【69】特訓・目指せレベルカンスト!2
「早くその場を離れるんだ!!」
ーーーバンッ!
咄嗟にそう叫び、二人も何か仕掛けて来ている事には気が付いていたのか直ぐに光を帯びた地面から離れようとしたが…既に手遅れ、敵が大剣を地面から引き抜くのと同時に光を帯びていた地面が勢いよく爆ぜ、その衝撃が二人を襲った!
「キャッ!?」
「くっ!」
2人は回避しきれずに悲鳴を上げながら吹き飛ばされ地面を転がって行く、幸いな事に直撃こそしなかったようだが咄嗟に対応しきれなかったようだ。そしてそんな隙を逃すほどこの敵は甘くはなく、即座に黒蓮に飛びかかった!
これは無理だろうと思い、『短距離転移』を発動して黒蓮を庇おうとすると、るしさんに妨害されて魔法の発動に失敗してしまった。
「何するんだ!」
「まぁ…落ち着け、あのぐらい大丈夫だろ?ほら」
咄嗟に振り返って、自分の腕を掴むるしさんに向かってそう叫ぶが、るしさんは何処吹く風…何でもないような様子でそう言いながら座るように促してくる。
そしてるしさんとそんなやり取りをしているうち敵の狂刃が黒蓮の間近まで迫った!あそこまで行ってしまえば庇うのはもはや不可能、推察される敵の攻撃力と黒蓮の防御力を考えると環境補正も無くなっている今は次の瞬間には肉片に変わってもおかしくない一撃だ。
「【回避】!」
黒蓮はこれを【回避】のスキルでどうにか転がって避け、続く2激目の攻撃は刀を盾にどうにかか防いで見せたが敵との膂力の差は圧倒的で数秒も持たずに押し切られてしまうのは日を見るより明らかだった。
「【三連矢】!」
そうはさせまいと金華が【三連矢】を敵めがけて放った。放たれた三本の矢は黒蓮を押しつぶさんと力を込めていた敵に気が付かれる事なくその横っ面に突き刺さった、そしてその時敵の気が金華の方に逸れた隙を見逃さずに黒蓮が抜け出し敵から距離を取った。
「ほら、どうにかなっただろ?過保護なのも良いが仲間なんだから信じてやる事を忘れちゃ行けないぜ?」
「……」
これみよがしにニヤリと笑って、そう説教臭い事を言うるしさん。自分は何とも言えない気持ちになりながら席に着く。まぁ確かに…二人の戦闘センスはかなり良いし、今なら蘇生アイテムが生成出来るからもし死んでしまっても大丈夫…一応大丈夫だし、うん。
不意打ちから持ち替えした金華と黒蓮。金華は領域を展開せずに援護射撃に徹する事にしたみたいだけど…それだと黒蓮の【属性付与】を加味しても攻撃力半減以下…あれを倒すにはまるで足りないと思われるが…大丈夫だろうか?
ーーーGAAAA!!!
敵が咆哮と共に淡く輝きを帯びた大剣を横に構え、大剣を横なぎに振り抜き二人を巻き込む様に巨大な斬撃を飛ばした!二人は当然それを回避する…かと思ったが黒蓮が回避せずに斬撃に突っ込むと【受け流し】を発動して飛ぶ斬撃の軌道を反らして一直に敵に迫った。
それに対して敵は特に焦る様子もみせず(そもそもそその手の感情があるようには見えないが…)大剣を振るって戻す刃で黒蓮を迎撃しようとしたが、これを金華が【水の上位精霊】による『水の拘束』で敵の動きを阻害し、黒蓮は自分の間合いまで敵に近付く事に成功したが…攻撃を止めることに集中していたのか大剣を振るう腕以外の拘束が甘く、背中から生えている二つの枯れ枝のような腕がその鋭い爪で刺し貫かんと黒蓮に迫ったが、これを【回避】ですり抜けるように回避して敵の背後に回った黒蓮は飛び上がって【居合】【連撃】で背中から生えている二つの腕を切り落として見せた!
ーーーGuoooOOO!!
