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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
【第一章】始まり
35/122

【32】あれ?

「黒蓮と金華で奥にいる魔法使いを倒してくれ、俺は後ろの大群の相手をする」


「は、はぁ!?あ、あんた何考えてるの!?どばばって水出して来るようなやばい奴に私と金華だけで勝てる訳無いじゃない!さっきだって不意を疲れたとはいえなんの抵抗も許されずに押し流されたのよ!」


ーーーぶんぶんぶんぶん


「お、落ち着け黒蓮、俺の体を揺するな」


「あ、ごめんなさい。ドーン当たるとは違うわよね……その、今回は諦めて帰りましょう?対策してまた来れば「ダメだ」えっ」


しょぼしょぼと沈んで行くような声でそう言う黒蓮に待ったをかける。確かに範囲魔法を使えるゴブリンが居ることも、挟撃を防げなかったのも予想外だけどまだ想定の範囲内、水の魔結晶がある巣なのだから水系のなにか来るとは考えていたし対処可能な範囲だ。何のために黒蓮に土属性への適正を持つ様に言い、金華に星を信仰するように言ったと思っているのか。


「良いか黒蓮、金華、時間がないから手短に話すが……



side金華


「ねぇ、ほんとに行けると思う?」


洞窟の中、ドーンの作戦通りにあの水が流れ込んできた場所目掛けて走っているとお姉ちゃんが随分と弱気な声でそう漏らした。今まで散々助けられて来たって言うのまだドーンの事が信じられないなんてほんとに信じられないよ!


「大丈夫に決まってるじゃん!」


まぁお姉ちゃんがドーン(男の人)を信じられないのは分からないでも無いけど…それとこれとは話が別!ドーンは間違い無く好い人だよ!可哀想なぐらい……


「わっ!私達を囮にして逃げるき「お姉ちゃん?」で、でも」


まったく、まったく。


「あーんなボロボロになってまでお姉ちゃんを助けてくれたの忘れちゃったの?そんな人がそんな酷いことする訳ないよ!!」


「そ、そうね、確かにその通りだわ、ごめんなさい金華……」


「謝るならドーンに謝ってよね!」」


「そう…ね」


お姉ちゃんの考えを改めさせるべく話していると通路の奥が再び強く光り、それを見た私はドーン言われた通り即座に【環境改変・土】を発動した。すると私の周囲が淡く茶色い光を発し初めた、心做しか湿っていた空気が乾燥した気がする。


そして、通路の奥から再び濁流が勢い良く押し寄せ!それは私達をまた飲み込むかに思えた!けど…茶色い光を纏っている領域に到達した濁流は急激にその勢いと水嵩を失い、私達の元に到達する事には水嵩は足首辺りまでしか無くなり、勢いも大した事無くなっていた。


「ほんとにすごい弱まったわね…」


「だから言ったでしょ?早く行くよ!」


そう言って先を急ぐ、敵は濁流が効果的では無いことに直ぐに気が付いたのか水の玉や槍のようなものも飛ばして来たけど、それも濁流の時と同じように私達の元にたどり着く頃には著しく減衰して驚異でもなんでも無くなっていてとっても簡単にに目指可能な距離まで距離を詰める事が出来た。


魔法を私達に向かって放って来ていたと思われるゴブリンは目に見えて狼狽した様子で後ずさり、何か算段があるのか縋るように水の魔結晶ぽい物目掛けて駆け出したけど、そんな見え見えの隙を見逃してあげる理由も無く私達に背を向けて走るゴブリン目掛けて放った矢はしっかりとゴブリンの後頭部に突き刺さってゴブリンは倒れ伏した。


「もう…終わり?」


ポカンと拍子抜けした様子が隠しれない表情で倒れたゴブリンを見つめるお姉ちゃん。ほんとにドーンの言ってた事信じてなかった…あるいは信じられてなかったのかな?ドーンの事を信じてればそんな表情を浮かべるはずないし!


「ね、ドーンの言った通り余裕だったでしょ?」


「そう…そうね」


「なに?何か不満なのお姉ちゃん?」


「不満なんて無い…金華の言ってる事は正しいわ。ただ……」


「大丈夫だよ!どんなにお姉ちゃんが不誠実で薄情で疑り深くてもドーン()見捨てたりなんて絶対しないよ!」


「そ、そう」


「ほら、早くドーンの援護に行くよ!」




side ドーン


「2人とも行ったな…」


水色の光が差し込む洞穴の奥へ走って言った二人を見送り、大量の足音が響く背後に向き直る。黒蓮とか明らかに不承不承って感じだった上にビビリ倒してたけどちゃんとスキルを発動出来てたし、見た感じ魔法ダメージ自体は大したこと無さそうだったから最悪でも死ぬ事は無いはずだ。


仮に黒蓮がビビり倒して何も出来なくなっていたとしても装備差があるはずだし金華は見た目に反してしっかりしてるからどうにかするだろう…見た感じは黒蓮の方がお姉さんって感じでしっかりしてそうなんだけどなぁ。


「フリョン、回復は任せた」


懐にいるフリョンが返事をするの確認し、ゴブリンの大群と対する時の戦闘方法について考える。


いつも通りデバフをかけるのは良いとして、範囲殲滅に重力魔法を使うと洞窟が崩れる可能性があるからダメで…鞭のように武器を振り回せるほど幅は無い、となると地道に一体づつ倒して行くしか…まぁそれでも問題はないか、前回一人で戦った時と違って回復役のフリョンが居るし、大群とはいえ相手はレベルでも装備でも種族、職業でも劣る相手だどうにでもなるだろう。


そんな事を考えていると、遂にここまで通って来た道の奥からゴブリン達が棍棒を振り上げながら駆け込んで来た!現れたゴブリンの数はパッと見二十匹弱ぐらいだが…通路の幅的には回り込まれなければ同時に相手する事になるのは四五匹程度が限度だろう。


ーーーGuGyaGyaGya!!!


叫び声と棍棒を振り下ろしながら飛びかかって来た先頭にいたゴブリンの攻撃を念の為盾で受けるが…予想通りかなり軽い、これなら防御や回避をらせずに攻撃し続けてもフリョンの回復が余裕で間に合う。


続けて殴りかかってきた数匹のゴブリンの内一匹に盾で防いだゴブリンを突き飛ばして纏めて槍で刺し貫く、当然その隙に他のゴブリンに殴られるがマッサージぐらいの弱い痛みでまるで気かないし、それによって発生したわずかなダメージはフリョンによって回復されるから莫大な数的不利を背負っているが思ったより余裕でカタがつきそうだ。レベルのちからってすげー。


「まぁ急所にだけは気をつけないといけないけど」


ゴブリンが二匹刺さったままの槍を力任せに振るい、殴って来たゴブリン全員を槍で薙ぎ払う。そして前衛があっさり倒れた影響か目に見えて動揺した様子を見せるゴブリンの群れに槍を構え、殲滅すべく突貫した。

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