【60】真の姿
「さて、いい感じに怯んでるし、体力も削れてる、これで終わりにしよう。【剣の断章・第一節・植物】」
るしさんが抑揚にそう発言すると、どこからとも無く緑色の蔦のような装飾が施された剣が現れた。現れた剣が緑色の光を発したかかと剣から発されている光が巨大ワーム目掛けて斬撃を思わせる形状を取って飛翔し、なんと一刀両断して見せた!巨大ワームの体は再生を始める様子は無く、どうやらこの一撃で絶命したようだ。
「ドーン大丈夫!?」
思っていたより呆気ない終わりに巨大ワームの死体を見て呆気にと取られているといつの間にかよじ登ってきていた金華にさっき死にかけたのも合わさってか激しく心配されてしまった。
「こんなことが出来るならさっさとやって欲しかったわ」
自分がワタワタしながら金華と接していると、黒蓮がるしさんにそんな事を言い始めた。黒蓮…あんな強力な敵を一撃粉砕した人によくそんな強気な事言えるな。
「…まさか足元から出て来るとは思わなかったんだよ、ちゃんと助けたしそれで許してくれよ」
僅かにうなだれた様子を見せてるしさんがそう答える
「そもそも、しが敵を拘束した時点俺たちが削り切れて入れば済んだ話だし、倒してくれたるしを攻めるの筋違いだろ黒蓮」
「それは…そうかもしれないけど」
そう言って黒蓮の事を睨めつけると黒蓮は少し不服くそうな感じそう返した。
「それで…この巨大ワームはどうするんだるし?」
実質るしさん独りで倒したようなものだし、こいつをどうするのかはるしさんが決めるべきだろう。
「そうだな…まぁ正直俺が持ってても使い道が無いし、お前らには強くなってもらわないと行けないからな、ドーンが吸収すればいい」
「いいのか?」
「ああ」
「ありがとう」
そう例を言って巨大ワームをポイントに変換し吸収…その量はさすがに前に戦った飛龍には劣るもののそれでもそこらの魔物と比べて格段多く、余裕を持って『回復阻害』の短剣を生成して消費した分をペイ出来る量だった。
「よし、いい感じだな。先を急ごうぜ」
いつの間にか直し終わっていた両足でふしさんは地面に降り立つと、自分が巨大ワームを吸収し終えたのを確認して手を振って先に進もうと促した。
緊張の連続で肉体的にはともかく、精神的にはそれなりにクル物が多少あったもののまだまだ先は長く今後の事を考えると確かにあの程度敵と戦う度に休んでは居られないからしょうがない。
そう自分に言い聞かせながら金華と黒蓮も大丈夫な事を確認してるしさんの後に続いた。高い確率であれの何倍…あるは何十倍も強い敵としばらくしたらた戦う事になるだろうからなおさらな。
その後は順調……とは言えないまでも巨大ワームに匹敵するような魔物相手に大きな痛手を負うこと事無く撃退し続た。強敵との連戦のおかげでレベルが一気に上昇したおかげで最後の方は結構楽だったけど、レベルが上がったからって状態が回復する訳じゃないから苦戦した時の疲労感はそのままだし結構きつくなって来た。それに対してるしさんは何度か重症と言っても過言じゃない怪我を負っているにも関わらずピンピンした様子で最初変わらとても元気に見える、と言っても金華曰く大丈夫なんじゃ無くて、慣れているだけに見えるらしいが………これからそんなに場所向かうのかと思うとひよって帰りたくなってきた、どこに帰るんだよって話だけどさ。
そんな自分の思いとは裏腹についにThe山って感じの場所に足を踏み入れた。山脈の全体像はもはや到底視界に収める収めることは出来ず、その巨大さと道の険しさを示すように山頂も見えない。これからここを登らなきゃ行けないと思うとさらに気が滅入ってくる。
「ん〜悪いんだけどさちょっとここで待っててくれない?」
「連れてってくれるんじゃ無かったのか?」