雄叫びとも悲鳴とも取れる声を上げながら、敵は力ずくで拘束を引き千切り、その勢いのまま背後ににいる黒蓮目がけて大剣を振り抜いた!【回避】【受け流し】共に使用したばかりかつ、背から生える腕を切り落とすために飛び上がっていた黒蓮は、この攻撃を自身の体勢を意図的に崩すことでギリギリのところで回避する事に成功したが返す刃で振るわれた二撃目は黒蓮の【水の精霊】が黒蓮をその場から退避させることでどうにか事なきを得た。
体勢を整え敵を挟むような形に布陣する事になった。敵は黒蓮に視線を向けた後、度重なる妨害に嫌気が指したのか、或いは本能的に相性の悪い方を優先したのか金華の方に向かって駆け出した。黒蓮も後を追うがサイズ差もあって敵の方が数段移動速度が高く追いつくのは遠距離攻撃手段の乏しいこともあって黒蓮には殊更難しいだろう。
黒蓮が【狐火】【鎌鼬】を放ちながら敵を追いかけるが敵は金華からヘイトを変える事無く迫った!金華は逃げても直ぐに追い付かれる事を察してか逃げる素振りを見せず、敵の移動を妨害する為かスキルを使用しつつ脚部を重点的に攻撃し始めたものの、要所を守る鎧に阻まれそれは叶わず、駆け寄って来た敵はその勢いのままに金華目掛けて大剣を振るった!
「金華!」
それをみて黒蓮の悲鳴のような声で金華の名前を叫ぶ。金華は冷静にこれを深くしゃがみこんで回避し、【獣化】でその姿を小狐へと変化させ追撃を回避しつつ敵の足元を通り抜けて黒蓮の方に向かい、どうにかこの難所を乗り越えられたようだ。
「金華大丈夫なの!?」
「うん、何とか!」
「よたったわ。それじゃあ早速だけど属性強化をお願い、背中の腕を切った時の感触的にこのままだとまともにダメージを与えられないわ」
「わかった!でも援護出来なくなるから気を付けてね?」
「わかってるわ、もう背中の腕も無いし大丈夫よ」
そんな会話の後、二人の方に振り返った敵目掛けて黒蓮が【納刀】の後駆け出し、金華は【環境改変】【天候改変】を再展開した。それによって二人が【属性付与】によって纏っている光属性が大幅に強化され、反対に敵が纏う禍々しい雰囲気が大きくおとろえた。
敵はそんな事に構わず光を帯びた大剣を再び地面に突き立てるとその光は地面へと伝播して行き、地面が爆ぜた。しかし二回目ということもあって二人の対処は完璧で金華は爆ぜる前に爆発の範囲外に退避しており、黒蓮は【回避】を使って爆発を無効かしながら最短距離で距離を詰めな、武器を地面に突き立て隙だらけの敵に迫った。
隙だらけの敵の顔面目掛けて【居合】【大切断】を発動し勝負を決めにかる。敵はこれを大剣から手を離し腕を盾にする事で防ごうとしたが、黒蓮の攻撃は容易く敵の骨肉と鎧を切断しその向こう側にある顔面にへと迫り切り裂いたが腕がクッションになっていたこともあって致命傷には程遠い。
ーーーGAAAAAAAA!!!!
衝撃波を伴った大きな咆哮が放たれ、近くにいた黒蓮は強制的に距離を取らされた。敵はその隙に残ったもう片方の腕で大剣を地面から引き抜き、黒蓮に向けて振り下ろしたが【受け流し】でこれを逸らし、【大切断】で敵の最後の腕を切り裂き、刀を敵の心中へと突き立てた!瞬間、突き立てられた場所から溢れ出す様に糸のような眩いが輝きが発せられ、その糸状の光はくるりその場で一回転した後、白の中に吸い込まれる様に消え、それに呼応するように敵の体は糸が解れる様に崩れて消えた。
「はぁーはぁー…やったのよね?」
「ああ、これで終わりだ、本当によく頑張ったな二人とも。正直最後までやりきれるとは思っていなかったから驚いた」
戦闘が終わった事を確認して、二人の元に移動して労いの言葉をかける。
「ふん、私達だってやれば出来るのよ!舐めないでちょうだい」
「そうだな、悪かった」
「ドーン!」
少し離れた所にいた金華が声を上げながら駆け寄り、抱き着いて来たので受け止めると期待に満ちた目で見あげて来るので褒めながら優しく頭を撫でてあげる。
「金華もよく頑張ったな。判断も悪くなったし、馴れない領域の上書きも上手くやってた。もちろん改善点が無いわけじゃ無いけどな」
「うん、んふふ」
すると金華は撫でやすいように獣耳をペタンと伏せさせ、気持ちよさそうに目を細め抱き締め返してくる。
「ほら、俺の言った通り大丈夫だったろドーン?ダメージは回復させたし、準備が終わったら次を初めてくれ」




