【57】黒蓮の寝相
「だから〜
「あ、どうやら二人が起きて来たみたいだぜ?俺は
気を聞かせてちょっと向こう行ってるから、さっさと決めてくれ」
「分かった」
「ん??ドーンあの人?はだれ?」
たわいも無い話をるしさんとしながら夜を過ごし、日が登り始めた頃、テント中から金華が出てきた。それを見たるしは自分との話を切り上げて早く済ませるように催促しながら離れて行った。金華はそれを見て頭に疑問符を浮かべながらも、自分が何もしていないから差し迫って問題は無いと判断してくれたのか特に慌てることもなく眠そうな様子でこっちに確認を取ってくれた。
「彼は俺の故郷…というか過ごしていた場所の有名人で、強い敵を倒すのを手伝って欲しいって話を持ち掛けられた」
「ふーんそうなんだ、それでその話を受けたの?」
金華は小首を傾げながらそう問掛ける
「いや、まだ受けてない。金華達とどうするか相談してから決めるべきだと思って、だから…説明をする為に黒蓮を起こして来て欲しい」
「ん〜別に良い……あ」
そう言い何か悩む様子を見せた金華は、何かハッと思い付いたような表情を浮かべた後悪戯っぽくニヤリと笑ってこう言った。
「ふふ、それじゃ一緒に起こしに行こうよドーン!」
「え、いや、それは…ダメじゃないか?」
別に二人きりという訳では無いし、ベットの間には仕切りもあるのに同じ場所で寝るのを強く拒否してきた事を考えると…自分が起こしたら色々とヤバそうな気がするんだけど。
「別に大丈夫だよ!仮にダメだったとしてもずっとあの調子じゃ困るし、お姉ちゃんに慣れて貰わないとダメだよ!」
「……それもそうか?」
「そうだよ!」
元気いっぱいに手を振り上げてそう言う金華に押されテントの中に入った。黒蓮は…仕切りが邪魔で見えないがわざわざ寝る場所をかえていなけれは一番奥の端っこのベットで黒蓮は眠っているはずだ。
黒蓮の男嫌い?を直すにしても、初手が眠りから目覚めさせるというは少々…いや、かなり段階とか工程をすっ飛ばしているような気がするが、金華はそんなの知らないと言わんばかりにグイグイと黒蓮の方へ自分の背中を押してくる。そしてそれして強く抗う理由は無いために順調に黒蓮が眠るベットに近ずいて行った。
そして一番奥のベットに辿りつくとそこには黒蓮がちゃんといて、決して分厚くない布団を被り自分の大きな尻尾を抱き枕代わりにして横になって丸まって眠っていた。
「黒蓮、起きろ」
ひとまず黒蓮に声を掛けて起床するように促して見るが…起きる気配は無い。助けを求める様に金華の方に視線を向けるが帰ってきたのはワクワクとこれから起こるであろう事を期待するような視線で、とても助けてはくれなさそうだった。いや、そもそも金華この状況にしてるんだから助けてくれる分けなかったか。
意を決して黒蓮に更に近付き…慎重に肩に手で触れて黒蓮の体を揺する…
ーーーZZzzz
が、黒蓮はこの程度では何とも無いのか、すいみんを妨害された事に対する呻き声すら上げずにすやすやと眠っている、少し強めに揺すって見るがそれでも起きない。
「黒蓮起きてくれ」
「ドーン…そんな優しいやり方じゃいつまで経ってもお姉ちゃんは起きないよ?」
「そう…見たいだな?」
「お姉ちゃんはね……抱き締めている物を取り上げない限り全然起きないんだよ!だから今回の場合は尻尾だね!」
「そうだな、あ〜でも尻尾って触っちゃだ「ドーン人を待たせてるだから早くしないと!」あ、あぁ、そう、だな」
自分の言葉を遮るように金華がそう発言した。待たせちゃ悪いと思っているならさっさと金華に黒蓮を起こして欲しいんだけど…この調子だとそれを言っても無駄だろう。意を決して黒蓮に抱き締められた黒蓮の尻尾の…先の方に手を伸ばす。
「んっ」
尻尾に触れた瞬間、体を揺すっても呻き声ひとつ挙げなかった黒蓮が小さく声を発した。驚いて思わず手を離してしまったが…黒蓮は目覚めていないようだ、やっぱり尻尾は敏感な器官なのだろうか?
