【34】水の精霊
ちょっとエッチかもしれません。
「封印されてるってことはろくな奴じゃ無いってことでしょ?そんなやつ放置してはさっさと帰りましょ、二人とも」
そう言って黒蓮はこちらに背を向ける。
「金華の好きにしていいぞ、金華が見つけたわけだしな」
「…それじゃ封印を解きます、なんか可哀想だし!」
金華は僅かに逡巡する素振りを見せたあとはっきりとそういった。
「ちょ、ちょっと本気なの?どう考えてもやばいわよ?」
慌てて引き返してきた黒蓮がそう言い寄る。
「落ち着け黒蓮、封印されている精霊とそうで無い精霊の差は、殆どの場合無いから大丈夫なはずだ」
「いや、でも……いえ、ごめんなさいドーンが大丈夫って言ってるだから大丈夫よね」
「んん?まぁ大丈夫ろう」
「どうやって壊すの?」
「普通に攻撃した壊せると思うぞ」
「分かった!」
そう元気よく返事をした金華はキリキリと弓矢を引き絞り放った。放たれた矢は狙い違わずにしっかりと命中し、命中した部分から大きな亀裂が走り……周囲を凄まじい水色の光がおおった。
唐突に発せられた強烈な光でやられてしまい痛む目を擦りながらゆっくり開けると…眼前に妖艶な笑を浮かべた水の体をした女性が居た。
《久しぶりの外…あら、随分といい男がじゃない?》
脳に直接、響くような声が聞こえてくる。
「ドーンから離れて!」
そう言いながら金華に腕を引っ張られ、件の水の精霊と思われる女性から距離を取らされる。
《あらあら、随分とお熱いのねぇ焼けるわ…うふふ》
精霊は口元に嫋やかに手をやり、黒蓮に負けず劣らずグラマーな体を蠱惑的にプルプルと揺らしながら笑った。
《そう警戒しないでちょうだい…こう見えて私とっても反省してるんだから…そうね》
精霊は一瞬辺りを確認するように視線を送った後、自分……では無く自分の腕に抱きついている金華の方に近付いた。
《古代からの習わしに従い解放者たる貴方に従属しましょう……どうかしらお嬢ちゃん?」》
そう言われた金華は僅かに逡巡した様子を見せた後ゆっくりと口を開いた。
「……私達に迷惑…特にドーンに!ちょっかいをかけないなら許すよ」
《…もちろん構わないわ。私は【誨淫】の罪で封された水の上位精霊『ウィンディ』これからよろしくね、小狐ちゃん?》
そうウィンディと名乗った精霊は言うと、一息に金華と距離を詰めてその頭を掴み……
ーーーチュッ♡ニュロ♡ペロベロ♡クチャクチュ♥️ジュルルーーーー❤️プハァ❤️❤️❤️
その豊満な体を押し付けながらべろちゅーをかました。
「な、何を!?」
《じゃあね小狐ちゃん❤️何時でも読んでね?》
そう言い残してウィンディはその場で解けるように消えて行った。
「ふぁ❤️」
「き、金華?大丈夫か!?」
呆気にとられ様子でウィンディが居なくなった途端崩れる落ちそうになった金華を支え、顔を覗き込むと完全に真っ赤に染まっていて混乱と羞恥が容易く見て取れた。当然黒蓮もこの事には気がついていて、突然の自体にほおけていた様子から一変し、慌てて此方に近づいて来ていたがまるでそれを制するように大きな水飛沫が3つ上がった。
そこには水で女体と…布のような服を構成した水の精霊がおり、ずずいと此方に近付いて来たかと思うと朗々と抑揚の無いこえで喋り始めた。
ウィンディとかいう精霊、全身水だから分からなかったけど全裸だったのか……
《我々は【誨淫】の封印を見守り者》
《そのために産み落とされし者》
《【誨淫】の抑制者であり守護者》
《かの者は多くの者を色欲に堕っさせた罪にて封されていた》
《【誨淫】の支配者よ、心すべし》
《堕落は停滞を停滞は堕落を呼ぶ事を》
「ふあぁ♡」
今まで出会って来た存在とは明らか違う雰囲気を発する存在に話しかけられてもこの返答……完全に心ここに在らずって感じだし、この三体の精霊の言う通りなら金華、かなりやばい状態では?
「……後で金華にそれは伝え置くよ」
《良いだろう》
《うむ》
《汝も気を付けよ》
「それはそれとして……良くか悪くか封印が無くなってしまった訳だけどお前たちはこれからどうするんだ?」
《どうする?》
《ふむ》
《ん〜?》
「あ〜もし何も無いんなら俺たちと一緒に来ないか?ずっと見守って来たんだったらウィンディの行く末も気になるだろ?」
そう提案すると三体の水の精霊達は少し離れた所でコソコソと何かを相談し始めた。
《契約…》
《古の祝詞》
《確かに汝らが我らを使命から解放したと………》
念話?念波?でも会話と同じで漏れ聞こえるんだな…まぁ途切れ途切れだし難しい単語も多いから殆ど意味が分かんないんだけど。
《先は決まった、私は貴方と》
《わしは貴女と》
《我はこの子と》
《《《契約を結ぼう》》》
そう言い近寄って来きて、1番前にいる深いスリットが入った服を着ているお姉さん系の子が自分を、2番目にいるロリババアっぽい子は黒蓮を、3番目いる黒蓮よりも胸も態度も大きな子はフリョンを選び、その言葉と共に消えて行った。
「お、終わった…の?」
「…見たいだな」
まだ警戒した様子で周囲を伺いながらそう言う黒蓮にそう返すとあからさまにほっとした様子で息を吐く。
「ううぅ」
「そうだ!金華!金華は大丈夫なの!?」
「待て、落ち着け、先にここを出て…せめて岸に戻ろう。金華が【環境改変】を発動出来ないならここはとてつもない危険地帯だ、早く離れた方が良い」
「分かったわ…金華は私が運ぶから渡しなさい」
「ああ」
黒蓮に意識が朦朧とした様子の金華を渡し共に来た道を戻る。幸いなことに足を滑らせて地底湖に落ちるような事も生き残りのゴブリンが待ち伏せをしているような事もなく無事に岸まで辿り着いた。
「無事に戻って来られたけど…どうすれば良いのかしら!?ど、ドーン!?」
「とりあえず金華を地面に下ろしてくれ、落としそうで怖い」
「あ、ごめんなさい」
目に見えて狼狽というかワタワタしている黒蓮に出来るだけ落ち着いた声を心がけてそう声をかけると、黒蓮も良くないと思ったのか金華を地面に置いてくれた。恐らく大丈夫だとは思うが年のためフリョンを地面に横たわる金華の上に乗せる。
「金華は…大丈夫よね?」
「ん〜契約その物で何か問題が起こったなんて話は聞いた事が無いから大丈夫だとは思うが…」
状況から考えるに金華がこうなった原因はあのウィンディって精霊だし、従属下にある精霊が主人を害するなんて…少なくともゲームでは聞いたことも無いからほおって置いてもその内目覚めると思うんだけど……念の為いつもの虫眼鏡を使って見てみるか。




