【31】2回目の洞穴
「二人とも準備はいいわね」
深夜と呼ぶには遅く、早朝と呼ぶにはまだ早い時間に例の水の魔結晶が取れるらしい例の洞穴に前で三人は身を隠していた。
そして緊張を隠しきれていない声色で黒蓮は自分と金華に準備が出来ているかを確認してくる。装備はいつも武器に加えて今回はちゃんと明かりになる松明も持ってきている。
ちなみに丸1日修練に当てた結果金華は【魔物鑑定】を習得したし、自分も【魔力感知】の熟練度を上げきって上位互換である【魔力探知】に成長させることが出来た。黒蓮も修練と今回の攻略を考慮した結果、狐獣人の基本属性である火、幻惑以外にも光、土、魂の三属性への親和性を新たに得ることに成功したし、他にもレベルアップで習得したスキルもある程度どはみんな習熟出来たはず。
「準備は良い見たいね…それじゃぁ…行くわよ」
「ああ」
「うん!」
……………………
「……ホントに行くわよ!?」
「いや、早く行けよ」
★
そんなギャグ見たいなやり取りこそあったものの無事に洞穴の中に侵入することに成功した…と言っても出入口に見張りは居なかったため、失敗する要素はなかったんだけど。とはいえ、ここからはそう簡単にはいかないだろう。隠し通路がある可能性が高からそれを見つけて挟撃を防ぐ必要があるし、出来れば不意を付きたいから伝令役見たいなやつも逃さず倒す必要がある…まぁ両方と自分の仕事だから今回の探索の成否は自分にかかってると言っても過言では無い……はず。
黒蓮はお察しの通りめちゃくちゃ緊張…というかビビってるし、そんな状況での失敗は黒蓮に悪影響を及ぼしてしまう気がする失敗は許されない…お調子者な面もあるし案外そんな事無いかもしれないけどそれで不安要素は少ない方がいい、気合いを入れて行こう。
「……まて」
「どうかしたの?」
「あそこの岩陰にゴブリンが隠れている」
気合いを入れて探した甲斐あって岩陰に隠れているゴブリンの反応を【魔力探知】で見つける事が出来た。動き的には此方には気が付いてな……気が付いてそうだな?まぁ別に隠密系のスキルを使っていた訳でも無いし音が響きやすい洞穴だしこれはしょうがない…はず。少なくとも隠れているゴブリンはまだこっちがゴブリンが隠れている事に気が付いて居ることに気が付いていないようだからまだ大丈夫だ。
「あそこね…一匹だけ?」
「ああ、まだバレてる事には気が付かれていないはず」
「分かったわ【属性付与・魂】」
そう返事をすると黒蓮は【属性付与】を発動して足早にその岩陰に近づいて行き、ある程度近付くと一気加速して岩陰の向こうに飛び出し即座に【居合】を発動を発動した。岩陰に隠れていたゴブリンは黒蓮が加速した時に慌てて迎え撃とう動き出していたが時すでに遅く悲鳴をあげるいと間もなくゴブリンは絶命した。一日練習しただけだと言うのに新しいスキルをよく使いこなしている。
「ふぅ〜」
「うまくやったな」
「うん、名誉挽回だねお姉ちゃん!」
「ただゴブリン一匹相手にやりすぎな気もするけど」
「……万全を期すに越したことはないでしょう?」
「それそうなんだが…魔力には限りがあるから気を付けろよ」
「そんな事わかっているわ。【属性付与】が切れる前に早く行きましょ」
そんな会話の後、一刀両断されたゴブリンの死体はそのまま放置してさらに奥に進んで行くと時折先程のようにゴブリンが待ち伏せていることがあったものの【魔力探知】で前もって知っているため脅威足り得ず順調に先に進んで行く…
慎重に進んでいる事と時折戦闘が挟まって居るせいでまだ前回の到達地点の半分程度までしか達して居ないが未だに隠し通路及び隠し部屋らしき物は見つかって居ない…前回の挟撃は、出払っていたゴブリンが戻ってきた事によって起こった偶発的な物だったのだろうか?
そんな事を思いながら先へ先へと進んで行く…が結局それらしき物が見つかる事はなく前回の最終到達地点に達しそこからさらに奥へ進む。時折待ち伏せているゴブリンの反応からしてとっくの昔にゴブリン達はこちらの侵入に気が付いて居そうなものだが先のような待ち伏せこそあっても前回の様な応戦、あるいは迎撃と言える程の反撃は無く……僅かに嫌な予感を感じる。
そうして更に洞穴の奥へ進んで行くと道の先に水色の光が放たれる場所が見えてきた。あれは恐らく今回の目的である水の魔結晶が発している光で…事前の情報が正しければそこがこの洞穴の最奥のはず何だが…【魔力探知】には一匹しか反応が無い、最奥ならそこが本丸だろうに守りはたったの一匹だけ。
この前ここに侵入した時にそこそこ倒したけど…一日経つと敵が湧き直す使用ぽいこの世界でそれがこ敵の少なさに影響するとは思えないし一体どうして……
「あの光…水の魔結晶の光よね?」
「水色の光だし間違いないよ!やったねお姉ちゃん!」
そんな事を考えていると黒蓮と金華が水の魔結晶の事を確認し合い、勇み足でどんどんと先へ進んで行く。
「何かおかしいから気をつけろ」
先を行く二人を追う足を早めながら諌めるようにそう言った所で…道の先から放たれる水色の光が唐突に輝き増す!!
「下がれ!魔法が来る!」
「え、なッ!?」
「キャァッ!?!?」
水色の光が輝きを増したのと同時に通路の奥か大量の水がこちらに向かって流れ込み、先行していた上に反応が遅れた金華と黒蓮を容赦なく飲み込み、自分の足元辺りまで押し流されて来た。
「う…ぐぐぅ」
「痛い…」
「大丈夫か二人とも?」
魔法をモロに食らった事によるダメージ受け、更には流されたことによって洞穴の床や壁に体のあちこちをぶつけたのか、全身びしょ濡れなのも相まって目に見えてボロボロだ…うん、普通にエロい。
それは置いて置いてまさか最奥に範囲魔法が使えるレベルのゴブリンが待ち構えているとは思わなかったな。しかし…これが最奥に一匹しか居ない理由…だとすると?もしかして…
ーーードタドタドタ
「一体どこで見逃し…いやそもそも、どうやって連携してるんだ?」
「ちょっちょっとドーン!だ、大丈夫よね?ね?」
「大丈夫だって」
随分と際どい姿になってしまっている事にすら気が付かずに縋り着いてくる程に狼狽している黒蓮を諌めつつ、次に取るべき行動を考える。外の森のゴブリン達のレベルが多分5レベルぐらいで…範囲魔法を使って来た奴が居ることを考えると多分洞窟内のゴブリンは10レベルぐらい…いや、最奥で待ち構えていたのが一匹な事を踏まえると挟撃に来たゴブリンは10レベル以下か?黒蓮と金華のレベルは10以上で…自分のレベルは10より上で15未満でそれを踏まえた振り分けは……
「黒蓮と金華で奥にいる魔法使いを倒してくれ、俺は後ろの大群の相手をする」
「は、はぁ!?」




