【41】ワイバーン 後編
ーーーGAAAAAA!!
地上での第二回戦は、先程動揺に属性飛龍の先制攻撃によって幕を上げた。
属性飛龍の咆哮とともにその周囲に複数の薄緑色の光が出現するとそこから複数の風刃が放たれる!
「【防御指示】!」
幸いな事に威力はそこまで高く無く、【環境改変】と【防御指示】で完全に防ぎ切れるレベルだったが…これはあくまで牽制目的の攻撃だったらしく属性飛龍は足を大きく踏み込んでその翼の生えた腕を薙ぎ払うように払った。その範囲は翼が生えていることもあって絶大であり、また風壁を纏っているのか周囲を切り裂きながらこちらにかなりの速度で迫ってくる!
といえ、大ぶりな攻撃で体格差も激しいため回避らそこまで難しく無い、振るわれた翼の全員が内側に潜り込むように回避し【攻撃指揮】に切り替えてから攻撃を仕掛ける。指揮系は自分に効果が及ばない事と、体格差、レベル差によるダメージ補正によって自分の攻撃はたいしてダメージが出ていないように感じがるが【攻撃指揮】の影響を受けた二人の攻撃はかなりダメージを与えているようにみえる。
「くっ」
そして数度攻撃を加えた所で属性飛龍が攻撃から逃れる為か飛び上がって距離を取った。追撃を試みたものの、翼の羽ばたきによって発生した強烈な風に吹き飛ばされない様にするのが精一杯であり、かろうじて行った攻撃も吹き荒れる強風によってあらぬ方向に吹き飛ばされて行ってしまった。
「【防御指示】」
「くっ逃げられた…ドーン何かないの!?」
黒蓮が空へと飛び上がった属性飛龍から目を離さずにそんな事を聞いてくるが……さっきの〈人形核〉くだりでポイントは無くなってるし、あのレベルの相手を手持ちのロープで地面から飛び上がれなくする事は出来ないだろう……かと言ってこのままだと逃げられたら何も出来ないし、ん〜
「さっきので足にそれなりにダメージが入ってるはずだし次降りてきた時に翼を集中攻撃して壊せれば倒し切れるはずだ」
「良いアイディアねドーン、それで行きましょ」
そう言って属性飛龍が突っ込んでくるのを近付いて来やすいように遠距離攻撃をせずに待つ。ある程度知能があれば誘われてる事が分かるだろうが、お得意の遠距離攻撃が無効化される以上属性飛龍は自分達を倒すためには近付いて来るしか無いはずで、先程から上空を旋回して逃げる素振りを見せていないから多分その内……
「来るぞっ!!」
属性飛龍の背後が強く薄緑色に光った次の瞬間、なんと目にも止まらぬ速度で加速し咆哮と共に突っ込んで来た!
ーーーGAAAAAAAAAA!!!
身構えていた甲斐あって全員が咄嗟にその場から飛び退いて回避行動を取ることが出来たものの、属性飛龍の巨体とその予想外加速故に完全には回避しきれずにその風壁によって跳ね飛ばされてしまった。
「今の速度で突っ込んできて地面と激突しないのか。黒蓮と金華は…大丈夫そうだな」
属性飛龍の技量は自分の想定よりもだいぶ高かったらしく、かなり急角度かつ速度で突っ込んで来たにも関わらず地面に激突せずに横にスライドした上でこちらにドリフトのような動きで向き直る余裕まで見せつけてくる。
空中で素早くバランスをとり、綺麗に地面に着地する二人を尻目に自分は浮遊盾である《鱗の機盾》に捕まってぶら下がるような形で地面に着地した……のと同時に辺りを薄緑色の光の濁流が埋め尽した。【竜の息】だ…どうやら跳ね飛ばされた事で金華と距離が離れすぎたらしく樹上で放たれたそれよりも格段に威力が高い…が幸いな事にこれは放射系のスキルで【防御指示】の恩恵を受けた《鱗の機盾》が盾となって遮ってくれた事で自分へのダメージはフリョンの回復が追い付く程度で済んだ。二人の方は【環境改変】も【防御指示】もあるし大丈夫だろう。
そして【竜の息】が収まった直後を見計らって攻勢に出る、今度は先程ように手頃な場所を攻撃するのではなく全員で翼を狙って攻撃を行う。黒蓮が【狐火】で牽制しながら駆け寄って行き、金華は【三連矢】を射掛ける、自分は【攻撃指示】に切り替えながら手持ちの矢を渡す為に金華に駆け寄る。
属性飛龍は最も素早くちか近付いてきた黒蓮に噛み付こうと首を伸ばしたが黒蓮はこれを【回避】スキルを使用してすり抜けるように回避して首のしたに潜り込むと【居合】のスキルを発動させ素早く無防備な状態となった喉目掛けて刀を振るい……なんと切り裂いて見せた!そしてその直後に固定ダメージが発生してさらにダメージを属性飛龍に与えた。
レベル差を考えると今の黒蓮がこの属性飛龍の鱗をいくら内側だからといって切り裂ける恥ずが……まさか片鱗でもあの位置にあったのか?
