【29】あなたに言われたくないわ!
「一定以上の属性への親和性があればその属性を扱える様になるんだ。狐獣人は火、幻惑に元から適正があるからそれ以外を満遍なく…あ」
あぁいや、ステータスが見れないからどの属性がどれぐらい親和性上がったのか確認するすべがないな。そこまで調べられる道具の生成にはかなりポイント使うし黒蓮には全ての属性を取得してもらおうと思っているからそれら全てを確認しようと思うと表示制限の無いより高度な代物である必要があって……うん、まだむり。確認の為に【属性付与】を先に覚えてもらった方が良いか。
「…黒蓮は属性への親和性を上げる前に【属性付与】のスキルを覚えよう、そっちの方が訓練の成果が目に見えるようになって身が入りそうだし、こっちならすぐに習得できる」
「【属性付与】ね、良いわ。どうすれば習得良いの?」
そう聞く黒蓮に木刀を渡す。
「属性魔力を武器に纏わせて攻撃を行えばそれだけで習得出来る…んだけど昨日スキルを使える様になったばかりの黒蓮には難しいだろうから【狐火】をその木刀に纏わせて…盾を構えるから俺に攻撃してくれ」
「ドーンに攻撃…それ、こんなところでやって大丈夫なの?」
自分の話を聞いた黒蓮はそう言って周囲を見渡す。ここは大して広く無い…どちらかと言えば狭いや宿屋の一室、そんな所で燃え盛る武器を振り回すのは……確かに危なそうだ。
「ダメだな…また街の外に行こう、適当な魔物を連れて来れば俺が黒蓮の攻撃を食らう必要も無いし」
「私もついてっていい?」
「もちろん」
★
というわけで二人を連れ宿を出て朝日に包まれた街中を通り抜けて草原に移動した。街中はまだ早い時間だと言うのに人々がそれなりにいて、皆活発に動き回っており時折遠くから商売の声まで聞こえて来るほどだったが傭兵はそう早起きでも無いらしく草原には角兎やゴブリンが数匹居る程度で人影はまるで見当たらない。
まぁこの世界ではスキルが一般的では無いみたいだし、厄介事の原因になりそうな事は少ないに越したことはないからいい事なんだけど……ん〜一瞬勘繰りそうになったがまぁ職業によって働く時間が違うのは当たり前だし気にし過ぎだな。
「準備出来たわ!」
そんな事を考えていると、【属性付与】のスキルを覚える準備ができたらしい黒蓮大きな声を上げる。黒蓮は宿屋で渡した木刀に【狐火】を纏わせる事に成功していて木刀はしっかりと青白い炎を纏っていたが…若干制御が甘いのか少し寒そう。
焦らす意味も無いので黒蓮が準備している最中に
捕まえておいた角兎を黒蓮の方に投げる。黒蓮は攻撃をスカらせたり、木刀に纏わせた【狐火】を止めてしまうようなことも無くしっかりと投げ付けられた角兎に【狐火】をまとった木刀を当てて地面に叩き落とした。
「どうだ?」
「ちょっと待って」
【属性付与】を習得出来た聞くと黒蓮はわざわざ【解析】の効果がある虫眼鏡を自分にかざして確認した。
「習得出来てる…わね。聞いていた通りだけど随分と簡単ね」
「戦闘系のスキルは条件を満たしてさえいれば取得自体は比較的簡単だからな。それじゃ早速発動させて見てくれ」
「わかったわ。【属性付与】キャッ!」
そう答えると黒蓮は【狐火】凍りついた木刀を両手で持ち直し、気合いが入った様子で【属性付与】と口にするとしっかりと【属性付与】が発動出来たようで凍りついた木刀に赤いオーラー…火属性が付与された。そし火属性が付与されたことで急速に凍りついが溶け落ち、それに驚いた黒蓮がびっくりして木刀から手を離すと木刀から赤いオーラは失われ地面に落下した。
「これ上手くいった…のよね?」
びちゃびちゃに濡れた手から水気を払うよう振るいながら確認する様に聞いてきた。
…戦闘中は黒蓮が激しく動いていても気にならないけど、こういう場面だあちこち揺れまくってるとどうしても……
「あ、ああ【属性付与】を正しく習得出来てるよ」
「正しく…まるで間違った習得があるみたいな言い方ね」
「別に大したことじゃない、このやり方だと【属性剣】を習得する可能があったってだけだ。仮にそっちを修得したとしても順番が変わるだけだからそこまで気にしなくていい」
「そう。それでこの後は…私は各種属性への親和性を上げるだったかしら」
「ああそれであってる。親和性が一定値以上になればその属性で【属性付与】が発動出来るようになり、親和性が高くなれば効力や見た目にも変化があるからそれを参考にして励んで欲しい」
「わかったわ」
「ちなみに相反属性の内片方の親和性を上げるともう片方の親和性が下がることがよくあるから注意して欲して、あと黒蓮にはあくまで多彩な属性を扱って欲しいから間違っても得意な属性の親和性ばかり伸ばさずに、全ての属性の親和性を満遍なく伸ばしてね?後それから……」
「な、なに?」
黒蓮が足元に落とした木刀を印象付けるようにゆったりとした動作で拾い上げた後、真剣である事が伝わるように黒蓮の目の奥を覗き込むように見つめる。
「頑張ってくれるのは嬉しいけど、前みたいな無茶は絶対にしないでくれ、差し迫って必要な力と言う訳ではないしな。それとやり方が肌に合わないとか自分が欲しい力じゃないとかそんなのがあったら他のの方法を考えるし何か不満があったら二人とも遠慮なく言って欲しい」
「そ、そんなの言われなくてもわかってるわ。と言うかあんなボロボロになって帰ってきたドーンに言われたくないわ!」
「そうだよ!無茶しないでねドーン!」
「はは…それじゃ俺は【魔力感知】を習得するのに良さそうな場所を探して習得してくるから…二人は宿屋にでも戻っていてくれ」
「あ、それ私がついて行ったらドーンの邪魔になっちゃう?」
「別にならないけど…着いてくるのか?黒蓮が【属性付与】の習得した時と違って別に何も派手な事は起こらないぞ?」
「そっか……ん〜でもやっぱりドーン一人にしておくと心配だし、着いてく!」
「そうね」
「……ははは」
というわけで三人で街に戻った。その道中これから街の外に向かうのであろう同業者とすれ違っのだが…やはりと言うべきか何故かめちゃくちゃこっちを見て来ており…これもやはりと言うべきか特に絡んで来るような事も無く無事にすれ違った。
……ふむ、なんというか今までは新人が物珍しくて見られているのかと思っていたが、なんかこう…そういう物珍しさとは別の感情でこっちを見ているような感じがする、だからと言ってどうしてこっちを見ているのかは分からないけど…
ん〜こういう時は知ってそうな人に聞いてみるのが良いか?黒蓮と金華に聞くのはなんか忍びないし適当なタイミングで受付のガーンさんにでも聞いてみるか、傭兵ギルドの受付ってことで情報通な気がするし。




