を飲み、るしに問いかけた。
「何が予想外なんだ?」
ドーンの声が響いた後も、フリョンの体はゆっくりと溶解を続けていた。床に広がった白い粘液が光を反射して、部屋全体に不穏な輝きを放つ。
るしは苦笑を浮かべ、頭をボリボリとかいた。
その無造作な仕草が、この場に漂う不安をほんの少しだけ和らげる。
「それはだな…幾つかあるんだが一つは多分、まだ呪いが残ってる」
その言葉を聞いた瞬間、ドーンの表情が凍りついた。
「なん…だって!」
金華が小さく息を呑み、黒蓮の視線がさらに鋭さを増す。
フリョンの体は依然としてスライムの形に戻りつつあったが、完全な球体にはなりきれず、時折、体表に黒いひび割れのような模様が浮かんでは消えていく。
室内の空気がさらに重くなった気がした。
「落ち着けドーン、別にこっちに害を及ぼす物じゃ無い、この呪いの対象は彼女自身だすぐに危険はない。これは完全な推測だがこの国を滅ぼしたあの呪いはただの余波、副産物に過ぎなかったのかもしれない…」
るしの説明と共に、フリョンの体から一瞬だけ淡い黒煙のようなものが立ち昇った。
誰も言葉を発しないまま、その様子をじっと見つめている。金華の表情には心配と戸惑いが色濃く浮かんでいた。黒蓮は冷静を装っているものの、腕を組む指先がわずかに強張っている。
ドーンはそんな様子にも気づかないまま、唇を噛み締めた。
「…….仮にそうだったとして、フリョンはどんな呪いにかかってるんだ?」
ドーンの問いかけに、るしはふっと視線をフリョンへ戻し、淡々と続けた。
「確認出来た呪いは『攻撃不可』『全絶対服従』『自己嫌悪』『職業固定』の四つだ。どれもかなり致命的な呪いな上、まだ他にも見えない物もあるぽいなこれは」
説明の間も、フリョンの体はかすかに震えていた。スライムとしての形を保とうとするものの、表面がひび割れるように時折脈動を起こす。
金華が不安げにフリョンを見つめ、黒蓮の眉間には深い皺が刻まれた。
ドーンの表情はますます硬くなっていく。
「解け…無いんだよな?」
その問いに対して、るしはほんの少し目を伏せた後、静かに頷いた。
「ああ、白のあれで解けなかった事を踏まえると恐らくそう言う類の創世機か極まった特化職じゃないと無理だろうな」
その言葉が部屋に重く響く。
再び沈黙が落ちた。
空気がどんよりとした不安で満ちる中、フリョンの体の脈動が次第に弱まっていく。
ドーンは目を伏せ、無力感に苛まれるように拳を握り締めた。
「そう…なのか…」
その声はかすれていた。
しかし、次の瞬間——
「あ!そんな事より早くあいつを回収しろ!」
るしの鋭い声が場を引き裂いた。
ドーンは驚いて顔を上げた。
「危険はないんじゃなかったのか?」
その問いを発する間も、フリョンの体は急速に萎んでいく。体表に黒い模様が広がり、消えかける光がまるで命の終わりを告げているかのようだった。
「寝惚けたこと言ってんじゃねぇ!あれで浄化出来ないぐらい強力な呪いの『自己嫌悪』だ!直ぐに死んじまうぞ!」
るしの声が響いた瞬間、フリョンの体が完全に崩れ落ちそうになった。
ドーンの全身を冷たい汗が伝う。
慌ててフリョンの元に駆けよるがフリョンはもはや殆どただの水溜まり溶かしており、全く原型を留めていなかった…しかし幸いにもまだ死んでいなかったらしく回収する事が出来た。
「ふぅ」
「ね、ねぇフリョンは大丈夫なの?」
フリョンを無事に回収出来た事に一息着くと、少し遅ればせながらも駆け寄って来ていた黒蓮がそう聞いてくる。黒蓮にとってフリョンは命の恩人も同然な訳だから殊更心配なんだろう。
「分からないが…死んでは居ない。るし、何か無いか?」
「こう言うのはお前の方が詳しそうだが…まぁお前が作れる中で一番強力な浄化や精神防護系の装備を当たるしか無いんじゃないか?」
「なるほど」
早速【防具生成】で高い精神系の性能を持つ《星雲羊のバジャマ》上下セットとそれと同様の効果を持つエメラルド系の装身具一式を作って【迷宮創造】の機能を使ってフリョンにそれらを装備させ、さらに【道具生成】で消耗品の〈浄化の札〉と〈強精の札〉さらに念の為〈身代わり人形〉と〈白痴の書〉を作り出す。
魔王とその大量の眷属を倒して得た大量のポイントを惜しみなく正直して生成した為その等級は〈伝説〉に達している。
「よし……行くぞ」
ポイントを消費者してフリョンを全回復させて、この場に召喚する。
状態は……竜人状態だが少し溶けている、急いで溶けかけの角に1つづつ札を取り付ける…
「ドーン、〈白痴の書〉も使った方がいい」
「そうだな…ッ!?」
ーーーバンッ!!!!バチバチ!!
真剣な表情でそう言うるしさんに促されるがままに〈白痴の書〉フリョンに対して使用した直後、フリョンから呪いが飛びだし、〈白痴の書〉破壊し尽くした!
慌てて手放し、落下した〈白痴の書〉は効果を発揮する事無くグシャリと潰れてグズグズに崩れてしまった。
「これは…」
「…呪いによる現象だし《苦しまない事は許さない》って感じか?古龍って奴は相当恨まれてたらしいな、この感じだど無効系も用を成して無さそうだし変えた方がいい」
「そうだな」
設定の章にその他を追加しました。白とフリョンについて記載されています。




