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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
【第一章】始まり
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【28】噂と本

「お、獣人の嬢ちゃん達じゃねぇか無事だったんだな!」


お日様が沈み始めた空が赤みを帯び始めたころ、美味し料理の匂いが漂い始めた夕飯時の少しまえの傭兵ギルド。今回の狩りで手に入れた魔物の肉や素材を買い取って貰うためにギルドの中に入った途端、周囲にいる似たような理由でおとずれているであろう他の傭兵達の会話を遮るような大きな声で何時もの受付のおじさん… ガーンが話しかけてくる。


「いや、悪いこっちの話だから続けてくれて構わねぜ」


そう、唐突に大きな声をあげたことで固まって居た周囲の傭兵達に申し訳なさそうにそう断ったあと自分達にこっちに来るように手招きしてくる。特に断る理由も無いのでそばによる。


「いや〜早朝にそっちの兄ちゃんが大怪我して帰って来たって話を聞いたうえに良くない噂も聞いたから心配でよ。急に話しかけて悪かったな」


「心配してくれるのはありがたいですし、別にそれぐらい良いんですが……受付忙しそうですけどこんな喋ってて良いんですか?」


そう言って依頼の報告の為か多くの人が並んでいる他の受付を指さす。


「あぁ、いいのいいの、俺って人気ないから」


「こういうのって人気云々じゃなくて普通空いてる所に並ぶ物では?」


「馬鹿いっちゃ言えねぇよ、だれだっておっさんより美男美女とお近付きに成りたいもんだろ?」


そう言われて他の受付を改めて見てみると、人が邪魔で見えにくいが…なるほど美男美女の多いこの世界の中でも美しいと言える若者が受付をしているようだ。


「別におじさんも渋くてかっこいいと思いますよ?」


「はっ嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか」


「ドーン」


「あ、ごめん。すいません素材の売却があるので失礼します」


そうおじさんに断ってその場を後にし、人混みをかき分けて素材の納品場に向かった。


「……噂は当たらずとも遠からずってところか?」


★翌日


「という訳で早速で悪いけど、はいこれ」


そう言って金華に【魔物鑑定】習得のために生成した〈魔物鑑定〉を渡す。


「これが例の新しいスキルを習得するための道具?普通の本に見えるけど…」


めちゃくちゃ分厚い本である〈魔物図鑑〉を受け取った金華は様々な方向からその本を見ながらどこか不思議そうに金華は言った。


「まぁただの魔物の図鑑だからな。今の金華ならある程度どそれを読み込めば【魔物鑑定】を取得出来るはずだから…期待してるよ」


「うん!」


元気に返事をして早速図鑑を読み込み始めた金華。うん、流し読みとかせずにちゃんと真面目に読んでるっぽいし大丈夫そうだな。


「それじゃ俺は【魔力探知】を習得するのにちょうどいい場所を探しに行くから…どうかしたか?」


そうふたりに伝えて部屋を後にしようとした所で遠慮が黒蓮が手をあげた。


「どうかしたか黒蓮?」


「その、私は何をすればいいのかしら?」


あーそういえば各人の習得目標スキルに着いて話した時、黒蓮はスキルを使えなかったから黒蓮に取得して欲しいスキル考えてなかったな…黒蓮の現状の能力値は昨日戦闘を見る限りではかなり近接戦闘よりになってるっぽいが、黒蓮が狐獣人である以上物理一辺倒だとどうしても最終的に他の多くの獣人の後塵を拝することになってしまう…


それを阻止しつつ金華とのシナジーを行かせるスキル、黒蓮の近接戦闘センスは高そうな気がするし出来ればそれも殺さずに活かしたいとなると……やっぱり魔剣士系の中でも……


「ドーン?」


黙って考えていたためか不安そうな声と顔で自分の事を呼ぶ黒蓮の頭を安心されるように撫でながら。〈新人用魔導書〉を黒蓮に手渡す。


「ちょっと撫でないでよ!」


黒蓮に撫でていた手を払い除けられる。


「ごめん、嫌だったか?」


「あ、いや…そうよ!嫌だったわ!」


恥ずかしそうに顔を真っ赤にし、興奮しているのか激しく尻尾を振りながら黒蓮はそういった。思ったより強い拒絶にびっくりしていると、何時の間にか近くに寄って来ていた金華が黒蓮に払い除けられていた自分の手を取ると頭を上にポンと乗せた。


「私はドーンに撫でられるの好きだからいくらでも……撫でていいよ?」


誘導されるがままに金華の頭を撫でると金華は気持ちよさそうに潤んだ目を細め、絹を思わせるサラサラスベスベで気持ちいい触り心地の髪が自分の手の…


「ちょっと金華!」


「フフ…ドーンなら尻尾も…触っていいよ?あっ♡」


「もう!ダメダメダメ!!金華を返しなさい!」


そう言って気持ちよさそうに撫でられる金貨を強引に黒蓮が強引に自分から引き剥がした。


「いい!確かに私も貴方の事は仲間と認めたし、導いて欲しいとは思った…だけどね!私達の事を飼い慣らせるなんて思わない事ね!!」


「飼いな、いやいやそんなつもりは全くない!」


「ふんっ!」


そう言って不機嫌そうにそっぽを向く黒蓮。黒蓮の急な気迫というか怒涛の喋りに押されて押し黙っていると黒蓮が先程渡した〈新人用魔導書〉をこっちに見せて来る。


「それで…これで私はどうしたら良いの?」


「あ、ああ。それはその名前の通りろくに魔法を

使った事の無い人用の…文字通り新人用の魔導書で、装備している間は全ての属性の適正が1なるという特性がある」


「1って…凄く弱そうに聞こえるけど?」


「そりゃ新人魔法使いが各種属性に触れて進む道を決める為だけのものだからね」


「ちょっと待ってドーン、もしかして魔法ひとつ使えないは私を魔法使いにしようとしてるの!?」


そう言いながら黒蓮がバッ!と立ちあがある。耳と尻尾はピン!と伸びていて怒っている様子だ。


「いや、流石にそんな事はないから安心していい。黒蓮の近接戦闘センスには目を見張るものがあるからそれを捨てさせるのは惜しいし」


「ふ、ふーんそうなの……あ、ちょっと褒めたぐらいでさっきの仕打ちを許すほど私はチョロくないんだからね!」


黒蓮に座るように促しながら、そんなつもりは全く無いとなだめるように言うと、褒められたのが嬉しかったのかピン!と貼っていた尻尾が機嫌良さげに揺れた…がすぐにハッとした様子で言い返してくきた。


「あ、ああ。それで黒蓮にはその〈新人用魔導書〉を使って各種属性への親和性を高めて欲しいんだ」


相変わらず情緒の激しい黒蓮に驚きながらも黒蓮にやって欲しい事を伝えると黒蓮は悩むような様子を見せたあと口を開く。


「その、親和性…てやつをあげるとどうなるの?」


「一定以上の属性への親和性があればその属性を扱える様になるんだ。狐獣人は火、氷、幻惑に元から適正があるからそれ以外を満遍なく…あ」


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