そしてその斬撃が大事な部分を傷付けたのか傷口からはかなりの量の血が流れ出して周囲の地面と黒蓮を汚し。属性飛龍は傷を庇うように頭を上げたが…そうすると上体を支えるために翼で体をささえる必要がある訳で……
黒蓮は上に退避した頭を無視して体を支えるために地面降ろされた翼目掛けて【納刀】を発動しながら近付き、首を斬り裂いた時同様に【居合】を発動して刀を抜き放ち翼を切りつけたものの、やはりというべきかその刃で属性飛龍の翼を切る事は出来なかったがしっかりと固定ダメージが発生しており、金華の連射と合わせて翼にかなりのダメージが入っているように見える。
しかし属性飛龍は一度鱗を切り裂いて見せた黒蓮よりも、矢を連続で放ちコンスタントに固定ダメージを与え続けてくる続けている金華の方が脅威に感じているらしく、すぐ近くにいる黒蓮の事を無視して傷だらけの後ろ足で地面を蹴って疾走し金華の方に迫った。
「わわっ!?」
金華は黒蓮が前で戦っているのに無視して属性飛龍こっちにくると思っていなかったのかかなり慌てた様子で引き絞っていた弓矢を下ろして回避行動に移ったが、その頃には既に属性飛龍がその凶悪な牙が生え揃った大口を開けながら金華のすぐ近くそばまで迫っており……すぐ近くに居た自分は咄嗟に金華の事を掴んで遠くに放り投げた。
「ドーン!?」
悲鳴ような声を上げ、こちらに手を伸ばしながら飛んで行く金華。属性飛龍の牙は既に眼前まで迫っており、《鱗の機盾》が間に割り込んでくれているが正直言って焼け石に水……だが噛みつきはそっち持って行かれたから自分が食らうの体当たりだけっ!!
《『【超越者】が発動し、HP1で食いしばりました》
そんな事を考えた直後、体がバラバラになったと錯覚するような凄まじい衝撃と激痛が全身を襲った。視界は暗転し、前後上下を含めて何もわからなくなり……漠然とこのまま落下して死ぬのだろうか?と考えていると暖かい感覚が全身を覆い、先程までぴくりとも動かなかった体が動くようになった。なんか少し前にも似たような事があった気がする。
属性飛龍に跳ね飛ばされ中を舞っている状態で意識を取り戻し、どうにか地面に着地する。今回回復してくれたのは金華ではなくフリョンだったようだ。
「ドーン大丈夫!?」
「何とかな、それよりはやく攻撃を!」
「う、うん」
傷付いた足で高速突進は属性飛龍の肉体を持ってしてもかなりの無茶だったらしくバランスを崩して地面に倒れて大きな隙を晒してり、その隙を逃さない為に自分の事を心配して金華が駆け寄って来ようとしているのを制して属性飛龍を攻撃するように促した。金華は僅かに躊躇う様子を見せたがちゃんと攻撃を優先してくれた。
ーーーGYYOOOOOOO!?!?
そして属性飛龍が翼で体を支えながら起き上がろうとしたしたその時、執拗に攻撃を加えた甲斐あってか翼は自重に耐え切れずポッキリと折れ、それによってバランスを崩した事で上体を起こしていた属性飛龍が再び倒れ伏した。