「フゥゥ〜」
緊張の糸を解すようにゆっくりと息を吐き出して呼吸を整え、再度黒蓮の尻尾を掴んだ。すると黒蓮はまた声を上げたがやはり起きる様子は無く、金華に言われた通り抱きしめられ尻尾をゆっくり手前側に引っ張る、ふわふわの尻尾に手が沈んでいたせいで分からなかったが見た目から受ける印象ほど黒蓮は自分の尻尾を強く抱き締めていなかったらしく尻尾は思いの他あっさりと引き抜くことに成功した。
これで目的達成、思ったより大変だったけど特に問題は起きなかったしよかった。そう思い一息着いた…次の瞬間尻尾を掴んでいる手が捕まれ、ハッとして黒蓮の方を向くと眉間に皺を寄せながら自分の腕を掴んでおり、あぁこんなベタベタな展開……と思ったの同時に黒蓮に強く引き寄せられる!
「もう!ダメだよお姉ちゃん、早く起きて!」
咄嗟の事に対応出来ずにバランスを崩して黒蓮に倒れ込みそうになったその時、金華はこうなる事が予想出来ていたのか瞬時にもう方の自分の手を金華が掴んで引き寄せてくれたおかげで黒蓮に倒れ込みあまつさえ抱き締められる…何てことは避けることが出来た。
そういえばこの世界に来て初日の夜…黒蓮と同じベットで寝た時、何故か黒蓮は背を向けずに胸が当たるのも気にせずに自分の方を向いて眠ってたけどあれって…….もしかしてあの時自分黒蓮とか言うグラマーな超絶美少女に抱き締められて寝てた?正直あの時のことは緊張し過ぎてあまりよく覚えて無いけど…
「ん、ん〜〜」
そんな事を考えていると黒蓮が自分の事を掴んでいた手を離して唸り初め、それからそう間をおかずにゆっくりと黒蓮の目が開かれた。
「金華…もう朝なッ!?ドドド、ドーン!?へ、変態!あっち行って!!」
自分の事を見つけ驚いた様子を見せた黒蓮は、悲鳴に近い叫び声を上げながら顔を恥ずかしそうに真っ赤に染めながら枕を投げつけてくる。
「ぐっ、いきなり何をするんだ。早く決めなきゃ行けないことがある、向こうで待ってるから直ぐに来てくれ」
やっぱりこうなったかという思いに諦観の念を抱きながら投げられた枕をすぐ後ろにいる金華に私てテーブルがある方に向かいこの場を後にした。そして少し待つと黒蓮と金華の二人がやって来て席に着いた、黒蓮の顔はまだほんのりの赤く先程の時から切り替えられては居ないようだ。
「それで…話って何なの?」
「それはだな……」
思ったよりも機嫌が悪そうじゃ無い黒蓮の様子に安堵しながら、るしさんから持ち掛けられた話とるしさんについて話した。
「そうなのね」
「俺としては取り敢えず今回の目的地まで連れて行ってくれるみたいだから話に乗って見ても良いと思う、それで報酬を確認して…大したこと無いものだったら断って改めて別の国を探せば良い」
「そうね、私もそれで良いと思うわ」
「依頼については…敵の強さが心配だが、レベル上げを手伝ってくれるらしいし、きっとどうにかなるだろう」
「ねぇねぇドーン、レベルってなに?」
金華がピンッと挙手をして質問する。
「レベル?レベルは……強さ或は経験を示す指標で基本的には敵を倒すと上がる、一定に達すると新しいスキルや魔法を覚えたりもするし身体能力も上がる。一部の鑑定スキルを使えば今何レベルかは分かる」
「ふーん何な不思議ね、鍛えた訳でも無いのに身体能力が上がる何て…ちなみに私達のレベルはどれくらいかしら?」
「そうだな…多分30〜40ぐらいじゃ無いか?」
「そうなのね」
「それじゃ外で待たせるから早く行こう」




