表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
【第一章】始まり
53/122

【50】精霊樹

「ぐっ!!」


咄嗟に近くを自分の近くを優先させていた《浮遊人形(フロートゴーレム)の青大剣》を蹴り飛ばし、風を纏い大口を開けて突っ込んできた巨大な狼とタロさんの間に強引に割り込ませ噛み付きを防ぎ護衛対象を守る!


「ひっ!?」


「う、風狼(ウィンドウルフ)です!!」


金華が【魔物鑑定】で現れた狼の正体を伝えながら弓矢を構え、黒蓮も慌ててこちらに振り返る。


浮遊人形(フロートゴーレム)の青大剣》一方が噛まれて居るすきにもう一方が風狼(ウィンドウルフ)に接近して深々と切り裂いた、


ーーーKYIIIi!?!?


風狼(ウィンドウルフ)は悲鳴を上げなら《浮遊人形(フロートゴーレム)の青大剣》から口を離し、再び風を纏って加速しようとした…がそこは金華の【環境改変】の範囲内であり、思うような効果が得られなかった風狼(ウィンドウルフ)は金華の追撃を許し足に矢を食らって体勢を崩しその隙を逃さず《浮遊人形(フロートゴーレム)の青大剣》でトドメを刺した。


「ほ…思ったより早く終わったわね」


「そう…だね」


風狼(ウィンドウルフ)の纏う雰囲気が属性飛竜(エレメントワイバーン)にていたにも関わらず、思ったよりあっさり終わってしまった事に何処から表紙抜けしたような表情を浮かべる二人。

まぁ属性飛竜(エレメントワイバーン)が第四階梯なのに対して風狼(ウィンドウルフ)は第二階梯…レベルもここの平均を逸脱したものじゃ無さそうだったし、同じ風属性の変異を起こしたからと言って強さまで同じなわけ無いしこんなものだろう。


「あの速度だと突っ込んで来てくれ無かったら、かなり時間がかかってただろうけどな」


「ほ、本当にお強いんですね…」


「あ、すみませんタロさん、お怪我はありませんか?」


そう言って突然の強襲に驚き、尻もちを着いてしまっていたタロさんに手を差し伸べる。


「あ、ありがとうございますます……やっぱり森は怖いですね」


「危険な目に合わせてしまって申し訳ないです」


「あ、そんな謝らないでください。魔物が蔓延る森の奥に来た以上う多少の危険は織り込み済みです、むしろ助けてくださってありがとうございます」


「いえいえ、仕事ですので」


そんな会話の後、風狼(ウィンドウルフ)を退けた一行はさらに森の奥へと進んで行く。


風狼(ウィンドウルフ)が現れる直前に吹き始めた強風は、まだ今回の依頼の難所をクリアした訳では無いことを示す様に未だに強く吹き続けており、心做しか奥へ行けば行くほどに強くなって行っているような気がする。


これは…まさかまた精霊かがいるのか?今回の目的は精霊樹の葉の入手なわけだから、その精霊樹に精霊が宿ってるというパターンは大いに有り得る。それなら風狼(ウィンドウルフ)属性飛竜(エレメントワイバーン)と同一の属性変異を起こした魔物にこの短期間で遭遇した事にも納得が出来るけど、そういう理由で属性変異が起きたなら精霊樹の周りは風属性の汚染エリアになっているはずで…この推測が正しいとすれば金華がいなかったら色々と大変だったな。


そんな事を考えながらさらに奥へと進んで行く、強風が吹いているからか、はたまたさっきの風狼(ウィンドウルフ)の縄張りだからなのか再び魔物が現れるようなことは無く、代わり風は薄緑色の光を帯び始め風属性の汚染領域が近い事を伝えてくる。


ここまで来ると聴覚は完全に風の音に支配され、会話による意志の疎通は実質不可能な状態になっていた。もし【環境改変】が無かったとしたら全身はもちろんの事、その場に立ち続けることさえ難しかっただろう事は想像に硬くない。


そんな強風にも屈さず、周囲を警戒しながら先へ進んで行くと遂に薄緑色の粒子が舞い散る場所…この強風の発生源と思われる風属性の汚染領域に辿り着いた、汚染領域の奥にはこれみよがしに周囲の大樹とはまるで違う風貌をした純白の大樹が鎮座していた。精霊樹は周囲の大樹が強風に煽られ体を揺らしているにもかかわらずまるで風など吹いていませんよと言わんばかり葉の先端まで微動だにさせずに鎮座しており、この光景は一種の恐怖と畏敬を感じさせられる。


「あれです!資料でしか見たことありませんが!間違いありません!あれが精霊樹です!」


「精霊!精霊がいる!」


「なんであれだけ風に煽られてないのかしら!」


「…もしかしたらあそこだけ風が吹いていないのかもな!」


風の音に負けないよう皆で大きな声で意見を交わし、精霊樹に近づいて行く。すると不思議な事に先程まで強まる一方だった風の勢いが精霊樹に近付くほどに弱まって行き、木の麓に到達する頃には完全に止まっていた。もしかするとあの強風は台風みたいな感じで構成されていて、発生源たるここは台風の目のように風が吹いていないのかもしれない。


「つ、遂に!遂に辿り着いた…お父さん、お母さん!わたしやりましたよ!」


そんな事を考えながら精霊樹をボケっとして見上げ、軽減されていたとはいえ強風に晒され続けていた体を休めていると、タロさんが急に感極まった様子で精霊樹に近付いて行った。


「あ、タロさん危ない!!」


「え?」


精霊がいるらしいとはいえ、ここまで近づいて何もしてこないなら大丈夫だろうと油断、あるいは楽観視していたのが良くなかったのだろう。金華が大声でタロさんの身に迫る危機を知らせたのと同時に精霊樹その物が淡く薄緑色の光を纏って輝き初め、その直後に爆風を思わせるような強烈という表現では足りないような強風が吹き抜けた!当然最も精霊樹の近くにいたタロさんが最も強く影響を受けて勢い良く吹き飛ばされてしまった!


「『減速(スロー)』『加速(クイック)』!」


タロさんを遅くし、自分を早くして吹き飛んで行くタロさんをキャッチしようと追い縋り手を伸ばしたが残念ながら手は届かずタロさんはそのまま吹き飛ばされ、汚染領域外縁から始まる強風に巻き上げられそうになってしまっている!


「うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」


「くっ『加重(ヘビーウェイト)』」


咄嗟にタロさんが吹き飛ばされないように『加重(ヘビーウェイト)』をかけたが、どうやら重さはそこまで関係ないらしく、タロさんは何と勢いよく上空へ吹っ飛ばされて行ってしまった。


「今助けに行く!」


「ちょ、ちょっとドーン!精霊樹から何か出てくるわ!」


「なんだって!?いやそれよりも、俺は護衛対象を助けに行くからそっちは2人でどうにかしてくれ!ヤバそうだった俺たちに構わず逃げくれていいから!」


そう言い放ち、タロさんの後を追うように強風の中に突っ込み、天高く舞いあげられた!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