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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
【第二章】呪われし国と無敵の天使
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【56】転生者と依頼

「やあ」


こちらの警戒知ってか知らずか、自分の背後をいとも容易く取った強大な存在は、表情抜けする程に気安く挨拶の言葉を投げかけてきた。粗相をしないようゆっくりと慎重に、それでいて相手の機嫌を損ねぬよう迅速に振り返るとそこには……


全身を包み隠せそうなぐらい大きな一対の白と黒の大きな翼と頭上で輝く黒金の砕けた天輪

金華程の低い背丈に童顔の体に似合わぬ超乳と言って差し支えない程に大きくパンパンに膨らんだ胸

シイタケ目で黄色と青色のオッドアイ

目深、腰下まで伸びたボサボサの灰色髪

そんなとても特徴的な……とても見覚えのある存在がそこにいた。


「るし…さんですよね?クラン、ユグドラシルの…」


ゲーム時代、もっとも知名度が高いと言っても過言ではなかったクランのリーダーにして()()の二つ名を持つ正真正銘の強者……自分は何処にでもいる普通のプレイヤーだったからゲーム内で会話なんてした事なかったけど噂での評価は……(何となくやばいやつ)これは漠然ヤバい奴と言っているのではなく、何がやばいか分からないけどやばいとか言う意味不明な意味合いらしいけど…


まぁ大陸を滅ぼす勢いで争ってた奴らを和解させた上で両方ともクランの仲間にしてる…というか出来てたし、噂の信憑性はともかく、普通じゃないのは確実………


「おお!そうそう!そうだよ!俺はるし!やっぱりお前もプレイヤーだったか!いや〜妙に強い気配がするし、見覚えのある設備があったからもしかしてとは思ってたんだよね!」


こちらの警戒心など無視して心底うれしそうに話するしさんはその場で嬉しさを全身で表現するようにぴょんぴょんと飛び跳ね、そのせいで色々な物が…うん。


「いや、本当に会えて良かった。しかしまさかこの世界に来てからであった二人目の人が同じ転生者だとは思わなかったな…もしかして転生者結構いる?」


「…一応自分は転生者にであったのはるしさんが初めてです」


「そうか…俺、人が全くいない場所に居るからそう言うの全然分かんなくてさ。よし!せっかくだから情報共有しようぜ。あ、あと面倒だから敬語は無しでいいぜ…えっとそういえばお前の名前聞いてなかったな?」


「自分の名前は…ドーンです」


「分かった、それじゃドーンくん、早速情報共有としゃれこもうじゃないか」


るしさんはそう言って大袈裟な動きで()()()()()足を組む。


「えっと椅子は…いる?」


「大丈夫だ、気にしなくていい。それで…そうだな、この場合は俺の方から話すべきか。

まず俺が目覚めたのは湖の辺だった、そこから多少の混乱はあった物の飛行して周囲を探索した結果…あの山の向こうにある廃都にたどり着いたんだ」


そう言ってるしさんは、自分達が目指していた山脈のある方を指さす。


「廃都…もう滅んでるのか?」


「ああ、俺がたどり着いた時にはもう一人しか生き残って居なかったぜ……もしかして目的地だったのか?だったら残念だったな」


そう言ってるしさんはこっちの事情を慮ってか悲しそうな表情を浮かべる。


「けどそうなるこ困ったな…今後どうすればいいんだ?」


「お前が何処から来たか知らないけど戻れば良いんじゃ無いのか?」


「それは…出来ない」


「出来ない?もしかして何かやらかして逃げ出して来たのか?」


「別に何か不味い事をした訳じゃない、ただ人間至上主義の国だから出奔して隣国を目指してる」


「成程ね…せっかくだからちゃんとした異世界の文明に触れてみたかったが…その感じだと行くのはやめた方が良さそうだな」


そう言って翼をバサバサと羽ばたかせる。そして数秒の沈黙の後ふと何かを思い付いたような様子でニヤリと口を歪ませると、勢いよく立ち上がってこちらにつかつかと近付き手を差し出してこう言った。