「いやー本当に申し訳ないんだけどさ、入口は知ってるんだけど出口を知らなくて分からなくさ。俺一人で一旦亡国に戻ってそこを通ってこっち来るからそれまで待ってくれ」
本当に申し訳なさそうにるしはそう言った。それなら簡易拠点から出発する前に調べて来て欲しかったが…今更言っても後の祭りだな。
「待ってくれ、ここってさっきまでより強い敵が出てくるよな?今の俺たちだけでどうにかなるレベルなのか?」
「大丈夫、大丈夫そもそもドーンはそっちが本業だろ?この当たりなら出て来ても属性持ちぐらいだし、運悪く強いのが来たとしても呪いに殺られたドラゴンの死体ぐらいだしな」
「呪われたドラゴン!?普通のドラゴンより強そうな感じがするのだけど本当に大丈夫なの??ど、ドーン今からで引き返した方がいいんじゃないかしら?」
ドラゴンと聞いて黒蓮が目に見えて狼狽え、怯えた様子でそう言った。
「……いや、ここでるしさんの帰りを待とう」
「ど、ドーン!?」
「よく言った」
しかし自分は少し考えた後に国連の提案にNOと返した。確かにるしさんの言う通り…今のレベルなら【迷宮創造】が使えるから防戦に徹すればそこらにいる普通のドラゴンなら十分に撃退出来る…はずだ。迷宮を整備するのに必要なポイントは十分にあるしどうにかなるはずだ。
「それじゃ俺は行くからちゃんと待ってろよ」
るしさんは自分の返答を聞くとにやりと笑みを浮かべ、そう言って翼を大きく羽ばたかせて勢いよく飛び上りそのまま山の上の方へ消えていった。
「本当に行ったわ、あいつ。ドーン本当に大丈夫なのよね?こんな成り行きで死ぬのはぜっったいに嫌よ?」
黒蓮に不安そうな雰囲気のまま、何処か攻めるような視線で見つめられる。
「大丈夫だ」
「本当に?今回全然良いとこ見てないのだけど?」
「お姉ちゃん心配し過ぎだよ、ドーンが大丈夫って言ってるんだからきっと大丈夫だよ!」
そう言って不安感が拭えない様子の黒蓮を励ますように金華が元気よく声を上げ、一切の疑念のない期待の眼差しでこちらを見てくる。
そこまで期待されると緊張するけど…やる事はやらないと。
「【迷宮創造】」
自分の種族のメインスキル言っても過言では無い【迷宮創造】を発動すると目の前の空間が渦の様にねじれて行き、最早先が見通せぬほどに捻れきった次の瞬間…ぎゅぉぉん!!という大きな音ともに空間が元に戻るとそこには、人の頭程の大きさをした光り輝く真っ青な球体が存在していた。
「これで…どうにかなるの?」
「まぁまて、これからだ」
黒蓮が拍子抜けした様子でそうこぼす。まぁまだ起点を作っただけだからそう感じるのもしかたがない。
【迷宮創造】については自分の種族は通常の迷宮ではなく移動迷宮のためそれなりに制限があるが…まぁこの場を凌ぐだけならばそれでも十分なはず。黒蓮と金華の二人に危ないからかってに動かないように言い含め意識を青く輝く迷宮核…自分の本体となったそれに意識を移し、ポイントを消費して【迷宮創造】で防衛の要となる〈大祭壇〉を自分の真下たに作り出し『反重力』で全員を浮遊させる。
「ちょ、ちょっと!?ドーン!」
「きゃっ!」
「ごめん、先に言うべきだったな」
突然の事に驚いた様子を見せた二人に謝罪しながらも、作業を止めることはなく構成を続けていく。流石にゲーム時代の最盛期には程遠いもののそれでもこの世界ならば過剰戦力とも言える空中要塞が出来上がって行く。
移動迷宮のデメリットは環境エリアの生成が不可能なこと迷宮核の外部露出。メリットはその場から移動出来ることと迷宮外に直接攻撃が可能なこと。こいつがあればあの属性飛龍級の敵が出て来ても余裕をもって撃滅できるだろう。まぁ……この巨体の殆どは張りぼて足場以上の意味は無いんだけど、空中に居座るのだから重要なもののはずだ。




