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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
【第一章】始まり
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【45】Dランク

「やっときやがったか、お前らちょっとこっちに来い」


傭兵ギルドに入った途端、いつもの受付のおじさんに声をかけられる。おじさんはいつもの無愛想な感じとは打って変わって機嫌が良さそうであり、何かいい事があった事が伺いしれた。


「貴方から話しかけて来るなんて珍しいわね、何かあったのかしら?」


黒蓮はいつもと男の様子が違うからか、何処が訝しげにそう答えた。


「察しが良いな。お前らにいい知らせと悪い知らせがあるんだが…どっちから聞きたい?」


おじさんは何処が茶目っ気を感じさせる口調でそういった。似合ってなさすぎて怒りを覚えるレベルだが……


「そうね…悪い方からにしても貰おうかしら」


「そうかわかった。それじゃ悪い方から教えよう…このままじゃお前たちはDランクに上がれない」


「はぁ!?」


ーーーバンッ!!


「黒蓮…」


「あっ…ごめんなさい」


「そ、そう結論を急がないでくれ……ん゛ん゛それで良い話だが…実はあんたら全員Dランクに上がるのに必要な貢献度を満たしてるんだ、普通よりかなり早いが…まぁかなり長い間塩漬けになってた依頼を複数こしてくれたし中層の魔物もかなり納品してくれたからな」


「でもおじさん、いくら貢献度を貯めてもランクがあげられないなら意味無いよ?」


「まぁそうなんだが……余りこういうのを教えるのは良くねぇんだが……」


そこまで言っておじさんがちょいちょいともっと近付いてくるように手まねきして来たので、三人に顔をおじさんに寄せるとおじさんは小声で続きを話し始めた。


「実はな、上のランクに上がるのに貢献度以外にも条件が設定されているケースがあってな…何を隠そうDランクもそのうちの一つなのよ」


「そう言う事ね…それでその条件も教えてくれるのよね?」


「ふっ、当たり前だろう。じゃなきゃわざわざこの事を伝えたりなんてしねーよ。それで条件なんだが二つあってな、一つは護衛依頼の達成でもう一つは……殺人だ」


「さ、殺人?」


黒蓮がびっくりした様子でそう答えた。


「傭兵やってれば依頼中に山賊が襲って来たり、そもそも()()()()依頼を受ける事もあるだろう…だからD以上上に行くにはそういう事が出来る必要があるんだ」


「そうなんだ」


金華はなんでもない事様にそう返した。まぁ金貨は昨晩向こうから攻撃して来たとはいえ、知り合いを躊躇いなく焼き殺したわけだし余裕が有りそうだが……今の話を聞いて黒蓮は固まっちゃってまだ動揺から戻って来れてなさそうだな。


「そういう訳で依頼を二つ、こっちで用意させて貰った」


そう言っておじさんはカウンターから二つの依頼書を取り出す。


「ひとつは街道に出没する盗賊の討伐及び根城の特定……もちろん殲滅出来れば追加報酬が出る。

もうひとつは薬師の護衛で中層の奥にあるとある場所まで共に向かいそこで素材を採取した後に街まで無事に薬師を連ればいい。両方とも詳細なことは依頼書に書いてあるからそれを読んでくれ。それでこの依頼をお前たちは受けるか?」


「そう…ね。受けるわ2つも」


話を振られた事で、動揺からぼうっとしていた黒蓮は、我に帰った様子を見せると僅か逡巡の後に両方の依頼書を読み込み、依頼書を読み終わるとこちらに確認を取るように振り返った。当然自分も黒蓮もそれに対して頷いて返し、黒蓮は意を決したように依頼を受諾する旨を伝えた。


「よく言った!護衛の方は日がまだ先だから先に山賊の方をこなすと良い、場所もここからそう遠く離れては居ないしな」



と言うわけで早速依頼の山賊を討伐するためによく出没するらしい街道を三人で歩いていた。この街道は普段潜っている森の反対側に位置しており、出現する魔物はあの森の表層に出てくる魔物と大差ないらしい、ここら辺を根城にしている山賊の実力も近しいものともくされており、傭兵崩れも混じっていると言う噂もあるものよ受付のおじさん言わく「お前たちなら問題無いだろう」との事。


目撃及び遭遇情報からこの山賊のグループの人数は十人ちょっとされていて、それら全てを殲滅し、根城を見つけて拠点を他の山賊や魔物に再利用されないように破壊するのが依頼。賞金首などは居ないはずのため皆殺しにしてしまって構わないそうだ。


「黒蓮…殺れそうか?」


「え、そ、そんなの余裕に決まってるじゃない!この私が今更悪人を始末する程度で同様するわけないでしょ!」


そう言い放つ黒蓮の様子はやはりと言うべきか虚勢感が拭えないものであり、どことなく不安を覚える。


「そんなことよりドーン!それ、なんなのよ!」


そう言って黒蓮は自分の()()()()()を遠慮がちに指さす。露骨な話題転換に心配を煽られ……む、やっぱり丁度良いのでのっかる事にする。


「これ?これは見ての通りおっぱいだが?」


「だが?じゃないでしょ!?ドーン貴方男よね?」


「そりゃそうだろ、いきなりどうしたんだ黒蓮?」


「それじゃなんでその…お、、おっぱいが男のドーンに着いてるのよ!」


「そんなの女三人の方が山賊が襲って来そうだからだけど?」


「それはそうかもしれないけど…私が聞きたいのはそう言う事じゃなくて!その胸はどうしたのかって聞いてるのよ!」


「あぁなんだその事かそんなの………魔道具で」


「ま、魔道がどうしたたのよ?」


「黒蓮、俺のおっぱいに興味津々なのは良いが、依頼の山賊らしき奴を捕まえたからその話は後にしよう」


「あっべ、別に私はおっぱいになんで興味ないわ!」


そう言って黒蓮は羞恥心からか顔を真っ赤にしてそっぽ向く。うん、黒蓮の緊張もいい感じに溶けたみたいだし良さそうだな…本命はこれからだけど。


「ねえねえドーン、その山賊は何処にいるの?」


羞恥に悶えているグラマラスな見た目に反して案外ピュアな黒蓮を横目に金華が発見した山賊の場所を聞いてくる。


「あっちの森の中だ、黒蓮が騒ぎ出して足を止めた所を隙と見たのかずっとこっちを伺って居たヤツらが武器を抜いて近付いて来たらこう…森に忍ばせてた〈浮遊人形(フロートゴーレム)の青大剣〉でブスっと」


「それって昨夜のでっかいやつだよね?ブス、で済むと思えないよ?」


「まぁそうだな。黒蓮!」


「うぇあ!?な、なにドーン」


「山賊共を殲滅しに行こう、もう死体が転がってると思うけど覚悟は良いか?」


「し、死体が?……何聞いてるのよ、大丈夫に決まってるでしょ、早く案内しなさい」


「わかった」


話しかけると余程自分の世界に入り込んでいたのか最初こそびっくりした様子を見せた黒蓮だったが、直ぐに覚悟を決めた顔付きになり案内するに促した。


それに対してこくり頷いて返し〈浮遊人形(フロートゴーレム)の青大剣〉が山賊相手に大暴れした場所へと案内した…


「ぅぅぅぅぅぅ」


そして山賊達の()()を目撃した瞬動、黒蓮は耐えきれなくなって嘔吐した。


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