「行く宛て….というか目的を失ったんならさ、少し俺に雇われないか?」


「雇う…一体何をさせるつもりだ?」


「さっきも言ったけどさ、お前達が目指してた国は亡国になっちゃってるわけで…そうなった元凶を倒すの協力してくんない?って話よ。報酬は…王城にあった宝物庫の中身全てでどうだ?」


「それは…悪い話じゃ無さそうだが俺の一存では決められないし…報酬の確認と元凶次第だな」


言うてあの有名なるしさんが仲間を必要とするレベルの相手を俺…はともかく黒蓮と金華が相手取れるとは思えないし、戦闘系なら拒否するべき案件だな。話して見た感じ思ったよりいい人そうだったし、依頼を断られた程度で豹変したりはしないだろう。


「まぁそうだよな。元凶は魔王、第十階梯、推定レベル100、デバッファーの悪魔だ」


「それは今のレベルだと…」


「まぁまて!断るのはまだ早いぞ、この悪魔は強力なギミック要素があってな、件の亡国最後の生き残り連れて戦闘フィールドには入るとなんと悪魔背中かから彼女に共鳴するように謎の白い結晶が数本生えてきて悪魔の全ステータスが半減するんだ」


「成程それならギリギリ…いややっぱ無理、それでもレベルが足りない」


「なるほど…とは言えここで断られると他を探すのはかなり難易度が高そうな感じするし……ん〜よし!お前達のレベル上げも手伝ってやるよ!後ろテントの中にいる奴らも…まぁ第一階梯とは言えレベルMAXあれば多分大丈夫なはずだ、元凶と戦うのは俺だけ出しな」


「ちょっと待て、お前1人で倒すならなんで倒すのに協力が必要なんだ?」


「俺、スキル構成の問題で誰かを守るの向いてなくてさ、生き残り…白って言うんだがその子を俺が元凶を倒すまで取り巻きから守って欲しいんだ」


「なるほど、いやそれでも…」


メインの相手は元凶じゃなくて取り巻きってことなら三段ぐらい強さは落ちてるはずだしレベルを上げて対策して行けばどうにか……いや、それでも二人ではレベルをMAXまで上げても無理だろう。


「なんだ?」


「それでも普通に死にそうな気がするんだが…」


そう答えるとるしさんは訝しげな表情を浮かべた後、フッとこちらを小馬鹿にするように笑いながらこう言った。


「別に蘇生すればいいだろ」


「…この世界でもちゃんと出来るのか?」


「なんだ、ドーンまだ一度も死んだこと無かったのか?普通に蘇生魔法は通じるぞ?」


「本当か!?と、言うかそれどうやって試した…て、白って子しか居ないか」


「ああ、白のやつ俺と元凶と戦ってる時に取り巻きに殺されちゃってさぁ……白一人で敵の波を押し返せそうに無かったから逃走してこうして一緒に戦ってくれそうな奴を探してたってわけよ!」


「お、おぁそうか」


落ち込んだり元気になったり情緒の変化が激しい人だ…….何となくヤバい人な気がしてきた。


「まぁ死んで欲しく無いなら二人を戦場に連れてかなきゃいいだろ。それにあともう少しで根幹スキルが手に入るレベルだろ?それがあればお前だけでも一人守りきるぐらい余裕だろ」


「まぁ…そりゃそうだけど」


どうしてるしさんは自分の種族とレベルが分かったんだ?種族の事はもちろんレベルの事何て一度も話してないのに。鑑定系のスキルや魔法を使われた感じはしなかったし……ん〜対面するとるしさんが自分より滅茶苦茶強いって何故か分かるしそれと同じ感じでるしさんはこっちのレベルを計ってるのか?でもそれだけだとレベルは分かっても種族までは分からない筈だし……わからない、聞き及ぶ戦闘スタイルが正しければ隠密や秘匿系のスキルは持ってないだろうしなんで分かったんだ?


「ま、取りあえず来いよ。どうするかを決めるのは報酬を見てテント2人と相談してからでもいいんじゃなないか?」

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